第2011話 アルテミスに合流
朝食の支度中の亜美。
☆亜美視点☆
朝だよ。 今日は大学があるというマリアちゃんの朝食を用意しているよ。
「なはは! おはよー!」
「あんたは朝からうるさいわね……って、あれ?」
「マリアがおるやん」
「おはようございます」
「昨日はうちで夕飯食べてお泊まりしてもらったんだよ」
「なぬーっ?! 羨ましいぞー!」
「あ、あはは……麻美ちゃんもいつでもおいで」
「やったー!」
「皆さんはどうされたんですか?」
マリアちゃんが奈々ちゃん達に質問を投げかける。 まあ、朝早くから皆して隣の家におじゃまして来るなんて、普通はあんまりないからね。
「奈々ちゃん達はよく今井家にご飯を食べに来るんだよ」
「ちゃんと食べる物は持参してるわよ」
「賑やかに食事する為だー」
「まあ、そういうこっちゃ」
藍沢家のペット達も一緒におじゃましているよ。 エサ皿にそれぞれエサを入れてもらい、むしゃむしゃと食べている。 タマとレオンはキャットフード。 くぅ、アテナ、エリーはドッグフードである。
「宏ちゃんが一緒に住むようになると、リンちゃんも来るんだよね?」
「そうね」
リンちゃんとは、宏ちゃんの愛犬である。 ゴールデンレトリバーなのでかなり身体が大きいよ。 ちなみに前田さんも同じくゴールデンレトリバーのライ君を飼っている。 宏ちゃんも最近は「皆の家」に半分住んでる感じで、2匹もよく「皆の家」の庭で遊んでいたりする。 また宏ちゃんと前田さんは、職場にも2匹を連れて行くので、昼間はあまり「皆の家」には居なかったりもする。
「あのデカいのが来るのね」
「なはは! くぅは喜ぶー」
「ライ君とリンちゃんには、ダイヤもよく懐いています。 よくリンちゃんの背中に乗って寛いでいますよ」
「へぇ」
宏ちゃんはもうすぐ隣の藍沢家で暮らすようになる予定だ。 つい先日、奈々ちゃんと入籍を果たしたからね。
「はい、朝食出来たよ。 希望ちゃんと夕ちゃん起こしてくるねぇ」
「まだ寝てんの?」
「まあ、希望ちゃんは起きてると思うけど、夕ちゃんは確実に寝てるね」
希望ちゃんはお仕事だから、もう起きて支度してる頃だよ。 夕ちゃんは今日はチーム練習も試合も無いオフ日らしいので、まだ寝てるだろう。
◆◇◆◇◆◇
「んむんむ。 朝はやっぱり和食だねぇ」
「白米、味噌汁、焼き魚にお漬け物。 日本の朝って感じですね」
「それに比べて私達はフレンチトーストとコーヒーだー!」
「別に良いでしょ……」
「夕ちゃんもコーヒー好きだよね。 マリアちゃんは?」
「結構飲みますよ」
「え……」
マリアちゃんもあの茶色い液体飲むんだね。 私は一生飲まないよ。 ただ苦いだけだよ。
「紅茶も好きですよ」
「それは私も飲むよ。 スーパーに売ってるカステラと一緒に」
「亜美、あのカステラハマってるわよね」
「私もよう買ってくるんですが、結構美味いんですよ。 まあ、和菓子の方が好みやけど」
「んむんむ。 渚ちゃんと弥生ちゃんの祖父母がやってる花菱屋の和菓子、美味しいよねぇ」
「花菱屋の和菓子は日本一!」
渚ちゃん達のお爺さんとお婆さんは、京都で和菓子屋を営んでいる。 私も定期的にオンライン販売で取り寄せて食べているよ。
◆◇◆◇◆◇
希望ちゃん、マリアちゃんがそれぞれお仕事と大学へ出かけたのを見送り一休憩。
「さて。 今日はどうしよう」
「今日はアルテミスのチーム練習あるわよ。 もうすぐシーズン始まるから」
「私達は今日の練習に参加するよてー」
「私らはまだ正式な選手やないですけど」
「チーム練習かぁ。 よし、私も行こうかな」
