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第2089話 妊活

今日は試合に出ているらしい亜美達。


 ☆亜美視点☆


 キュッ! キュッ!


「奈々美! いきますわよ!」

「任せなさいよ!」


 パァンッ!


 ピーッ!


「よぉし、試合終了!」


 連休も明けた1月14日。 千葉西條アルテミスの試合に出ていたのだけど、とりあえず勝ちを決めている。 今シーズンは14勝2敗で主位タイに立っているよ。 もう一チームはもちろん東京クリムフェニックス……ではなくて大阪ホワイトフォックスである。 アウェイ戦でアルテミスとホワイトフォックスの試合はあったが、私や奈央ちゃんが出られずに惜しくも負けている。 次の試合はそのホワイトフォックスとのホーム戦となっている。 日曜日に予定されている為、他の皆も参戦予定で、勝ちに行くつもりである。



 ◆◇◆◇◆◇



 試合から戻ってきた私達は、リーグ順位表を眺めている。


「クリムフェニックスも3敗ですぐ後ろにいますね」

「ホワイトフォックスには今シーズン2回負けてるねぇ」

「今年のホワイトフォックスは中々強いですわね」

「ですね。 ホームアウェイ、どちらもフルセット戦っているとは言えあのクリムフェニックスに勝っていますから。 逆に福岡のブルーコンドルズや京都ハンナリズにあっさり負けたりしてますが」

「でもその2試合は黛姉が出てないよね」

「そうですね。 軽いケガをして欠場してましたね」


 という事で、姉妹が揃った試合は全勝中という事である。 やはり強いね。


「まあ、次の試合の事は次の試合の前に考えますわよ。 前田さんが」

「ま、丸投げ……。 まあ、やりますけど。 それより……何というか皆さんツヤツヤしてません?」


 と、前田さんは首を傾げながらそんな事を訊いてきた。 ツヤツヤしていると来たかぁ。


「きゃはは。 私は昨晩お楽しみだったから」

「お、お楽しみ……なるほど。 それでは皆さんも?」

「おほほ。 跡継ぎを作らないといけませんので」

「妊活月間なんだよ」

「そうなのよね」

「わ、私はまあたまたまだな……」

「蒼井さんまでですか……ま、まあ皆さん結婚してらっしゃるので仕方ないですが」


 他の皆は知らないけど、私と奈々ちゃんは去年話し合って今月から2月までを妊活月間に設定したのである。 Vリーグの今シーズンの試合にギリギリ影響を出さずに年内に出産をしようと思うと、この辺りがベストなのである。


「下手したら皆、同じ時期に出産とかなりそうね」

「たしかにだよ」


 奈々ちゃんとはそれを狙っているのだけど、皆ともなればそれはそれで嬉しいね。 私達みたいに同級生で仲良しになるかもしれない。 そうなると凄く楽しいだろうねぇ。


「むふふ。 今晩も夕ちゃんには頑張ってもらわねばだよ。 精力のつく夕飯を作らねばだよ」

「はぅ。 最近そういう料理が多いのはそういう理由だったんだ……」

「そうだよ」


 奈々ちゃんもそうらしいよ。 夕ちゃんと宏ちゃんにはまだまだ頑張ってもらうよ。


「前田さんも早く良い人見つけちゃえば?」

「いれば良いですけどね」

「佐々木先輩よりマシな人はそれなりにいるのでは?」


 と、マリアちゃんが言う。 前田さんは以前、宏ちゃんの事を良く思っていた事もあるのだけど、その頃には奈々ちゃんと宏ちゃんの仲は既にかなり進展しており、割って入る隙は無かったのである。 その点で言えば姫百合さんはまだチャンスがあった方だねぇ。


