第2003話 可憐ちゃんおめでとう!
可憐ちゃんの誕生日パーティー開始。
☆亜美視点☆
「ではでは! 可憐ちゃん1歳の誕生日を祝しまして! 乾杯!」
「乾杯ー!」
という事で、可憐ちゃんの誕生日パーティーが始まった。 可憐ちゃんもジュースを飲んでいるよ。 可愛いねぇ。
「ちゅぱちゅぱ」
「にしても、歩き回るようになって大変そうね」
「うん。 結構大変よー」
と、母親の宮下さんが頷く。 最近は少しずつ自我も出てきたらしく、「いやいや」もするようになったのだとか。 意味のある言葉も覚え始め、自分達の話をじっと聞いているらしい。
「成長してるってわかるし、何だか嬉しいけど」
「母親みたいな事言うじゃない」
「母親なんですけど?!」
「なははは」
結婚する以前から宮下さんを知っている私達からすれば、あの宮下さんが母親してるなんて信じられない事なんだよねぇ。 それでも今は立派に母親をしている。
「でも、これからもっと大変になってきますよね?」
マリアちゃんがジュースを片手に宮下さんに話しかける。
「そうねー。 色々な物事に興味を示すし、もっと歩き回るようになるだろうし、目が離せないかな」
「言う事も聞かない事も出てくるしだろうしなぁ。 躾もしていかないとな」
「父親みたいな事言いやがって」
「父親だが?!」
「なははは」
しかし、子供が出来ると変わるもんなんだねぇ。 私と夕ちゃんに子供ができたら、私達はちゃんと親になれるだろうか?
「あーみー」
「おお、可憐ちゃんが私を呼んでるよ」
「なーおー」
「きゃわわですわよー!」
物覚えが良いのか、ちゃんとその人の顔を見ながら名前を呼んでいる。 あれから新たに紗希ちゃんと青砥さんの名前を言えるようになった。 どうも、2文字くらいの名前なら覚えるようだ。 奈々ちゃんの事も「なな」としか呼ばないからね。
「宮下さん達はいつまでこっちにいるの?」
「ウチらワールドカップ組はしばらくお暇もろとるからなぁ。 チームに合流するんは再来週からになるし、ちょいゆっくりさせてもらう予定や。 まあ、今週一杯はおるよ」
「大君は仕事あるから明日には帰るけど、私は弥生っちと同じ。 可憐もね」
「おー、可憐ちゃんはずっと居ても良いんだよ」
「そういうわけにはいかないのよね」
「しょぼーん」
「亜美は可憐ちゃん好き過ぎでしょ?」
「自分の子供出来たらどうするの?」
「もちろん可愛いがるよ」
きっと溺愛しちゃうだろうね。 マロンとメロンの事も溺愛してるし。
「子供かー。 私も裕樹と結婚したら考えないと」
「紗希ちゃんとこはまだ籍入れないのぅ?」
「まだねー。 同棲はしてるし、生活も出来てるからいつでも良いんだけどねん。 そろそろ良いかもね」
紗希ちゃんの所は今は共働き。 紗希ちゃんも稼ぎは結構なものだとか。 早くもキャラクターデザイナーとして名前が売れ始めている。 これは、以前手掛けたVドルの娘が有名な会社の所属であり、かなりの宣伝効果を持っているからだそうだ。
「奈々美と佐々木君とこはどうなのよ? まだなわけー?」
と、紗希ちゃんが実にタイムリーな質問を2人に投げかける。 この中で、近々宏ちゃんが入籍しようって奈々ちゃんに持ち掛ける事を知っているのは数人。 奈々ちゃん自身は何も知らないでいる。 先程私が宏ちゃんに確認したら、明日には奈々ちゃんに話をすると言っている。 つまり早ければ来週中には2人は結婚することになるよ。
「さあ。 知らないわよ。 宏太にでも訊いてちょうだい」
「きゃはー。 佐々木君、どうなのさ?」
