第2001話 ワールドカップ連覇
ワールドカップを連覇した日本代表。 ホテルでは祝勝会を開いているようだ。
☆亜美視点☆
ワールドカップバレーボールシドニー大会が終了。 私達日本代表は見事に優勝。 ワールドカップを連覇する事が出来た。 そんな私達は、ホテルへ戻って来て早速祝勝会を開いているよ。 応援団の皆さんも集まり、ホテルの宴会スペースは賑やかになっている。
「皆さん、本当におめでとうございます!」
「だはは! ゆりりんもずっと応援ありがとさんやで」
「応援団長なので!」
「だはは!」
「姫百合さんも、長い間日本代表の応援団長やってるよねぇ」
「皆さんは私の友人なので! ブルーウイングスの皆も日本で応援団作ってやってるみたいですよ」
「へ、へぇ」
さて。 ようやく長い大会も終わり肩の荷が下りたね。 日本に帰ったら少しゆっくり……。
「日本に帰ったらすぐに可憐の誕生日だわ」
「お祝いしなくちゃいけないよ! 可憐ちゃんをお祝いし隊を結成しなければだよ!」
「あんさん、忙しいやっちゃな……」
「そうそう。 日本に戻ったらVリーグ始まりますわよ」
あれ? あんまりゆっくりする時間って無いのかな?
「おう。 亜美お疲れ」
「あ、夕ちゃん。 私、日本に戻っても忙しいよ!」
「そ、そうか」
「なはは! 亜美姉は大変だなー」
「何言うてんの……私らも大学卒業せなあかんやん」
「たしかにー!?」
た、単位とか大丈夫なんだろうか? まあ、麻美ちゃんと渚ちゃんなら大丈夫だとは思うけど。
「それよりマロンとメロンが抱っこしてほしそうだぞ」
「みゃ」
「な」
「おお、大会中はあまり遊べなかったからねぇ。 おいでおいで」
「みゃー」
「なー」
呼んで上げると、嬉しそうに走り寄って来る2匹。 ほわわーん……可愛いよぉ。
2人を抱き上げで頬擦りしながら、日本に帰った後の事を話し合う。
「日本へは明日帰りますわよ。 応援団の方々も一緒に西條家自家用ジェット機でー」
「はーい!」
結構な人数になるけど大丈夫だろうか? まあ、西條家なら大丈夫か。
「私達はまず、可憐ちゃんの誕生日を祝うパーティーを開きますわよ!」
「やったー!」
「ま、まだ祝ってもらっても何もわからないんじゃないかしら?」
と、宮下さんが言うが、私達は目を釣り上げて宮下さんに詰め寄る。
「可憐ちゃんをお祝いしたいんだよ」
「ですわよ」
「というか、可憐ちゃんに会いたいのよ」
「きゃはは」
宮下さんは「わ、わかったわかった……」と、頷く。 これで可憐ちゃんの誕生日パーティーは決まりだねぇ。
「Vリーグの試合の方もあります。 まあ、私達は基本的にベンチメンバーとして登録されてますので、試合に出れる人だけ出る感じで。 あくまでも自分達の仕事を優先してちょうだい。
私を含めて、自分の仕事がある人はそちら優先となる。 奈々ちゃんは仕事が無いので、Vリーグ優先って言っているよ。
そうだ。 奈々ちゃんと言えば、宏ちゃんとの結婚だよ! ワールドカップが終わったら、宏ちゃんから奈々ちゃんに話をするって言ってたよ! いよいよだねぇ。 しばらくは今井家の隣にある奈々ちゃん達の家で4人で暮らすのだろうか? 今井家の向かいの土地は、麻美ちゃんが買取り新居を建てており、完成したら麻美ちゃんと渚ちゃんはそちらに引っ越すのだとか。 希望ちゃんもそちらに移る事を考えているみたいだけど、それはまた話し合う事になりそうだ。
「亜美姉ー。 『ミルフィーユ』の活動も再開するぞー」
「おー、そうだね。 ワールドカップの結果についても報告しないとね」
「いや、多分もう皆知ってるでしょ……」
「いやいや。 一応ね」
やはり日本に戻っても色々と盛り沢山だよ。
「今井君もBリーグ始まりますわよね?」
「おう。 西條グランツでとりあえずどこまでやれるなだな」
「今井君と春人君が組めば最強ですわよ」
「だと良いがな」
夕ちゃんも大変そうだねぇ。
◆◇◆◇◆◇
祝勝会も終わりホテルの寝室へ戻ってきた私達。 ワインも入ったりして、良い感じに気持ち良くなっているよ。
「にしても、亜美も弥生ももうめちゃくちゃよね。 あれは何なのよ」
「ん? ゾーンの先の世界だよ」
「いや、だから何よそれ? 私なんか、ゾーンにすら入った事無いけど」
「超集中より更に深く集中した感じかな?」
「わけわからんわ……」
「はぅ。 2人ともやっぱり凄いよぅ」
「なはは。 でも、亜美姉と月島先輩どっちが強いのかー?」
麻美ちゃんもそこは気になる様子。 実際にやってみなきゃわからないとは思うけど、弥生ちゃんは私には勝てないだろうと思っているようだ。
「亜美も弥生がやったみたいな、『圧で相手の動きを止める』のって出来るの?」
「出来るのは出来るよ。 だけど、弥生ちゃんみたいに強力なのは無理だね。 あそこまでのは弥生ちゃんぐらいだよ」
「じゃあ、月島さんの方が強いかもだよぅ」
「どうだろうね」
やってみたいとは思っているよ。 Vリーグが始まればきっと戦う事になるし、その時にわかるね。
「希望とか麻美も頑張ればゾーンの先とやらに到達出来るの?」
「なはは! わからーん」
「あんなの無理だよぅ」
「あはは……」
私達が特別って事は無いと思うけど、あそこまで集中力を高めるという事がまず難しいのである。 私や弥生ちゃんはそもそも、ある程度ゾーンのオンオフとかがコントロール出来たからね。 そう言う意味なら、ミアさんなんかは可能性があるよ。
「奈々ちゃんはゾーンなんかに入らなくても、男子顔負けのパワーを持ってるしねぇ」
「なはは! 110km/hサーブは最強ー」
「まさか、私のサーブがあんなんになってるとは思わなかったわよ」
「なはは」
Vリーグであのサーブを受ける相手チーム。 今から可哀想になってくるよ。
◆◇◆◇◆◇
翌日。 日本に帰国する為に空港へとやって来た。 応援団の方々も一緒で凄く賑やかになる西條家自家用ジェット。 こういうのもたまには良いね。
「日本に帰ったら可憐ちゃんの誕生日パーティーだねぇ」
「言っても、可憐ちゃん自身はお祝いされてるなんてわからないでしょ」
「結局私達がいつもの宴会騒ぎするだけー」
「でも、ちゃんと誕生日プレゼントは買って上げるよ」
「それは大事よね」
1歳の子供に上げるのは何が良いかなぁ? お洋服とかが良いかな? 帰ったら調べてみよ。
飛行機は離陸を始め日本へ向かい飛び始める。 次の世界大会は2年後のオリンピックだねぇ。 まだまだ頑張って強くなるよ。
日本へと帰国する亜美達。 日本に戻っても何やら色々と忙しくなりそうだ。
「奈々美よ。 可憐ちゃんの誕生日は祝わないとね」
「最優先事項だよ」