「まあ、佐々木君はあれで両物件っしょ。 顔は良いし身長も高いし、定職ありで性格も悪くはないし」

「それだけ聞くと、私達からの扱いがめちゃくちゃ雑なのが不思議ですわね」

「頭が悪いのが明確に弱点だねぇ」

「知識が動物の事に偏り過ぎだよぅ」

「そうね」

「奈々美はあいつが幼馴染じゃなかったら好きになってなかったんじゃないかい?」

「うーん。 どうかしらね? 実際そうなってみないとも何とも言えないわよ」

「佐々木君、モテますものね。 幼馴染じゃなくても可能性はあったんじゃない?」

「奈央も最初は惚れちゃってたぐらいだものねー?」

「紗希? それは言わないでちょうだい。 私の人生の最大の汚点ですわよ」


 そこまで言われてしまう宏ちゃん、ちょっと可哀想だね。 まあ、それでこそ宏ちゃんではある。


「それよりも、皆さんは来シーズンは試合全休の予定ですか?」

「まあ、妊娠したらそうなりますわねー」

「そだねぇ」

「同じくね」

「私はまだ何とも言えないわねー」

「私もだなぁ」

「はぅ……独身なんで」


 希望ちゃんはまあそうか。 とはいえお仕事が忙しくて、全試合出場とはいかないだろうけど。


「なるほど。 それでは来シーズンはその分の戦力低下を計算に入れたデータを作らないといけませんね」

「もう来シーズンの事を?」

「今シーズンもまだ残っているますのに」

「まあ、こういうのは早めにやっておいたほうが良いんですよ」

「そういうものなんですのね」

「今シーズンの残りの試合についてはどうなの?」

「そうですね。 残りは12試合。 重要な試合は3試合ぐらいですね」

「大阪、東京、福岡の3試合ですわね」

「はい。 うち、ホーム戦は大阪ホワイトフォックスとの試合だけです」

「大阪と東京との試合には皆出場予定ですわ。 ただ、福岡のアウェイ戦には私達は出られないですわ」

「さすがに仕事あるし福岡まではね」

「福岡との試合は皆さん抜きですか。 それでもこの3試合には絶対勝たないとリーグ優勝はありません」

「まあ、私達が居なくても戦力的には十分だと思いますわよ。 福岡ホワイトフォックスも強いですが、負けてはいないはず」

「何とかなるとは思います」


 前田さんはデータを見ながら「スタメンを上手く編成すれば」と付け加える。 福岡は今シーズン既に4敗。 とはいえまだまだ優勝の目はあるので、必死に抗ってくるだろう。


「来シーズンは麻美さんに渚さんが加入されますよね。 戦力アップですね」

「海咲さんもだよ」

「そうでしたね。 それも戦力アップですね。 それでは来シーズンに向けたトライアウトなどは?」

「予定はしてませんわね」


 なるほどだよ。 すでに来シーズンに向けて動き始めているアルテミスの首脳陣。 難しい事は丸投げぽい〜っだよ。

 アルテミスは安泰である。



 ◆◇◆◇◆◇



 夕食の時間だよー。


「……な、何だこの献立は」

「むふふ。 精力をつけてもらわないとだからねぇ」

「……はぅ」

「またなのか」

「またなんだよ。 頑張ってね夕ちゃん」

「はぅ……今日は麻美ちゃんのとこに泊まろかなぁ」


 希望ちゃんはそう良いながらスッポン鍋を見つめている。 少しすると、お隣の佐々木夫妻と向かいの麻美ちゃん、渚ちゃんが合流。 賑やかな食卓に早変わり。


「……宏太んとこもか」

「……だなー」


 佐々木家の夕食もまた、精力増強料理だらけであった。 普通なのは麻美ちゃんと渚ちゃんが持って来たハンバーグだけであった。 夕ちゃんと宏ちゃんは深く溜息をついて夕飯を食べ始めた。

 むふふ。 妊活は良い感じに進んでいるよ。

妊活の方も順調に?


「紗希よん。 皆頑張ってるわねー? 私も頑張りましょ」

「紗希ちゃんはいつでもピンクだよ」

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