「んん? んー……まあ」
「ハッキリしねぇな佐々木」
「いや、まあ……」
「こ、宏ちゃん。 も、もういいんじゃないかな?」
せっかくこういう話題になったわけだし、どうせ明日には奈々ちゃんに話すつもりでいたわけだから、今ここで言っちゃっても良いような気もする。 宏ちゃんもそう思ったのか、自分のカバンの中から何やら紙を取り出して広げた。
「なは!」
「あら」
「佐々木君、それって!?」
「だはは。 ようやっとやな」
「えっ? ちょっ?!」
宏ちゃんが手に持っているのは、間違いなく「婚姻届」である。 宏ちゃんの名前が既に記入されており、奈々ちゃんが名前を書いて捺印すれば、書類としての効果が発揮される。
「そ、そろそろ一緒にならねーか? ワールドカップも終わって、少しは落ち着くだろ?」
「え、ええ。 まあそうね」
「奈々ちゃん、さあさあ」
「わ、わかってるわよ……宏太、それ貸して」
「おう」
奈々ちゃんは宏ちゃんから婚姻届を受け取り、その場で名前を書いて捺印し、宏ちゃんに返す。
「おめでとうございます」
マリアちゃんが手を叩きながら2人を祝福する。 私達も倣って2人を祝福するよ。
「皆、騒ぎ過ぎだっつの」
「そうよ」
「いやいや。 長かったねぇ。 幼馴染兼親友として嬉しいよ」
「はぁ」
でも本当に良かったよ。 2人は結構淡白な感じだったし、いつまで今の関係でいるのか心配してたぐらいだよ。
「式は? 式はどうしますの? 西條ブライダルなら格安で承りますわよー」
「ま、まあすぐにはやらないわよ……」
「だな」
「式を挙げる時は是非」
「わかったから……」
うんうん。 これから楽しみな2人である。 それに、これで奈々ちゃんと一緒の年に子供を作るって言う約束も果たせそうだよ。
「紗希もさっさとしたら?」
「あんた、自分が先に進んだからって」
「ふふふ。 マウントよマウント」
「つーかよ。 私達の中で誰よりも早く彼氏いた癖に、結婚すんのは最後って」
「たしかに」
「裕樹が悪いのよ、裕樹が。 ね、舞ちゃん」
「まあ、それはそうかも……」
柏原君、男としての株がどんどん下がっていくよ。 まあ、あまり男らしくないってところがあるのはわからないでもないけど。
「紗希っち、頑張れ!」
「まあ、私が頑張ってどうにかなるかはわからないけど」
紗希ちゃんも苦労人だねぇ。
◆◇◆◇◆◇
「酔ってないよぉ〜」
あれからそれなりに時間が経ち、それなりにお酒も入っている。 私はまだ酔ってないよ。 酔ってないよぉ〜。
「すぴー」
「だはは。 いつも通りになってきたやん」
「可憐も寝ちゃったわ」
「可愛い寝顔や」
「ですわね」
うんうん。 寝る子は育つだよ。 あと、酔ってないよぉ〜。
「亜美はもう飲むなよ」
「7本飲んだからねぇ〜。 8本飲んだらダメだよぉ〜」
「既にもうダメだろ……」
「大丈夫だよぉ〜」
「だはは! ほなこれ飲みぃや」
「これはウィスキーだよぉ〜」
「ハイボールにしたある。 ほれ」
「んぐんぐ……ぷはーだよぉ〜」
「これはもうダメね。 すぐ寝落ちするわ」
「きゃはは。 西條ちゃんもすぐ脱ぐわよー」
「だから脱ぐなって」
あぁ、何だか瞼が重たいよぉ。 気持ち良く寝れそうだよぉ。
と、気付いたら私は眠りに落ちていたのだった。 ちなみに奈々ちゃんと宏ちゃんは、明後日の10月11日に籍を入れるみたいです。
奈々美と宏太も入籍が決まった。
「紗希よん。 はあ、うちもそろそろ話合わないとダメかしら」
「樫原君、中々自分から言い出さなそうだもんね」




