第2053話 奈央への誕生日プレゼント
もうすぐ奈央の誕生日という事で、プレゼントを買いに出掛ける紗希達。
☆紗希視点☆
今日は11月4日の土曜日よん。 亜美ちゃんから誘われて、奈央の誕生日プレゼントを買いに出かける事になっているわ。 まあ、あいつに誕生日プレゼントがいるのかって言われると微妙なんだけど。 何せあの子は西條グループ総帥令嬢。 超がつく大富豪で欲しい物は自分で何でも買える。 別に人から貰わなくても良いと思っているんじゃないかしら。
しかし亜美ちゃんが言うには「親しい人からプレゼントを貰うっていう事自体が嬉しいんだよ」との事。 まあ、それに関してはわかるわ。
◆◇◆◇◆◇
亜美ちゃんの……もとい今井君の家に集合した私達。 メンバーは亜美ちゃん、私、希望ちゃん、奈々美、麻美、渚、遥、マリアの8人。 亜美ちゃんの車が8人乗りな為、これ以上は行けないのよ。 前田さんや冴木さんからはプレゼントに買う物をメモで渡された。 お金は後で返してもらうわ。
「ではでは、市内まで走るよ」
「はーい」
今日は市内のショッピングモールへ向かうわよ。 奈央へのプレゼントだからもっと高い物の方が良いかと思うんだけど、亜美ちゃんは値段の問題では無いとの事。 奈央もそうなのかしら?
ブロロロ……
「麻美も早く免許取れれば良いよな」
「頑張ってるー」
現在麻美は教習所に通っている。 免許を取って車を買えば、一緒に出かけられる人数が増えるものね。 ただ、麻美の運転する車に乗りたいかと言われると、ちょっと悩むわね。
「麻美ちゃん、教習の方は順調?」
「うむー。 学科はよゆー!」
「あんたの場合は技能の方が問題でしょうが」
「よゆー!」
麻美は方向音痴という欠点をある程度克服した為、亜美ちゃんからOK貰って教習所に通っている。 まあ、亜美ちゃんが大丈夫だって太鼓判を押すなら大丈夫でしょ。 でもやっぱり、麻美が車に乗れるようになってもすぐには乗りたくないわね。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
車は市内にあるショッピングモールに到着した。 私達がちょっとショッピングしようってなったらまずここへやって来るわ。 近所では一番大きなモールよん。 ショッピングモールだけじゃなくて、周りにも色々なお店があるからよく利用するわ。
「さて。 来たは良いものの、奈央ちゃんは何を貰ったら喜ぶかな?」
「まあそれよね。 何せ何でも手に入れられるお嬢様だし……。 紗希は何か聞いてないの?」
「何も聞いてないわよん? 何が欲しいってのも最近は言ってなかった気がするわ。 秘書の亜美ちゃんは何か聞いてない?」
「聞いてたら困らないよ。 馬主になりたいって話は聞いてて、一応色々と進めてはいるけどねぇ」
「馬をプレゼントするのー?」
「さすがに無理やろ……」
「はぅ。 やっぱりアクセサリーとかが無難なんじゃ?」
「私もそう思います」
希望ちゃんとマリアの提案は無難にアクセサリー類から選ぶというもの。 まあ、ハズレは無いと思うわ。
「とりあえず候補だねぇ」
「他には?」
「まあそれで言えば洋服とかじゃない?」
「だねぇ」
やはり無難に身に付ける物が良いのではないか、という話に落ち着く。 まああまり奇を衒っても仕方ないし、その辺の物を皆でお金を出し合ってプレゼントするのが良さそうね。
「じゃあ具体的にどんなアクセサリーと洋服にするかだね」
「どっちも普段使い出来るぐらいの安価な物で良いんじゃない? 社交の場で身に付けるような高級なドレスやアクセサリーは自前でたくさん持ってるし」
私は何度かそういう高級なドレスやアクセサリーを身に付けている奈央を見た事がある。
「大体決まりだね」
「大事なのは私達からのプレゼントだっていう事よん。 それだけあの子は喜ぶわ」
「親友が言うなら間違いないー!」
