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第2036話 ビッグサーバー

奈央のサーブで得点を稼いだアルテミス。

 ☆亜美視点☆


 3セット目開始直後から奈央ちゃんのサーブで得点を稼いだ私達。 1-3とまだ少し足りないけど、こればかりは仕方ない。 弥生ちゃんのサーブを上手く捌ければ良いんだけどねぇ。


 さてさてキャミィさんのサーブだねぇ。 パワーはあるけど後衛には希望ちゃんがいるしまあ何とかなるよね。


「ヨッシャ! ヤヨイ! ウチもいったるデ!」

「おう、いったれ!」

「オー! ヤヨイじきでん! ナックルサーブやデ!」

「な、何ですって?!」

「キャミィさんがナックルサーブ?!」

「ワハハ! オリャッ!」


 パァンッ!


 私達はとりあえず身構える。 弥生ちゃんの使っていたナックルサーブは、その辺のフローターサーブとは比べ物にならないぐらい揺れるサーブだったからねぇ。 その弥生ちゃん直伝となれば要警戒である。


 ゆらゆら……ギュイン!


「うわわっ!? 急に変化するよぉっ!?」


 飛んできたボールをじっと見ていたら、急に右下方向に落ちるような軌道に変化した。 こんなの反応出来ないよぉ。 結局1球目は誰も拾えずに見送ってしまう。


「直に見るとやばいわね」

「変化もランダムだし、待つのは得策じゃないねぇ」

「前に出て早めに拾うって事ね? りょ!」

「私も頑張るよぅ」


 にしても、キャミィさんがナックルサーブを教えてもらっていたとは知らなかったよ。 ワールドカップではやってなかったから、あの大会の後の短い期間でマスターしたって事だね。


「ワハハ! いくデー! オリャア!」


 パァンッ!


「うわわっ!? 今度は普通のサーブ!?」

「はぅっ!? 反応が遅れたよぅ」


 ナックルサーブを警戒し過ぎて普通のドライブサーブに反応出来なかった私達。 球速が違い過ぎて両対応が難しい。


 ピッ!


「一瞬で追いつかれましたわね」

「さっきまでと違って大味な試合になってるわねー」

「ビッグサーバーが本気出すとなぁ」

「キャミィさんを止めても弥生ちゃんが同じサーブを使ってくるんだよねぇ」

「ですわね」


 困ったねぇ。 早くあのサーブを何とかしないと。


「ワハハ! 次いくやデ!」

「来るよ!」

「集中!」


 パァンッ!


 どっちのサーブだろう?


「普通のサーブだよぅ! はぅんっ!」


 いち早く見抜いた希望ちゃんが超反応してレシーブに入った。 やっぱり頼れる(リベロ)である。


「ナイスですわ! よーし、時間差ー!」


 希望ちゃんのレシーブは綺麗に奈央ちゃんのセットポジションへ。 奈央ちゃんから時間差の合図が出たので、予め決めていた順番で各スロットに助走していく。


「奈々美! ぶっ潰せー!」

「了解! ふんっ!」


 パァンッ!


 ピッ!


「よし!」


 何とかキャミィさんのサーブを凌いだ私達。 3-4と、逆転されるのは免れたが、この後は弥生ちゃんもサーブもあるんだよね。


「遥もナックルサーブいってやりなさーい!」

「いや、使えねーからな?」

「ゆけー遥ちゃーん!」

「はぁ……」


 遥ちゃんは溜息を一つついてからサーブを放つ。 ナックルサーブではなく普通のドライブサーブだよ。 やっぱり無理なんだねぇ。


 パァンッ!


