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第2070話 映画「時を越えて」

本日は映画「時を越えて」の公開日。


 ☆亜美視点☆


 さてさて。 今日は12月9日の土曜日。 麻美ちゃんの書いた小説が原作の映画「時を越えて」の公開日である。 私達一同は、その映画を見る為に劇場一つ貸し切っている。 人数が多いので西條家の私有バスで移動しているよ。 東京組はお昼前に千葉へやって来て合流。 昼食を一緒に食べてから映画館へ向かっている。


 ブロロロ……


「可憐ちゃんがいないよ……」

「まだ映画館は無理かと思ってさー」

「残念だよ」

「はぅ。 亜美ちゃんは可憐ちゃんの事ばかりだよぅ」

「まるで自分の娘みたいに」

「可愛いからしかたないよ」


 あんなに可愛いのが悪いのである。



 ◆◇◆◇◆◇



 映画館に着いた私達は、待ち時間0で劇場へ向かう。 料金も既に支払い済みなのでシームレスに進むよ。


「ほんまに貸し切っとるんやな」

「奈央ちゃんが貸し切ったといえば貸し切っているんだよ」

「そ、そうやな……」


 さて、他にも人が居ない劇場に入り、皆で思い思いの席に座るよ。 この映画はアクション映画ではない為、奈々ちゃんの隣に座っても大丈夫だよ。


「んしょ。 楽しみだねぇ」

「なはは」


 麻美ちゃんが書いた小説「時を越えて」はもちろん読んだけど、映像作品になって一体どうなるのかはとても興味がある。


「皆は原作読んだ?」

「もちろん」

「そりゃ読んだわよー」


 と、やはり皆読んだらしい。 あの宏ちゃんまでしっかり読んだとの事だよ。

 さて、この作品の内容は奥多摩のダム建設の話がモデルになっている。 現代に住む女性、時野めぐるはひょんな事から、時を越える能力に目醒める。 めぐるはその能力で過去の奥多摩へと飛ぶのだ。 彼女はその時代に生きる人達と共にダム建設反対運動に参加するという話だ。

 主人公の時野めぐる役には、日本のトップアイドルであり、最近は女優にも挑戦している姫百合凛さんを抜擢。 これがまた見事なハマリ役なのである。 姫百合さんも時野めぐるも、思い立ったら即行動というような性格の持ち主で、姫百合さんは演じる事無く、素の立ち回りをするだけで時野めぐるになれるのである。


「こうやって見ると、本当に姫百合さんの素だわね……」

「やなぁ」


 スクリーンの中で動く時野めぐるは、私達がよく知る姫百合さんそのものである。

 映画の方は時を越える能力で過去の奥多摩へとやって来るシーンになっている。 ここでめぐるは五十嵐優子という女性と出会うのだ。 年も近い2人は意気投合し、すぐ仲良くなる。 そんな中、この村を取り壊してダムを建設するという話を聞く事になる。 村民は当然反対運動を起こしていく事になるのだが、めぐるもその運動に参加する。


「未来を知っているめぐるは、ダムが無くなるとどうなるかとか考えへんのかいな」

「なはは。 めぐるの性格があれですからー。 考えるより動くタイプー」

「そういえばそやったな……」


 とにかく考えなしになんでもやっちゃうのが時野めぐるというキャラクターなのだ。 


 ダム反対運動は続くが、どんどん劣勢に追い込まれていく村民達。 最終的には多くの都民達の為にという言葉に押し切られてしまい、ダム建設が始まってしまうのだった。 めぐると優子はまたいつか再会する約束をして別れ、めぐるは元の時代へ戻った。

 めぐるは奥多摩湖の歴史について調べ始め、空隆司という男性に行き着く。 隆司に会う為、 奥多摩の地を訪れためぐるは、そこで隆司の祖母であるという女性、優子に会う。 年老いてはいたが、その人があの五十嵐優子だと気付いためぐる。 また優子もめぐるにそっくりである事に気付き、孫娘かと訊ねる。

