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2001/2232

第1997話 ゾーン始動!

奈央のサーブでリードを広げた日本代表。

 ☆奈々美視点☆


 奈央のサーブでサービスエースを2つ取り、リードを広げた私達日本代表。 11ー8となっている。

 今はフランスのマリエルさんのサーブよ。


 パァンッ!


 現在後衛には希望がいるから、サーブレシーブは任せても大丈夫。


「はいっ!」


 奈央を狙ってきたサーブはやはり希望がカバー。 奈央がすぐにセットポジションについてトスを構える。


「同時!」


 助走タイミングの指示が出たところで、アタッカーは全員で助走を開始。

 フランス代表はこの連携が嫌いみたい。 まあ、好きなチームもいないと思うけど。 私も大学時代にやられたけど嫌過ぎる。


「奈々美、決めちゃって!」

「任せなさい!」


 パァンッ!


 振り抜いた右手の先に、ドンピシャでボールが送られてくる。 奈央がこの連携をマスターしてから、このトスをミスしたのを見た事が無いわね。 どんな精度してんのよ。


 ピッ!


「奈々ちゃんナイスー。 凄い音したねぇ。 ボール破裂したんじゃない?」

「するわけ無いでしょ?!」

「いやいや、わかんないよ」

「なははー。 ローテーションだぞー。 次は私がサーブするー」

「おーす。 ブロックは任せなー」


 麻美がサーバーになるということは、対角のポジションだった希望が前に移動という事で遥と交替よ。 後衛には亜美がいるし、守りの面はまだ大丈夫そうね。


「イクゾー! スラッシュサーブー!」

「え? それは私のネオドライブサーブの派生の?!」


 パァンッ!


「見よう見まねー」


 麻美が打ったサーブは、奈央のサーブとは全く比べられないへなちょこサーブだった。 変化したかどうかも怪しいわね。 当然、あっさり拾われてしまいフランスのチャンスボールになる。


「やはり無理かー」

「びっくりしましたわよ……」

「なはは。 蒼井先輩任せたー」

「仕方ないなぁ! 佐伯さん! アリス警戒!」


 麻美の先読みが使いにくくなってるらしく、それに頼らずにブロックシフトを敷いて対策。 まあ、普通はそうなのよ。 先読みって何よ。


「せーの!」


 アリスさん相手に遥と佐伯さん2人でブロックに行くが、やはりアリスさんには上手く決められてしまう。 佐伯さんを狙われては仕方なしね。


「ごめん」

「仕方ないわよ。 ブロックは本業じゃないんだし。 私達は攻撃で点を取れば良いのよ」


 と、佐伯さんにフォローを入れていると、横で奈央が「いや、ブロックとレシーブもちゃんとやってほしいんだけど」とツッコミを入れてきた。


「さ、さあ一本で切るわよー」

「誤魔化しましたわね……」


 ブロックとかレシーブって苦手なのよね。 攻撃だけやってれば良いオポジットになりたいわ。


「奈々ちゃんは脳みそ筋肉だからねぇ。 攻める事しか考えられないんだよ。 あ、サーブ来るよぉ」


 亜美。 試合の後でグリグリの刑ね。 とにかく今は試合に集中。 サーブはアリスさん。 ここでもやっぱり奈央狙い。 しかも今度は奈央がセットポジションへ移動する為の経路に落としてくる。


「くっ、やりますわね」


 パァンッ!


 仕方なくレシーブする奈央。 そうなるとセットポジションに移動するのは亜美……ではなく?


