第2019話 免許取得に向けて
亜美の車で教習所へ向かう麻美。
☆麻美視点☆
ブロロロ……
今日は24日月曜日だ。 亜美姉に連れられて自動車教習所へ向かっている。
「ワクワク」
「そんな楽しいところでもないよ?」
「そうなのー?」
「まあ、車を運転出来るようになる為に勉強する場所だからねぇ」
「そうかー。 でも楽しみー」
車の免許が取れたら車を買って、色々なとこに行くぞー。
「免許って早くてどれくらいで取れるー?」
「まあ、通常は1ヶ月〜2ヶ月だね。 一発試験なんてのもあるみたいだけど、基本的な知識が無い状態だとまず合格出来ないよ」
「ほへー」
1ヶ月〜かー。 ちょっとのんびりやっても良いかもしれないー。
「流れとしては適正検査、学科や技能のお勉強をしてみきわめ、修了試験、仮免試験に合格したら路上研修や引き続き学科の学習、卒業試験のあと、免許センターで試験を受けて晴れて免許交付だよ」
「試験だらけー」
「そうだよ。 でもまあ、ちゃんと勉強すれば突破出来る試験だよ。 麻美ちゃんは頭も要領も良いから大丈夫」
「なはは。 亜美姉に褒められたー」
「今日は申し込みと適正検査だと思うよ」
「はーい」
亜美姉が通っていた教習所には、亜美姉の顔が利くという。 何でも模範生だったとかー。 さっすが亜美姉ー!
「着いたよ。 近くの有料駐車場に車停めてくるから待っててね」
「りょーかーい」
ブロロロ……
私は先に車から降りて、教習所の門の前で待機! 亜美姉が車を停めて戻って来るまでー。
「おお、これが教習所ー」
中には技能講習用と思われる、小さなコースがある。 ヘアピンカーブや坂道、交差点等様々な物が作られているー。
「おー! やってる〜」
コース上では、何台かの教習車が技能講習中のようで、実際に走行している姿も見受けられる。 あんな風に講習するのかー。
「お待たせだよー」
「あ、亜美姉ー」
5分程で亜美姉が戻って来た。 戻って来た亜美姉の後について行き、教習所の中の建物の中へ。 少し待ち時間はあったが、申し込みや適正検査を無事に突破! 亜美姉か聞いた、講習の流れや必要な参加回数等を説明され、バッチリメモしておいたぞー。 明日にでも早速講習を受けに来ようと思う。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
「どう? 何とかなりそう?」
「学科は大丈夫だと思うー。 技能講習が不安ー」
「技能講習は助手席に講師も乗って教えてくれるから大丈夫だよ」
「鬼講師に当たったら怖いー」
「あはは……あまりそんな話は聞かないよ、あの教習所」
「なら安心ー」
帰りの車中では、亜美姉が教習中に気を付けていた事や、無理の無いスケジュールの組み方などを教えてもらった。
「ちなみに、ATとMTどっちにするの?」
「MTー! 亜美姉も月島先輩もカッコイイー!」
「あはは。 MTは車を運転してるって感じが強くて良いよ。 頑張ってねぇ」
「うむー!」
「さて。 今日はこのまま『皆の家』に行く? 火曜日なら宏ちゃんと前田さんもいるし」
「んにゃー。 今日は確か、宏太兄ぃは藍沢家にお引越しー」
「あ、今日だったんだ?」
「うむ。 今日から4人暮らしになるー」
「そっかそっか。 賑やかになるねぇ」
「狭くなるー」
我が姉と入籍した宏太兄ぃは、今までは実家と「皆の家」を行ったり来たりする生活をしていた。 愛犬のリンは、実家では飼わせてもらえないためらしいー。 そんな宏太兄ぃも、今日からは私、お姉ちゃん、渚が暮らす藍沢家にやって来るのだ。 もちろん、リンも一緒ー。 今の家はお姉ちゃん名義の家になっているので、家主はお姉ちゃんであるー。 来年には家の向かいに建てている私の家が完成するので、私と渚はそちらに移り住む予定だ。