 めぐるは自分が時野めぐるである事を打ち明け、また時を越える能力が使える事を話した。 隆司と優子は驚きながらもその話を信じてくれた。 奥多摩の歴史について学んだ優子は、今なら歴史を変えられるかもしれないと過去に再び戻ろうとするが、優子にそれを止められてしまう。 「みだりに歴史を変えてしまうと大変な事になる」と釘を刺されためぐるは、過去に戻る事を思い止まり、奥多摩の歴史を後世に伝えていという決意を新たにするのだった。


 時は経ち、めぐるは隆司と結ばれ、奥多摩の地で幸せに暮らしていく姿で物語は終わりを迎える。


「いやいや、素晴らしい映画だよ素晴らしい」

「なはは。 思ってたより凄い出来ー!」

「ダムてようさんあるけど、やっぱりどこもこないな感じなんやろか?」

「ダムの底に村が沈んでいるとかって話は良く聞くわよねー」


 紗希ちゃんが言う。


「うん。 それなりにはあるみたいだよ」

「何だか怖い話だよぅ」

「書く時に色々調べたりしたけど、やっぱりそれなりに似たような事は起きていたみたいだよー」


 今でこそ少なくはなったが、それでもまだ何処かの小さな村ではこういう事が起きているのかもしれない。 色々と考えさせられる作品である。 やるね、麻美ちゃん。



 ◆◇◆◇◆◇



 映画を見終わった私達は劇場から出る時に、沢山のお客さん達が次の上映を待っていた。 麻美ちゃんはその光景を見て「なはは! 凄い事になってるー!」とはしゃいでいた。


 その後、納車された車を受け取りに行くという麻美ちゃんと別れ、私達は「皆の家」へ戻る事にしたよ。 麻美ちゃんについて行こうと思ったが「11日のドライブまで楽しみは取っておいてー」と言われたので、ついて行くのをやめたよ。


「麻美、ちゃんと帰ってこれるかしら?」

「心配し過ぎだよ奈々ちゃん……」


 ディーラーからここまでは大した距離ではない。 いくら初めてとはいえ、心配する程じゃないと思われる。


「美智香は明後日、麻美っちの車乗るんやろ?」

「うむ。 ただ、可憐も連れてくから今から一旦帰らないと」

「それならば私が送迎するよ!」


 と、手を挙げる私。 可憐ちゃんにいち早く会いたいからである。 宮下さんも「亜美っち! 助かりまする!」と承諾。 すぐさま準備して、東京にある宮下さんの実家へと向かうのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



 東京の宮下さんの実家に到着。 やはり車は便利である。


「おー、可憐ちゃん。 迎えに来たよ」

「あーみー」

「そうそう。 亜美だよ」

「あはは。 完全に覚えちゃったわねー」

「だね。 私は嬉しいよ」

「さて。 ちょいとゆっくりしてく? お茶しか出ないけど」

「そだね。 じゃあお茶だけもらって行こうかねぇ」

「了解。 ちょいと部屋で待っててちょ」

「うん」


 何だかんだで宮下さんの実家と部屋に入るのは初めてである。 ご両親にも挨拶出来て良かったよ。


「本の並びとかバラバラで凄く気になるよ。 漫画ばかりだね」


 宮下さんらしい部屋である。 一応バレーボールの雑誌や新聞の切り抜きなんかも飾ってあるようだ。


「いやはや、お待たせしました。 汚いお部屋ですいませんなぁ」

「そんなことないよ? 思ってたより片付いてるし」


 と、フォローしたのだが、宮下さんには「まあ実家にはたまにしか戻って来ないからね」と、笑い出した。 たまにしか帰って来ないのにこれなんだね……。


 私はもう一度、微妙に物が散乱している部屋を見回して苦笑いするのだった。


映画の出来も素晴らしく、満足の麻美であった。


「奈々美よ。 麻美かまた調子に乗りそうだわ」

「まあ、いいじゃない」

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