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第2066話 めでたい日

今日は紗希と柏原の入籍予定日。

 ☆亜美視点☆


 今日は11月29日の水曜日だよ。


 ブロロロ……


「きゃはは、亜美ちゃんありがちょ。 わざわざ車出してもらっちゃってー」

「本当にありがとう」

「いやいや。 2人のお役に立てて何よりだよ」


 今日は紗希ちゃんと柏原君の入籍予定日という事で、役所までの送迎を私が引き受けたのである。


「2人もいよいよだねぇ」

「まあね。 本当はいつでも出来たっちゃ出来たんだけど」

「まあ、ある程度落ち着くまではって話てたし」

「うんうん。 慌てる必要も無いよ。 しっかりと安定してからで良いと思うよ」


 まあこの2人は中学時代からの長い付き合いだったから、早く結婚したかったかもしれないけどねぇ。 柏原君のご両親がちょっとうるさい親だから、そういうのもちゃんてからって感じだったのかもしれない。


「宴会は土曜日になるよぉ。 宏ちゃんと前田さんはお仕事だけど、夕方には戻ってくるからね」

「きゃはは」

「ははは。 皆、騒ぐの好きだね」

「それはそうだねぇ。 それはもう昔から変わらないよ」


 中学時代から集まっては宴会騒ぎをしていたからねぇ。 本当に騒ぐのが好きなのである。


 ブロロロ……


「到着だよ。 私は車で待ってるから行っておいで」

「りょ。 行くわよ、裕樹」

「うん」

「いってらっしゃいー」


 役所の中へ消えて行く2人を見送った私は、鞄から読んでる最中の小説を出して読書に耽る。 読み終わるぐらいには手続き終わるかな?



 ◆◇◆◇◆◇



 サラ……


「うん。 読み終わったよ。 あ、戻ってきたねぇ」


 本を読み終わったところでフロントガラスから前を見てみると、ちょうど役所の出入り口から2人が出てくるのが見えた。 助手席と後部座席のロックを解除して待つ。


「ふぅ、終わったー」

「結構掛かったね」

「まあねー。 でもこれで私も柏原紗希よ」

「おお……。 紗希ちゃんは公私共に柏原にするの?」

「まあ、職場とか友人間は柏原で良いかな。 バレーボールの方では神崎のまま出るわ」

「なるほど。 まあ、いきなり苗字変わるとややこしやだからねぇ。 私もテレビ関係や仕事関係は清水だよ」


 テレビや不特定多数の目に触れる場面では旧姓を使い分けているのである。


「さ、戻るけど『皆の家』行く? それとも家に帰る?」

「うーん。 『皆の家』に行く前にペットショップ寄って良いかしら?」

「あ、ゴンすけ君だね」

「うん」

「らじゃだよ。 ペットショップに向かうよ」


 行き先変更。 何処かでUターンしないとねぇ。


「そういえばゴンすけ君はまだ帰って来れないの?」

「早ければそろそろだと思うけれど」


 猫さんの妊娠確認は少し時間が掛かるからね。 とりあえずお店に行ってみよう。



 ◆◇◆◇◆◇



 ブロロロ……


「到着だよ。 私もついでにマロンとメロンのご飯とか買い足しておこ」

「私はお見合いコーナー行ってくるわね」

「じゃあ入り口前の前田さんのとこに集合だね」

「……私、ずっと入り口前にいるわけじゃないがね」


 でも、今正に入り口前にいることも変わりないのである。 どうせ集合する時もいるに違いないよ。


「では解散」


 紗希ちゃんと柏原くんはお見合いコーナーへ、私はペット用品コーナーへ向かうよ。


「これこれ。 マロンとメロンが大好きなキャットフードだよ。 よいしょっと」


 カートに乗せて運ぶよ。 重たいからねぇ。 他に何か買って帰る物は無いかを考えながらコーナーをぐるっと一周。 特には無いねぇ。 どうせならケーキを買って帰ってあげようかな。 これ好きだからね。


 買う物を買って先に集合場所へ戻って来た私。 そしてやはり出入り口付近でウロウロしている前田さん。 彼女はいつもここで何の仕事をしているのだろう?


