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第1953話 準決勝開始

準決勝が始まるようだ。

 ☆紗希視点☆


 今日は準決勝戦。 アメリカ代表との対戦日。 第1試合はフランス代表が勝ち上がって決勝進出を決めたわ。


「まあ、相手が相手だし。 フランス代表は当然よね」

「結局あまりデータも取れませんでしたし。 フランス代表の思惑通りに進んでいますね」

「だねぇ」


 フランス代表は、予選ブロックをワザと2位で通過する事で、強豪ひしめく私達のブロックではなく、比較的ランクが下のチームが多い方のブロックで決勝トーナメントを戦ってきた。 結果、主力をほとんど使わずに決勝進出し、私達やアメリカ代表にも大した情報を与えずに済んでいる。 情報戦だけで言えば、フランス代表はもう一歩も二歩も優位に立っていると言えるわね。


「それに引き換え、私達は今日、全力でアメリカ代表と戦わなきゃいけないわけねー。 きっつ」

「しかも、神崎さん、宮下さんが個人タイトルを狙うのであれば、決勝にも出ないといけませんからね」

「うわはは」

「きゃはは」


 ベストアタッカー部門では私が6位で宮下さんが7位。 他の上位はアンジェラさん、アリスさん、キャミィさんとミアさん、アシュリーさんで、1位のアンジェラさんと5位のアシュリーさんは脱落している。


「ちなみに得点ランキングはミアさんが1位ですね。 2位以下アンジェラさん、アリスさん、神崎さん、キャミィさんに宮下さんとなります」


 得点ランキングはアタックの得点以外にも、ブロックポイントやサービスエース等の他の要素も加算されている。 ミアさんがブロックやサーブで結構稼いでるわねー。 私もサーブでちょいと増えてるわ。


「ここまで来たら、個人タイトルも大事やけど試合に勝つ事を優先やで」

「志乃さんの言う通りです」

「きゃはは。 わかってるってば」

「最強日本の最強アタッカーになってこそよ!」

「そうだねぇ」

「やりましょう!」

「なはは。 我ら最強ー!」


 準決勝を戦う予定の私達もやる気は十分。 宿敵アメリカ代表との試合まであと30分よん!



 ◆◇◆◇◆◇



 時間になり、ベンチに集まる両チーム。 アメリカ代表側には見知った顔もいるわねー。


「アメリカ代表もここは全開で来るはずです。 押し負けないようにしてください」

「りょ」

「攻撃は宮下さんと神崎さんの2人を中心に、清水さんも使いつつ高い決定率で勝負です」


 日本代表のスパイク決定率上位3人で攻めて行く方針ね。 アメリカ代表とはこういう力比べになる事が多いわ。


「麻美さん。 まずはジニーさんとマッチアップして、どんな感じかを見極めてください」

「りょーかーい」


 ジニーって選手は、どうやら麻美みたいな動物的な勘で動く曲者タイプらしいわ。 ここまでの試合ではあんまり感じなかったけど、キャミィもそう言っていたらしいから間違いはないみたい。


「ミアさんの模倣プレーもあるし、注意すべき点は多いですが、油断せずしっかり足場を固めて臨みましょう。 攻めるポイントでは黛梨乃さんや奈々美さんも投入します。 常に準備を」

「ええ」

「わかっとる」

「さて。 ほいじゃまあ、いっちょやりますか!」

「おー!」


 円陣を組み、士気を高め、決戦のコートへと向かう。


 同時にアメリカ代表もコートに入って来て、ネットを挟んで整列。 お互いの健闘を祈り、挨拶を交わしてコートに散らばる。


 今日のスターティングポジションは


 宮下 麻美 清水

 神崎 新田 黛妹


 日本サーブで試合が始まる。


 ピーッ!


 試合開始の合図と共に、黛志乃さんが気合いを入れる。


「っしゃ! ほないきまっせ!」


 パァンッ!