「お、良いわね。 他にも行けるメンバー探しましょ。 奈央辺りが来てくれると楽で良いけど」
と、グループチャットで話を振ると……。
「フィーッシュ! 奈央と冴木さんが釣れたわ。 マリアは大学終わったら直行するって」
他のメンバーはお仕事で忙しくて無理だねぇ。 奈央ちゃんが確保出来たから、移動は楽ちんである。
「じゃあ、一旦帰って支度だー!」
「そやな」
「亜美、また後で」
「うん」
よし、私も出かける準備だぁ。
「あ、夕ちゃん。 マロンメロンとハムちゃんと海水魚さん達をお願いねぇ」
「あいよぉ」
今日は一日家に居るらしい夕ちゃんにペットのお世話を任せる。
「今日の晩は一緒に寝ようねぇ」
「急にどうした?」
「夫婦らしい事しとかないと」
「そ、そうかい……」
さて、支度支度。
◆◇◆◇◆◇
西條家のバスでアルテミスドームまでやって来たよ。 奈々ちゃんはよくチーム練習に参加しているらしいけど、私はワールドカップ以降初参加になる。 もう少しでシーズン始まるし、出来るだけ顔は出したいんだけど、色々と用事があったりで中々ね。
「おんや。 今日はまたようさん来られはったね」
「師匠までいらっしゃるー!?」
「おー! 牧田さん久しぶりー!」
そう言えば、Lの牧田さんは麻美ちゃんの弟子だったね。 何とも騒がしい師弟ではあるが、牧田さんは数少ない「ちょいさー」の理解者だ。
「清水さんに月島妹もいるのね」
「あ、和香さん! 大会ぶりだね」
「そうね」
「マリエルさんとクロエさんももう合流してらっしゃるのね」
「ハイ」
「シテマス」
こうやって見るとまあ凄い面子である。 このまま世界大会にでも行けるぐらいのメンバーだ。
「おう、お前達かー。 今日は練習に参加するのかぁ?」
「なはは! 誰だこのおっさんはー!」
「ワシ監督! 小林監督! ワールドカップ日本代表の時も居ただろう?!」
「なはは! 前田さんが監督かと思ってたー!」
「……」
小林監督、ちょっと泣いてるよ。 実際、ワールドカップの時もあんまり目立ってなかったからねぇ。
「コホン。 奈々美さん。 悪いけど今シーズンのエースナンバーは私に決まってるからね」
「和香さんが引き続きエースなの? まあ、良いけど」
「い、良いの?!」
「別に拘りは無いわよ……」
と、奈々ちゃんはエースには拘らない様子。 麻美ちゃん渚ちゃんや冴木さんは、まだ正式なチームメンバーでは無いからユニフォームすら無いしね。 とは言え、3人とも既にアルテミスに所属する事は決めているらしいので、こうやってチーム練習に参加している。
「MBの方はどうなってますかー?」
「マリエルはんと星野はんが争ったはりますけど、まあ今シーズンはマリエルはんがエースブロッカーに決まりそやな。 Sの方は今シーズン、姫神はんに決まりや」
「え? 眞鍋さんじゃないんですの?」
「ウチより若いもんの育成やろな。 ウチは控えで構わんよ。 実際、姫神はんもかなり力つけて来はったし」
「アタッカーでも、高嶺さんが私や和香先輩に食らいついてくるぐらいレベルが上がってますよ」
「お、天堂さんやないか」
アルテミスの現2番手アタッカーと目される天堂さん。 そんな天堂さん達に食らいついているんだね。 トライアウト時点で皆から伸び代満点の評価を受けていたし、これからも楽しみな選手である。
「よし。 じゃあ練習開始だ!」
「はい!」
アルテミスのチーム練習始まりである。
アルテミスの練習に合流。 シーズンももう少しで始まる。
「奈央ですわよ。 開幕戦は京都ハンナリズ。 眞鍋さんの古巣ですわね」
「開幕戦どうしようかなぁ」




