第2005話 宏太と奈々美入籍
本日は10月11日。
☆奈々美視点☆
10月11日の火曜日。
ブロロロ……
「宏ちゃんの休憩時間は11時30から12時15分の45分間だよね」
「そうみたいね」
私は、亜美の車で宏太の職場へ向かっているわ。 買い物というわけではなく、宏太の休憩時間中に役所へ行く為に宏太を迎えに行くのよ。 何故役所へ行くのか? それは、婚姻届を提出しに行く為よ。
ブロロロ……。
「着いたよ。 5分前到着。 もうちょっと待とう」
「ええ」
「にしても、遂にだねぇ。 長かったねぇ、長かったよ」
「何であんたがそんなに感慨に耽るのよ……」
「そりゃ親友として、2人をずっと見てきたからねぇ」
「それはそうだけど」
「何であれ、収まるとこに収まって良かったよ」
「お互いにね」
「あはは。 そうだねぇ」
5分程待つと、駐車場に宏太がやって来たわ。 亜美がクラクションで呼ぶと、こちらに気付いて走ってくる。 一応制服から普段着に着替えてるのね。
「おっす。 亜美ちゃん頼むな」
「うん。 ここから役所まで歩くと片道15分はかかるからねぇ。 車じゃないと休憩時間中に終わらないよ。 じゃあ出発ー」
ブロロロ……
亜美の安全運転で役所へと向かう。 途中、私が作って来たおにぎりを宏太に食べさせる。 多分、お昼を食べてる時間はないだろうし。 宏太は「こりゃ晩飯まで保たないな」と呟くが、そこは我慢してほしいわね。 何せ、今日もまた私と宏太の入籍祝いパーティーとかいうものが予定されているんだから。
車は5分程で役所に到着。 亜美は車の中で待っているという事で、私と宏太の2人だけで中へ。 役所内は職員が忙しそうにしていた。
「ラッキー。 人が並んでないわよ」
「ツイてるな!」
宏太の休憩時間中に無理して出てきてもらっているので、空いているのはありがたい。 すぐさま必要書類を出して窓口へ提出。 一通り確認してもらい受理される。 これで晴れて私と宏太は夫婦となった。
「何か呆気ないわね」
「だなー」
「さて。 んじゃ亜美のとこに戻りましょ」
「休憩時間余りそうだからコンビニにでも寄ってもらうか」
駐車場の亜美の所へ戻ると、亜美は本を読みながらゆっくりと待っていた。 私達が近付くとドアのカギを開けてくれる。
「早かったねぇ」
「空いてたのよ」
「なるほど」
「亜美ちゃん。 コンビニ寄ってくれ」
「らじゃだよ」
◆◇◆◇◆◇
コンビニ経由で宏太を職場に送った後は、ゆっくりと「皆の家」へと帰ってきた。 「皆の家」では、早くも夜のパーティーに向けた準備が始まっていた。 騒ぐ事に関しては全力ね……。
「おかえりなさいです。 ……佐々木夫人?」
マリアが首を傾げながら確認するように聞いてくる。 ああ。 藍沢先輩って呼んで良いものか迷ってるわけね。
「いつも通りで良いし、何なら奈々美先輩でも構わないわよ」
「わかりました、奈々美先輩」
「あら。 割とすんなり呼ぶわね」
「麻美先輩も名前呼びなのでこの際」
「そう」
「では私も奈々美先輩と呼ばせてもらいます」
「私も奈々美さんと」
冴木さんと青砥さんも便乗してきたわね。 まあ、藍沢でも佐々木でもややこしくなるし、下の名前で呼んでもらった方が楽で良いわ。
「うわはは! 奈々美っち!」
「宮下さんは遠慮無いわね……」
「なーなー」
「可憐ちゃんは可愛でちゅねー」
さて。 入籍祝いパーティーとはいえいつもと変わらぬ宴会。 仕事で今居ないメンバー以外がパーティー準備をしている。
「台所は誰が行ってるの?」
「亜美っち、麻美っち、弥生っち、キャミィっちの4人よ」
「ふむ。 その4人ならまあ、手伝いはいらないか」
「買出しの方にもそろそろ出かけようかと。 今井先輩、北上先輩、お付き合いお願いします」
「おう」
「はい」
「私も行きますよ!」
「私も行きますス」
マリアに夕也、春人、青砥さんにミアが買出しみたいね。 私は出番無しね。
「まあ奈々美は今日は主役だし、ゆっくりしてなさいな」
「そうさせてもらうわ」
まあ、動いてないと何かウズウズするんだけど、我慢しましょ。
◆◇◆◇◆◇
「というわけで! 宏ちゃん! 奈々ちゃん! 結婚おめでとうー!」
「おめでとうー!」
パチパチパチパチ!
