第2018話 秋のドライブデート
今日は夕也とドライブデート中の亜美。
☆亜美視点☆
試合の翌日。 22日の土曜日。
今日は夕ちゃんとドライブデートだ。 今日は夕ちゃんとイチャつくよぉ。
ブロロロ……
「今日は何処に行くんだ?」
「うんとね、この時期でも紅葉が綺麗に見られる場所があってね」
「紅葉狩りか」
「うん。 あと、焼き芋も食べられるよ」
「そっちが目当てか?」
「私が甘い物目当てでデートの行き先を決めてると思ってる?」
「違うのか?」
「合ってるよ……」
「ふん」
夕ちゃんは何でもお見通しだねぇ。 実は焼き芋が食べたくて仕方なかったんだよ。
「ちなみに、近くには美味しいパフェが食べられるお店もあるんだよ!」
「まさかそれも食べるのか?」
「もちろんだよ! 東にパフェがあれば食べに行き、西にパフェがあれば食べに行く。 パフェがある場所に私アリだよ」
「何言ってんだか……」
「あはは。 まあ、そういう事で今日は紅葉狩りデートだよ」
「おう」
ブロロロ……
「車があるとデートの行き先が増えて良いね」
「まあ、お前が大変だがな」
「そうでもないよ。 夕ちゃんとのデートなら何処まででも走るよ」
「ははは。 そうかそうか。 んじゃこのまま青森ぐらいまで行くか」
「行くわけないよ……」
「お前なぁ」
まあ、行けても割と近場だね。 今回も何だかんだ言って、県内にある西條グループの公園へ行くだけだからね。
「亜美はパフェを食べたいのかデートしたいのかどっちなんだ?」
「もちろん、デートがしたいんだよ。 で、デート中についでにパフェ……というか甘い物を食べるんだよ」
「そうかいそうかい」
「あはは。 そう言えばね、麻美ちゃんも免許取って夕ちゃんを連れて乗り回したいって言ってたよ」
「一番最初に乗せるとも言ってたな……」
「言ってたねぇ。 麻美ちゃん、本当に夕ちゃんの事が好きなんだね」
「まあ嬉しいのは嬉しいが、愛情表現が激しいところがネックだな」
「あはは。 あれも昔からだよね」
「んだなぁ。 小さな頃から色々と激しい子だった」
「うんうん。 夕ちゃんも良く頑張ってる方だよ。 普通の人間は麻美ちゃんの激しいコミュニケーションには中々耐えられないよ」
何せ、食べ物を丸ごと口の中に放り込んだり、後ろから強烈なタックルをしたりするからね。
「俺も人間離れしてきたのか……」
「頑丈にはなったが……」
夕ちゃんは麻美ちゃんに鍛えられたと言っても過言ではないのだ。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
「着いたよ。 西條グループ運営の公園」
「やはり西條グループなのか……」
「何かと便利だからねぇ」
「西條グループの人間だと色々と楽だろうしな」
「駐車料金はもちろん、入園料もタダに出来るよ! この西條グループプラチナカードがあればね」
「亜美もかなり染まってきたなぁ」
「西條グループの一員としてこれくらいは当然だよ」
「お、おう」
「さあ、入るよ!」
私は意気揚々とゲート前の受付へ向かい、プラチナカードを見せて話を通す。 さすがに一般のスタッフでは話が通じなかったので、園長さんに来てもらったよ。
「話は終わったか?」
「うん。 タダで入れるよ」
「さすがだな……」
「えへへ。 ではでは! いざ焼き芋!」
「いきなり食べるのか……」
「食べながら歩くんだよ。 さあ、出発ー! 焼き芋ー焼き芋だよー♪」
とりあえずは園内にある焼き芋屋さんで焼き芋を買って、それから紅葉を見ながらゆっくりする事に。 たまにはこういうのんびりデートも良いものである。