「普通のサーブなら拾えます!」

「だよなぁ」


 遥ちゃんのサーブは新田さんに拾われ、宮下さんにしっかり決められてしまった。


「すまんー」

「仕方ないよ。 並のサーブじゃあもうエースは狙えないし」

「やはり皆、ネオドライブかナックルサーブをマスターするべきですわよー」

「だからすぐには無理よ……」

「ミアさんじゃあるまいし」


 簡単にマスター出来るサーブでもないだろうし。 


 さてさて、次のサーブはクリムフェニックスの白鳥さん。 だが、これも結局同じで普通のサーブでは私達を崩す事は出来ないのである。 あっさり時間差高速連携で得点を決める。 更に更に私のサーブも簡単にレシーブされ、宮下さんに決められる。 5-5になり宮下さんのサーブ。 ここもやはり私がしっかりレシーブしては時間差高速連携を決めた。


「さあさあ奈々ちゃん出番だよ」

「えぇ。 当然狙っていくわよ」

「でもさー、宮下さんに何だかんだ拾われてたじゃん」

「あー、あれね。 あれは宮下さんを狙ってコントロールするのに、威力落として打ってたし」

「あ、あれで?」

「ええ。 さて、じゃあ全力で打ちますかね」


 そう言って奈々ちゃんはサーブポジションへ。 細かいコントロール無くなるけど、最大威力のサーブを打てるらしい。


「いくわよ……全力サーブ! はっ!」


 パァンッ!


 うわわぁ……さっきまでとはまた比べものにならないぐらい速いサーブだ。 そんなサーブが白鳥さんに襲いかかる。


「ひぃっ!?」


 あまりの威力にレシーブのフォームの腰が引けている。 あれでは奈々ちゃんのサーブを拾うのは無理だろう。


 パァンッ!


「うぅっ、ごめんー!」

「あかんか……」

「やばいって……」

「ワハハ。 さすがやナ」

「うわはは! やっぱり皆そうなるんじゃん!」

「さっきまでより更に威力上がってない?」

「上がっとるな……コントロールを捨てて威力重視にしたんやろな」

「恐ろしい……」

「またくるデー」


 さあさあさあさあ! 奈々ちゃんのサーブが続くよ。 鬼神の如き力から放たれる、超威力のサーブをバンバンお見舞いだよ。


「いけー」

「いくわよっ!」


 パァンッ!


 おぉ、凄い凄い。 今度は宮下さん目掛けて飛んでいくよ。 宮下さんはさっきのセットまで散々奈々ちゃんから狙われていたのだけど、最大威力まで上げた奈々ちゃんのサーブはまだ受けた事は無いはず。


「ぐぇっ?!」


 カエルが潰されたみたいな声を上げて倒れた宮下さん。 肝心のボールも何処か遠くへ飛んで行ったよ。


 ピッ!


「ふぅ。 テクニカルタイムアウトだね」

「5-8なら上々ですわねー」

「しかもまだ奈々美のサーブが続くわよん」

「あっちからしたら地獄だな」

「でもまだ弥生ちゃんのサーブあるし、こっちも気は抜けないよ」


 とりあえずベンチへ戻って息を整える。 前田さんの話も聞いていくよ。


「皆さん良い感じですね。 キャミィさんがナックルサーブを打てるというのは意外でしたが……」

「初出しみたいだものね。 データに無くても仕方ないですわね」

「はい。 次のローテーションでは月島さんがサーバーになりますから、もう少しここで稼ぎたいですね」

「やれるだけやってみるけど、細かいコントロールは捨ててるから」

「弥生ちゃんに飛ぶとレシーブされるかもねぇ」

「それもやむなしですね……」


 方針としては相変わらず全力で戦う。 特にサービスエースが狙える人はガンガン狙っていくという事だ。 奈央ちゃんはまだネオドライブサーブからの色んな派生サーブがあるから、どんどん狙えるよ。 私も何かあれば良いんだけど、ピンポイントサーブも天井サーブも既にバレているからねぇ。 サーブでは中々貢献出来そうにはない。 その他で頑張るしかないねぇ。

奈々美のサーブも絶好調。 どこまで稼げるか。


「亜美だよ。 奈々ちゃんの弾丸サーブは世界最強だよ」

「バシバシいくわよ!」

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