 黛志乃さんのドライブサーブで試合開始。 上手い感じに(セッター)のサラさんに拾わせる。 しかし、すかさずオールラウンダーのミアがセットポジションにつき、トスの構えに入る。


「やっぱり崩れないねぇ」


 役割分担がしっかりしているわね。 色々なパターンを想定した攻めの形をしっかりと作ってきているわ。


「ハイ!」


 いきなりキャミィに上がったわ。 しかもオープン!


「美智香姉、亜美姉! 3枚ー!」


 当然ブロック3枚をつける。 その後ろに私達がフォローで入り、しっかりとコースを塞ぐ。 決められるもんなら決めてみなさい!


「イネーッ!」


 パァンッ!!


「うわわっ?!」


 キャミィの強烈なスパイクは、亜美ちゃんの腕を弾き、尚もその威力を維持したまま黛志乃さんへ向かっていく。


「いやいや! 無茶苦茶や!」


 パァンッ!


 志乃さんが何とかレシーブを試みるも、全くお話にならず。 後逸したボールは客席へと消えて行く。


「何ちゅう馬鹿力やねん……」

「キャノン砲だよキャノン砲」


 決してブロックが下手なわけじゃない亜美ちゃん。 間違い無く完璧に止めに行っていたにも関わらず、それでもそのブロックを突き抜けてきた。 どんなパワーしてんのよ。


「奈々ちゃん並みだったよ。 気を引き締めて行かないと……」


 手をぶらんぶらん振りながら、そう呟く亜美ちゃん。 どうやら今ので亜美ちゃんもスイッチが入ったみたいねー。


「よーし! 一本で切るわよん!」

「おー!」


 アメリカ代表、サラさんのサーブ。 これを新田さんがしっかりレシーブし、志乃さんに繋ぐ。 今日の攻撃は私と宮下さんが中心。 同時にセカンドテンポで助走に入るわ。


「こっちや!」


 志乃さんのトスは私へ。 オリヴィアさんが宮下さんのブロックに行くのが見えたものね。 


「ナイス判……」

「止めまス!」


 しかし、私の方にはミアがブロックへやって来た。 忘れてたわ。 ミアは模倣プレーでオリヴィアさんにだってなれる。 アメリカコートにはオリヴィアさんが2人いる!?


「だからどしたー! ギャラクシィー!」


 パァンッ!


「ノー?!」


 新技ギャラクシィを放ち、超鋭角な真下打ちでミアの真横に叩き落とす。


 ピッ!


「ふふん。 どうよー」

「す、凄いでス」


 ミアもさすがに驚いたみたいねー。 まあ、こっちもヒヤッとしたけど。


「ナイスキー神崎さん。 そやけどちょっと気抜いてもうた。 ミアのあれ、すっかり抜けとったわ」

「私もよん」


 あの「誰にでもなれる」っていう無茶苦茶なプレーは本当に侮れないわ。 多少オリジナルには劣るとは言えねー。


「注意していきましょ」

「だねぇ」


 さて。 今度は亜美ちゃんのサーブ。 (セッター)を狙ってもあまり意味が無いとわかったので、ここはエースキャミィに狙いを定めたらしい。


 パァンッ!


 昔のキャミィなら、慌ててレシーブミスもしていただろうけど、今のキャミィにそれは期待出来ないみたいね。 ちゃんと綺麗なAパスを返しているわ。

 麻美がいち早くジニーさんのブロックへ向かう。 私と宮下さんはリードブロック。 


「な、何してんのあれ?」


 チラッと麻美を見ると、何か右に左にとフラフラしていてポジションが定まっていない。 新田さんも困ってんじゃないの。


「こっち! ちょいさー!」


 パァンッ!


 麻美がブロックに跳ぶも、逆を抜かれる。


 ピッ!


「ぬぅん」


 麻美はこちらを振り返って、ちょっと怪訝そうな表情を浮かべる。 あの麻美があっさり逆を突かれるなんて珍しいわね?

ジニーにあっさり逆を突かれた麻美。


「紗希よん。 おりょ? 珍しいわね」

「あんまりないよねぇ?」

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