「あったあった。 おじさん、焼き芋2つ下さいな」
「あいよ」
「俺は食べないぞ」
「私が2つ食べるんだよ」
「さようか」
甘い物はいくらでも食べられるんだよ。 別腹なんだよ。
「あいよ」
「ありがとうございます。 おぉ、美味しそうだよ」
紙袋の中には2つの焼き芋がホクホクな状態で入っている。 早速一つ取り出して、半分に割って頬張っていく。 あ、紙袋は夕ちゃんに持ってもらっている。
「ハフハフ……んーっ、美味しい」
「食べ歩きか?」
「そうだねぇ。 しばらくは紅葉を見ながらゆっくり歩くよ。 ハフハフ」
「可愛い奴め……」
「ハフハフ」
しばらくは紅葉を見ながら焼き芋の食べ歩き、良い感の場所にあるベンチに腰掛けて休憩。
「ハフハフ」
「ずっと食ってんな……」
「美味しいんだよ。 ハフハフ」
「帰りにパフェも食べるんだよな?」
「そうだよ」
決定事項なのである。 夕ちゃんは隣で呆れたような顔でこちらを見ていた。
◆◇◆◇◆◇
焼き芋を完食した私は、夕ちゃんと久しぶりにボートに乗る事に。 学生の頃には市内の公園で乗った事もある。
「んー。 さすがにもう肌寒いねぇ」
「だなぁ。 湖の上はさすがにな」
夕ちゃんはボートを漕いでいるのでまだマシだろう。 私はただ乗ってるだけだから更に寒いよ。
「奈々ちゃんと宏ちゃんも結婚したし、いつ子供作るか相談しないとだねぇ」
「同い年の子を産む約束か」
「うん。 性別とかはどうなるかわからないけどねぇ」
「まあそればかりはな」
「うん」
近い内に子供の事は相談する事になりそうかなぁ? むふふ。 決まったら夕ちゃんとムフフしまくりだねぇ。
「子供か。 三山夫妻と可憐ちゃん見てると微笑ましいよな」
「うん。 可憐ちゃんは可愛いよね。 あの子を見ていたら、私も自分の子が欲しくなるよ。 でも、奈々ちゃんとの約束は大事だからね」
「ははは。 女の子同士だと、亜美と奈々美みたいに仲良くなって良いのにな」
「男女だと結婚とかしちゃうかもね」
「あるかもなぁ」
「男の子同士ならどうなるかなぁ?」
「俺と宏太みたいになるんじゃねぇか?」
「ああ、ありそうだねぇ」
少しずつ現実味を帯びてきた、自分の子供というものの存在。 近い将来には間違いなく私と夕ちゃんとの間に産まれるであろう新しい命。 その将来を考えると、ワクワクする。 宮下さんを見ていると、大変なんだろうとは思うけど、私も親になってみたいと思うよ。
「夕ちゃん。 子供の名前とか、どうしようねぇ?」
「ぶっ……さすがにまだ早くないかぁ?」
「備えあれば憂いなしだよ」
「備え過ぎだっての」
「そうかなぁ?」
子供の名前なんて早く考えといても良いと思うんだけど。 まあ、それは時が来たらだね。
「んんー! 将来が楽しみだねぇ」
「そうだな」
私はちゃんと幸せになれた。 まだこの先にはもっと幸せが待っていると思うと、本当に心が踊る。 あと心配なのは……。
「希望ちゃん、どうするんだろうね……」
「希望か……」
希望ちゃんは最近は夕ちゃんの事で何か言ったりするような事は少なくなった。 麻美ちゃんの新居が完成したら、そちらへ行こうかとも考えているとも言っていた。 希望ちゃんは今でも幸せだと言ってくれるけど、私はまだ希望ちゃんを幸せに出来たとは思っていないんだよね。 私にまだ、何か出来る事はないだろうか?
気になるのはやっぱり最愛の妹の事。
「希望てす。 はぅ、私の事は気にしなくて良いのに」
「むむー」




