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2008/2227

第2004話 初コラボ!

何やら紗希はウキウキのようだが?

 ☆紗希視点☆


 今日は10月10日月曜日。 祝日でお休みなのよー。 今は会社で抱えてる仕事も無いし、ゆっくり休めるわね。 仕事が無いのはワールドカップがあるから、社長の芽衣子姉さんが考慮してくれたからよ。 多分、会社に行ったらすぐに仕事を振られると思うわ。


「ふふっ。 ふふふっ」

「どうしたのよ紗希……昼間っから気持ち悪いわね」


 昼ご飯を食べ終えた後で「皆の家」へやって来た私。 朝からニヤニヤが止まらないのには理由がある。 その理由というのは。


「実は今日、これがあんのよ」

「これ?」


 私は自分のノートパソコンの画面を奈央にも見えるようにしてやる。


「何々……花風風花のコラボお絵描き配信?」

「そう! コラボ相手の名前見てちょ!」

「うーん……祭火つづみ 犬乃わん子 紗希ママ……紗希ママ?!」

「そう! 私! 遂に我が娘、風花ちゃんと初コラボなのよ」


 花風風花ちゃんとは、私がデザインを担当したVドルの子。 私の事を紗希ママと呼んで慕ってくれている。 今日はそのVドルの子と仲の良い他のVドルの子と一緒にお絵描き配信をするのよ。


「へぇ。 何時から?」

「20時からよん」

「まだまだじゃない……」

「夜なんてすぐ来るわよ」

「まあ、そうかもしれないけど……」


 ふふ、楽しみだわ。



 ◆◇◆◇◆◇



 というわけで時間になったので、ボイチャを繋いでミュート状態で待機。 紹介されたらミュートを解除してリスナーさん達に挨拶することになってるわ。 ちなみに、「皆の家」のリビングでは皆も視聴してるらしい。 何かちょっと恥ずかしいわね。


「そしてもう1人のコラボ相手はー、今回初コラボ! 私の身体の生みの親である、キャラクターデザイナーの神崎紗希さん! 紗希ママだよー!」


 お、ここで私がミュートを解除して挨拶ね! ミュート解除!


「きゃははー! 風花ちゃんのママ、神崎紗希でぇす。 初めましてー」

「紗希ママ! 今日は来てくれてありがとう!」

「初めましてっス! 祭火つづみっス! 紗希ママさん、バーチャルボディーあるんスねー」

「初めましてぇ。 犬乃わん子ですワン」

「初めまして! 配信たまに見てるわよん! バーチャルの身体も自分でデザインして3Dモデリングまでしたわー。 トラッキングも詳しい知り合いに聞いてやってみた」

「凄っ」

「個人でそこまで出来るってヤバいっスね……」

「天才デザイナーですワン……」

「きゃはは。 あ、そうそう。 知ってる人いるかも知んないけど、実は私、バレーボールの女子日本代表もやってまぁす! 先日までシドニー大会に出てたわよん!」

「そうそうー。 凄いよねー。 得点王でしたっけ?」

「うむ」


 リスナーのコメントを見ると「すげー!」とか「あのダイナマイトバディの神崎選手?!」とか、まあ色々流れているわ。


「多才過ぎるワン……」

「きゃははー」

「さあて。 じゃあ今日の配信始めていきますか。

今日はこのトモダチキャンバスというサイトで皆でお絵描きしていきますよー」

「はいはいー! このサイトはどんなサイトなんっスか?」

「ふふ。 つづみちゃん、このサイトは一つのキャンバスに、皆でお絵描きが出来るサイトなのだ。 今日はこのサイトで、皆の顔イラストを描いていくよ。 誰が誰を描くかは、あみだくじで決めるよー」