◆◇◆◇◆◇
方針が決まったという事で、まずは貴金属店へと足を運んでみる事にしたわ。 このモール内にはいくつかそういったお店があるが、比較的リーズナブルで可愛いアクセサリーが置いてあるお店をチョイス。
「はぅ。 可愛いよこのブローチ」
「ブローチは普段使いにはどうかしら?」
「たしかにー」
「普段使いなら指輪、ネックレス、ブレスレットとかイヤリングですね」
「マリアちゃんわかってるねぇ!」
「あの子、あれであんまりキラキラと目立つアクセサリーは好まないのよ。 あまり目立たないネックレスとか良いかも」
「親友情報助かるわね。 じゃあアクセサリーはネックレスにしましょ」
という事で、ネックレスを選ぶ事にしたわよ。 このネックレスを、今買い物に来ているメンバー全員からのプレゼントとして贈り、洋服を前田さんや冴木さん他、ここにいないメンバーからのプレゼントとすることに決定したわ。
「11月の誕生石はトパーズとシトリンだよ。 どちらにも共通して『友情』という石言葉があるんだよ。 私達からのプレゼントにぴったりだね」
「トパーズを使ったネックレスを探すぞー!」
私達は誕生石別コーナーへ移動して、11月の誕生石であるトパーズのネックレスを探す。 目的の物はすぐに見つかったが、そのネックレスも数種類に渡り
その中から選ぶ必要がある。
「あまり派手なのは好まないんだよな?」
「ええ。 たがら宝石もあまり大きいのよりは小さい方が良いかも」
「ほな、チェーンも細くて目立たへん方がええですよね?」
「そうねー」
「じゃあ、この辺のなんてどぅ?」
希望ちゃんが指差した先を皆で見つめる。 そこには私達が正に探している条件に見合ったネックレスが鎮座していた。
「細くて目立たないチェーンに」
「小さ目のトパーズをあしらったネックレス!」
「こりだー!」
割とすぐに見つかったネックレス。 そのお値段は!
「66800円」
「ま、まあまあこんなもんでしょ」
「私達の人数で割るから、一人一人の出費はそこまで大きくはないよ。 一人当たり8350円だよ」
さすが亜美ちゃん。 計算速くて助かるわ。 それぐらいの出費ならあまり痛くはないわね。 奈央が泣いて喜ぶ顔が浮かぶわ。
◆◇◆◇◆◇
ネックレスを購入した後は、洋服を買いにブティックへ。 こちらは前田さん達からのプレゼントとして購入予定。 お金は亜美ちゃんが立て替えてくれるとの事よ。 あまり高いのを買うと、前田さん達の目が飛び出る事になるのでこちらもなるべく出費を抑える感じで選ぶわ。
「奈央ちゃんの服の好みとかってどんな感じ?」
「普段使いするような服は動きやすいのを好むわね。 見た目より機能性重視よ」
「確かにそんな感じだよな」
旅行だとかに出かける時はジーンズだったりする事が多いわよ。 スカートはあんまり普段履かないタイプね。
「これから冬に入るし、温かいトレーナーかセーターが良いよぅ」
「あ、セーターはダメよ。 静電気が嫌だって言うから」
「なはは。 じゃあトレーナーとか上着だー」
「そうね。 コートとか良いかも」
「方針が固まったねぇ!」
という事で、奈央に似合いそうなコートを探す事に。 奈央の場合はサイズも探すのが大変で、良い物を見つけるまでにかなり時間が掛かってしまったわ。 二つまで絞り、最後はオシャレ番長の奈々美と私が選んだ、薄いブラウンのコートを購入することに。
「これでOKね」
「あとは誕生日パーティーの時に渡すだけですね」
「喜ぶと良いんだけど」
私はその心配はしてないわね。 あの子は私達からプレゼントをもらったら確実に喜ぶもの。 あの子、あれで皆の事が大好きだから。 昔の独りでいようとしてい奈央はもう何処にもいないわ。
何とかプレゼントも買ってあとは当日を待つのみ。
「遥だ。 私は食い物の方が嬉しいけどな」
「形に残る物じゃなくて良いんだ……」