「あ、ありがとう。 そんな大袈裟にしなくても良いけども」
「いやいや。 結婚は大袈裟にしていいっしょ」
「そうかしら……」
「宏太兄ぃはいつ私達の家に来るのー?」
「んあ? まあ荷物を運んだりしてからだから来週ぐらいか」
宏太は私達が暮らしている家に来る予定になっている。 しばらくは4人で暮らす事になるが、今建築中の麻美の家が完成したら、麻美と渚はそちらへ引っ越す。 まあ、その家は今井家や今私達が暮らしている家の目の前なんだけど。
「なはは。 来週からまた賑やかになるー」
「何だかんだ言って、幼馴染6人が集まるね」
「やったー!
「私はそこには入れへんのですね……」
「渚は幼馴染じゃないけど、家族ー」
「か、家族か。 ま、まあそれで勘弁したる」
渚も私達と暮らし始めて結構立つわね。 私も妹が増えたみたいでちょっと楽しんだりしてるのよ。
「宏太兄ぃは風呂掃除、トイレ掃除係だぞー」
「おう。 休みの日にやるから任しとけ」
「家事が分担出来て楽ね」
「羨ましいですね」
「はい」
このデカい屋敷に2人で住んでいる前田さんと前田さん。 掃除は基本的に皆で日毎に決められた部屋をやるようにはしているけど、その他の家事は2人でやっているみたい。
「そう言えば、他にまだ『皆の家』に住みたいって人はいませんの?」
「ミアさんとかどうですか?」
珍しくマリアが誘っている。 ミアはミアで「大学を出たら考えまス」と、意外と前向き。 ただ、まだ少し先になりそうね。
「舞ちゃんと井口さんは?」
「うーん……さすがに2人で部屋借りるかなぁ」
「残念です」
集まるのに便利だし住みやすいだろうけど、中々ここで暮らす人は増えないみたいね。 今、一人暮らししている人なら良いかもしれないわね。
「冴木さんは今実家暮らし?」
「はい。 そうですね。 ただ、いずれは自立しようかとも考えてます」
「冴木さん。 是非一緒に暮らしましょう」
「是非是非」
マリアと前田さん、結構必死ね。 意外と寂しいのかしらね?
「そうですねー……検討してみます」
と、こちらもまだ先の話になりそうね。 まだまだ拡張性のあるこの屋敷。 その内マンションみたいになって、皆で暮らしたりなんかする未来があったりしるのかしら?
「そうそう。 そろそろペットハウスが完成しそうだから、新たにキッズハウスも建てようと思いますわ」
「キ、キッズハウス?」
「その名の通り、子供達が遊べる建物よ。 近い内に皆も子供が出来るだろうし、その時の為ですわよ」
何か気が早いような気もするけど、その辺はもう奈央に全部任せる事にしたわ。 あと、麻美の立てている「ミルフィーユ」の配信スタジオは年末ぐらい完成するみたいよ。 「ミルフィーユ」の活動も再開しないといけないわね。
ようやく入籍した2人。
「遥だ。 2人は時間かかったな」
「後は紗希ちゃんだよ」