「任せて」


 なんと佐伯さんがセットポジションについた。 亜美は目を丸くしたがすぐに「任せたよ!」と頷き、助走準備に入った。 佐伯さん、トス上げられるのかしら? 亜美がレフトからバックアタックへ、私はライト側へ。 佐伯さんの背中側へ回り込んだ。 センターでは遥がクイックに飛んで役目を終えている。


「はい!」


 佐伯さんは私に向けてバックトス。 1回も合わせた事なんて無いのに、めちゃくちゃ打ちやすい高さにボールが来ている。


「ふんっ!」


 全力で振り抜いてブロックを突き抜けたボールは、そのままフランスコートに着弾。 フランス代表は目を丸くしてボールを見つめる。


「何かフランス代表が『男子は反則だ』って言ってるよ」

「……」


 いやいや、女なんですけど。 いや、そりゃまあちょっとばかりスパイクの威力おかしいかもしれないけどさ。


「13ー9ですわよ。 亜美ちゃん、そろそろ準備ですわよ」

「大丈夫だよ」

「なはは。 亜美姉はすぐにゾーンに入れるからねー」

「うん」


 ローテーションして次は佐伯さんのサーブ。 ここはフランス代表に決められて13ー10。 続くエミリーさんのサーブから始まるプレーを亜美がしっかり決めて14ー10となったわ。


「さあ奈々ちゃん! サービスエースで15点目を取ってねぇ!」

「まあ、一応狙ってみるわよ」


 私のサーブは小細工一切無しのパワーサーブ。 亜美にはまた「脳みそ筋肉」と言われそうね。


「ふぅ。 いくわよ」


 いつものように両手でボールをくるくる回しながらルーティーンをこなす。


「ふっ! はっ!」


 パァンッ!


 これは手応えあるわ!


「うわわ?! また速い!」


 このサーブがジャンヌさんに向かって飛んでいく。 別に狙ったわけじゃないけど、これはサービスエースのチャンスよ。


「いけ!」


 パァンッ!


 ジャンヌさんは逃げずにレシーブに構えたが、私のサーブを止めるには至らず。 サービスエースを取り15ー10とした。 そして、その直後。 亜美から何とも言えない強烈なプレッシャーが放たれ始めた。


「始まりましたわね」

「やばすぎるでしょ……何よこの無茶苦茶なプレッシャーは」

「亜美姉もゾーンの更にその先までとうたしたって言ってたー」

「にしてもだろ……」


 私達チームメイトですら、このプレッシャーに気圧されてしまっている。 この中でまともなプレー出来るかしら?


「ふぅ……」


 しかし、亜美が小さく息を吐くと、周りの圧が一気に消え失せた。 まさか、ゾーンを完全にコントロールしてるのかしら?


「奈々美。 サーブ! 時間動いてますわよ!」

「え? あっ!」


 笛鳴ってたのね。 私は慌ててサーブを打ちプレーを再開。 中途半端な打ち方になった為、威力は半減だわ。 当然簡単に拾われたわ。 フランス代表の攻撃が返ってくるわ。


「……」


 亜美は黙ったままボールの行方を目で追っている。 これはゾーンに入った亜美がいつもやってる事ね。 さて、亜美は何処にブロックへ行くのかしら?


「亜美姉ー! アリスさんのバックアタックだぞー!」

「聞こえてないですわよ」


 ゾーンに入った人は、必要の無い情報は全てカットするみたいだしね。


 遥は麻美の声を聞いてすぐさまアリスさんのブロックへ向かったが、亜美はまだ動く様子はない。 そして、セリアさんがアリスさんにトスを上げた瞬間。 亜美は目にも止まらない程のスピードで遥の隣に移動した。


「速っ?! って、もう跳んで……高っ?!」


 これが亜美のゾーンの先。 人間離れした動きを見せてアリスさんのスパイクを上から叩き落としてしまった。


「360超えたんじゃないですの?」

「っていうか何よあの動き……」


 化け物じゃないの……あんなの、誰が止められるのよ。 弥生のゾーン「絶対女王」とはまた違う感じみたいだわ……。 一体どうなってるのよあれ。

遂に亜美のゾーンが発動。


「亜美だよ。 さあ、暴れるよ」

「亜美ちゃん頑張れぇ」

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