「ほーい」


 てなわけで、あみだくじで決めた結果私が描くのはつづみちゃんのイラストになった。 私を描いてくれるのは風花ちゃんね。


「では、スタート!」


 と、開始の合図と共にBGMを流し始める風花ちゃん。 風花ちゃんのオリソン歌詞無しバージョンね。 私は慣れた手つきでイラストを描き始める。


「紗希ママさんのバーチャルボディー、胸デカいっスね」

「きゃはは。 出来るだけ実体に近付けてみたわよ」

「そ、そんなになんですか?」

「バレーボールの試合に映る時も大きい物をお持ちだとは思ってたワン……」

「3桁よん」

「3桁?!」

「いるんスね……そんな人」

「いるのよー」


 アイドルの会話としてこれは良いのかしら? と、疑問に思いつつも、ペンタブ操作は淀みなく進む。 お互いに質問し合ったりしながら楽しいお絵描きが続くわ。


「紗希ママ、筆早い……しかもめちゃくちゃ上手」

「これ、アタシっスか? めっちゃ可愛いスけど」

「つづみちゃんは可愛いわよ?」

「そ、そうっスか?」

「可愛いワン」

「でも、デザイナーさんって凄いですね。 こんな早く描けるんだー」

「私は子供の頃から絵を描くの好きだったし。 デザイナーだからとかじゃないわよん」

「そうなんだ」

「そうそう。 それに、皆だって凄く絵が上手いじゃーん。 つづみちゃんなんて、しっかりアタリ取って下描きからしてる」

「ははは。 昔練習した方法がそのままになってるだけっス」

「基礎を怠けないのは偉い!」


 私はだいぶ端折って描いてるものねー。


「紗希ママ、初配信ですワン?」

「あ、そうそう。 よくわからないから知り合いに聞いて準備したのよ」

「その割に堂々としてるっス」

「まるで歴戦の配信者……」

「ああ。 テレビとかCMに出たりするから、人前で喋ったりとかは緊張しないわねー。 酔ったら人前で脱いじゃうし」

「え、脱ぐんスか?! その身体で?!」

「さすがにそれは危ないのでは……」

「だから外では飲むなって良く言われる」

「でしょうね……」

「あの、これ訊いちゃって良いかわからないですけど、紗希ママは結婚とかはされてるんですか?」

「気になるっス」

「あ、答えられないなら答えられないって言ってもらって大丈夫なんで!」


 コメント欄も「気になる!」と、沢山の人がコメントしている。 そういうの気になる人もいるのね。 私が事務所所属のVドルだったら、こういう話は御法度なんだろうけど、そうじゃないしねー。


「結婚は"まだ"してないわよ」

「してないんっスね」

「忙しそうですもんね」

「ですワン」

「いやいや。 近い内にする予定で、同棲もしてるのよね」

「ええーっ?!」

「マジっスか?!」

「とんでもない話を聞いてしまったワン?!」

「そんな大袈裟な……」


 そこからは皆から「どんな人なのか」とか「出逢いは?」とかの質問の嵐。 コメントも無茶苦茶盛り上がり、どんどん話が進むが、話が進むに連れて「え、何か普通の人ですね」とか「どうしてその人を?」という反応が返ってくるように。 やっぱ皆そう思うわよねー。


「まあ、惚れた弱みってやつ? たしかに男らしくないし、特別カッコいいわけでもないけど。 好きになったらそういうのって関係無くなんのよ」

「か、かっけーっス! 紗希姐さんと呼ばせてくださいっス」

「え? 良いけど」

「あざっス」

「何か今日は紗希ママの事が色々と知れて良い日だなぁ」

「驚きの連続ですワン」

「きゃはは。 結構濃い人生を送ってるなぁとは常々思ってるわよん」


 配信時間は2時間が経ち、それぞれのイラストも描き上がり配信終了が近付く。


「というわけで、そろそろ配信も終了時間。 今日は楽しかったです」

「私も楽しかったわ」

「紗希姐さん! またコラボしたいっス!」

「ですワン」

「そうね。 忙しくはなるけど、コラボのお話くれたら出来るだけ時間作れるように頑張ってはみる」

「やった!」

「私のママなんだけどー」

「きゃはは」

「と、言うわけで! 今日はここまで! おつフラワー」


 配信は終了したが、その後も少しボイスチャットを楽しんだわよ。 配信って楽しいのね。 流行るわけだわ。

自分がデザインした娘との初コラボは楽しかった様子。


「紗希よん! 何か凄い楽しかったわよ!」

「配信見てたけど、ママってより友達だったねぇ」

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