「じゃあ、今日はこのまま帰ろうねぇ」
「平日の『皆の家』は人が少ないー」
「皆、仕事してるからねぇ」
火曜日は宏太兄ぃと前田さんが所定休日でいる以外、他の皆は大体仕事ー。 夕也兄ぃもバスケの練習に出かけている事が多い。
「その前に! 『皆の家』に車を停めて緑風に行きたいよ」
「なはは……フルーツパフェー?」
「当然だよ」
亜美姉はブレないのであったー。
◆◇◆◇◆◇
「んぐんぐ。 やはり! 緑風のフルーツパフェは世界一だよ」
「パフェの人、それはさすがに盛り過ぎ」
「事実だよ」
亜美姉は実に美味しそうにパフェを頬張っている。 この店の店員、名塚先輩と三浦先輩は苦笑いしながら亜美姉を見ていた。
「麻美ちゃんー。 バイトに帰って来てよー」
「な、なはは……色々忙しいのでー」
「だよねー。 作家さんにバレーボール……そりゃ忙しいか」
「やっぱ新しいバイト探さないとダメですよマスター」
「そうだなぁー」
少し前までは、私や夕也兄ぃにお姉ちゃん、希望姉と渚がバイトに入っていたんだけど、今は渚だけが残っている。 その渚も今年いっぱいで辞めると言っているらしい。
「というか、三浦さんはいつまで続けるつもりなの?」
「就職決まるまで?」
「んぐんぐ……三浦さん、何かやりたい事とかあるの?」
パフェを食べながら亜美姉が質問すると、三浦さんは恥ずかしそうに答えた。
「自分で小さな喫茶店的な物をやりたくて。 だからこうやって緑風で色々と勉強してるんだけどさ。 まあ、店持つにもお金が要るし……しっかりした所で働いてまずは貯金をね」
「んむ……」
あ、亜美姉が悪い顔してるー。 西條先輩みたいだー。
「そういう事ならば、西條グループにお任せあれ」
やっぱりだー。 最近は亜美姉も西條グループの人間に染まってきたと言われているが、どうやら本当らしい。
「西條グループに?」
「うん。 私や奈央ちゃんに相談してくだされば、何か力になれると思いますよ。 んぐんぐ」
「なはは」
「い、一応頭には入れておきます」
「んむんむ」
「名塚先輩はいつまで続けるんですかー?」
「私かー。 子供出来たらさすがにかなー」
「んむ。 名塚先輩はまだ子供作らないんですか?」
「んー。 来年ぐらいには欲しいかなぁとか話しちゃいるんだけど」
「おおー。 うちもなんですよ。 んぐんぐ。 ご馳走様でした」
亜美姉はパフェを完食。 名塚さんといつ子供を作るかという話で盛り上がっている。
「三浦先輩は彼氏さんいないんですかー?」
「いない……」
「な、なはは」
「あぁ、何処かに私と喫茶店やってくれそうな素敵な人はいないかしら」
「きっといますよー!」
三浦先輩は素敵な人だし、男が黙ってないはずー。 結構お客さんからも人気だしー。
「だと良いけど」
「なはは」
「さて。 麻美ちゃん帰ろっか。 あ、また食べに来ます!」
「なはは。 それではまたー!」
「はいはいー」
お金を払って緑風を出る。 私は帰ったら免許取る為に色々と予習しておこうと思います。
「そういえば、映画の公開日さっき発表になったみたいだよ」
「映画ー? 私が原作の『時を越えて』の事ー?!」
「うん。 今さっきSNSにお知らせが出たよ」
「本当だー! 12月9日ー!」
どうやら遂に私の映画がの公開日が発表されたようだ! 12月9日は是非とも劇場に観に行かなくてはー!
映画の公開日も決まりノリノリの麻美であった。
「奈々美よ。 麻美、免許なんて取って平気かしらね?」
「心配し過ぎだってば」