「前田さんのお仕事って何してるの?」

「この辺の商品棚の品出しや、初めて来たお客様の案内ですね。 あとは、各ペット達の日々の健康チェックとデータ入力」

「あ、なるほど。 だからいつもここにいるんだね」

「だから偶然なんですよ」


 お客様の案内をしている時はこの辺にいる事はないらしい。 逆にそれ以外だと大体この辺にいるという事でもある。


「あ、紗希ちゃんに柏原君。 それにゴンすけ君も!」

「にゃふ」

「どうやら今朝の検査でレイラちゃんの妊娠が確認出来たらしいのよ。 ちょうどもうすぐ連絡しようとしていたとこみたい」

「おお、良かったねぇ」

「もう少しでお相手さんもレイラちゃんを引き取りに来るみたいだし、ちょっと待っても良い? 話し合いしときたいし」

「らじゃだよ」

「なら、そこの休憩スペースでどうぞ」

「案内係の前田さん、ありがとうだよ」


 レイラちゃんの飼い主さんが来るまで店内で待機することになった私達は、休憩スペースでのんびり待つ事にしたよ。


「にしても、今日はおめでたい一日だねぇ。 紗希ちゃん達の結婚記念日にゴンすけ君のお嫁さんも妊娠が確認されるとは」

「本当よねー」

「偶然とはいえ、確かにめでたい日だ」


 これは2日の宴会にゴンすけ君の嫁さんご懐妊祝いも付け足さないとだねぇ。


 20分程待つと、レイラちゃんの飼い主さんである伊達さんが到着。 紗希ちゃんが立ち上がって挨拶している。 ゴンすけ君も挨拶している様子。 紗希ちゃんと伊達さんは2人でレイラちゃんを迎えに行ったよ。


「伊達さんっておいくつくらいなんだろう?」

「52歳だって紗希が言ってたよ」

「おお」


 かなり年上だねぇ。 見た感じちょっと良い暮らしをしているご婦人って感じだよ。

 10分程でお2人と2匹が戻って来た。 ゴンすけ君とレイラちゃんをたまに合わせてあげる約束とかをしたらしい事と、レイラちゃんのお腹には5つの新しい命が宿っているらしいという話を聞いたらしい。


「レイラちゃん、またねー」

「にゃふー」

「みゃん」


 今日のところはレイラちゃんとお別れして戻る事に。 ゴンすけは久しぶりに「皆の家」に帰還だね。



 ◆◇◆◇◆◇



「ただいまー」

「なはは! おかえりなさい神崎先輩ー。 あ、樫原先輩?」

「呼びやすい方で良いわよ」

「なはは。 では神崎先輩ー。 あ、ゴンすけー!」

「にゃふー」

「あら、もう帰って来て大丈夫ですの?」

「うん。 あちらさんの妊娠確認出来たから」

「ゴンすけ、手が早いんやな……」

「そんなとこまで紗希に似てますのね……」

「きゃはは」


 なるほど。 ペットは飼い主に似るとは良く言ったものである。 ん? だとするとマロンも私に似てるのかなぁ?


「マロンマロン。 お前も私に何処か似てるのかな?」

「みゃー」

「無茶苦茶賢いところとか正にそうでしょ……」

「……それは私に似たというか元からな気がするよ」

「なはは。 たしかにー」


 さて。 今日は紗希ちゃんと柏原君の入籍と、ゴンすけ君のお嫁さんの妊娠とおめでたい一日となりました。 12月2日にはこれを祝して宴会騒ぎだよ。

ゴンすけも帰ってきてめでたい日だ。


「遥だ。 さあ宴会だ宴会!」

「騒ぐよ!」

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