表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1939/2236

第1935話 前田さんの策

秘策ありと自信満々な前田さんだが?

 ☆亜美視点☆


 次戦のイタリア代表戦に向けてミーティングをしている私達。 しかし、MB(ミドルブロッカー)陣はアンジェラさんとソフィアさんの謎ジャンプで連携を取られるとお手上げだと弱気だけど……。


「我に秘策あり!」

「ひ、秘策?」


 前田さんが声高にそう言った。 前田さんの秘策とは一体どんなものなのだろうか? 皆は黙って前田さんの話の続きを待つ事に。


「まず最初にイタリア戦を戦うメンバーですが、月島弥生さん、清水さん、神崎さん、西條さん、藍沢麻美さん、雪村さんの6名でいきます」

「ちょいちょーい!」


 宮下さんが手を上げて何やら抗議の声を上げる。 まあ、何が言いたいかは大体わかるけど。


「私の出番は? エースの出番!」


 やっぱりだよ。 ここまでで宮下さんが出たのはオランダ戦だけ。 エースなのにこれではあんまりだと怒っている。 気持ちはわかるよ。


「んー。 宮下さんは余裕があれば、試合中に神崎さんと替えても良いと思ってはいますが」

「ぬ、ぬぅ。 わ、私、紗希っちよりは優秀なアタッカーだと思うんだけどな!」

「み、美智香姉……そんな事言ったら神崎先輩に失礼だよ」

「む、むぅ。 ご、ごめん紗希っち」

「きゃはは。 気にしてないわよん。 その通りだと私も思ってるしー」


 紗希ちゃんはそんな宮下さんに怒る事もなく笑って許す。 胸が大きいだけじゃなくて、懐も大きいのである。


「前田さん的には美智香より紗希の方がイタリア戦では有効やと思うとるんか?」

「ブロックの面で宮下さんより有効だと思います」

「ブロックって言わはりますけど、本職のMB(ミドルブロッカー)はん達がお手上げや言うとりますえ?」

「それでも、高さのあるブロックがあるというだけでアタッカーにプレッシャーを与える事が出来ます。 そういう意味ではやれる事がありますよ」


 たしかに、高さで言えば紗希ちゃんは私に次ぐ2番手。 世界で見ても最高クラスだ。 止めるまでは出来なくても、打ちにくいと思わせるような効果は期待出来るのかもしれないね。


「なるほど納得。 私はブロック微妙だからねー。 紗希っち任した!」

「きゃはは。 私も微妙だけどねーん」

「それで? 秘策とやらの続きは?」

「先程言ったメンバーをこのように配置します」


 と、前田さんが専用アプリのページを捲る。 そこには試合開始時の初期配置が書かれている。


      (廣瀬)

 月島(弥) 藍沢(麻) 清水

 神崎    雪村    西條

      (蒼井)


「廣瀬さんは藍沢麻美さんとの入れ替え、蒼井さんは雪村さんとの入れ替えになります」

「マリアと麻美を入れ替えて使うの?」

「はい。 私がここだと思ったタイミングで藍沢麻美さんの交替させます」

「マリアの役目が終わったタイミングで、また私が戻るー?」

「はい。 マリアさんを出すタイミングとしては1セットの最序盤。 ここは確定です。 麻美さんが後衛になったタイミングに1回。 他のセットはその時に応じてタイミングを変えます」

「たしかに、麻美が後衛になるとブロックに出れないし、攻撃もマリアの方が上だしな」

「何よりこうする事で、ローテーションが進んだ時にこうなって守備が安定します」


 更にページを進めると……。


 西條 蒼井 神崎

 清水 廣瀬 月島(弥)


「おー……」


 なるほど。 これはかなり守備力の高い形になっているね。


「前衛に高さのあるブロックを作れる蒼井さんと神崎さん。 後衛には攻守万能のオールラウンダー、清水さん、廣瀬さん、月島さんで固める事が出来ます」

「つまり、ブロックが上手く機能しなくても後衛でフォローするって事ですわね」

「はい。 ただし、毎回出来れば良いのですが……」

「交替の回数のルールだね」

「はい。 バレーボールのルールでは1セットにつき6回まで選手交替が許されますが、1人の選手につき交替可能な回数は2回。 コートから出る時と入る時で1回ずつという風に扱われるため、スターティングメンバーは実質1往復しか出来ません」

「1セット目序盤にマリアと替わったら、藍沢妹がコートに戻れるのは1回だけって事やな」

「はい。 なので、入れ替えるタイミングはとても重要です」

「1セット目序盤に交替するのが決まってるのは?」


 紗希ちゃんが手を上げて質問。 そこも前田さんなりの考えがあっての事なのだろう。


「最序盤は麻美さんもまだアンジェラさんやソフィアさんに対応し切れないと思うので、始まってしばらくは活躍も厳しいと思われます」

「自分もちょっと時間ほしー」

「はい。 なので、序盤前衛にいられる数プレーで実際にアンジェラさんやソフィアさんの攻めを直接受けてもらい、後衛に移動したタイミングでベンチに戻り、集中して2人への対策を練る」

「何とか出来そうだってなったらコートに戻るー」

「そうです」

「それまではオールラウンダー3人で凌ぐっちゅうわけやな」

「頑張ります」

「やるよぉ」


 これが前田さんの策のようだ。 宮下さんが出られるとすれば、麻美ちゃんがアンジェラさん、ソフィアさんの謎ジャンプ連携に何らかの対策が取れるようになった時だろうね。


「実際上手くいくかどうかはやってみないとわかりませんが、普通にやるよりはマシなはずです」

「前田さんの考えた作戦だし、きっと上手くいくよ」

「そやな」

「なはは! やるぞー!」


 という事で、メンバーと戦い方も固まったところでミーティングは終了。 ちなみに監督さんは話を聞いていただけであった。


 イタリア戦は明後日だよー。



 ◆◇◆◇◆◇



「それにしても前田さんは良く色々な作戦思いつくわよね」

「凄いよねぇ」


 データ収集能力は勿論の事、分析力やそれを用いて作戦を立てる頭脳まで持ち合わせている。 素晴らしい参謀である。


「イタリア戦の事も考えながらアメリカ戦の事もちゃんと考えてるみたいだったよぅ」

「前田さんも化け物ー」

「そだねぇ」


 前田さんを敵に回したくはないものである。


「麻美は出来るだけ早くアンジェラとソフィアを止める術を見つけなさいよ?」

「なはー。 あんなの止められるのかなー?」


 と、麻美ちゃんは今のところ少々弱気だ。 ただ実戦に入ると絶対何かしらやってくれるという期待感があるのは事実だ。 相手の狙いを読む鋭敏な嗅覚と、癖を見抜く眼力は間違いなく世界一だからね。


「頑張ってみるー」


 イタリア戦は今までとは違って、かなり大変な試合になりそうだよ。


「まあでもあれでしょ? イタリアからしたら『日本代表のあのわけわからない新連携どうしよう?』ってなってるでしょ? お互い様よ」

「あ、あはは。 たしかにそれはあるかも」


 時間差高速連携もどんどん使っていく事にはなりそうだし、激しい点の取り合いになる可能性もある。 どっちが先に相手を攻略出来るか……そこが鍵になりそうである。

前田さんの秘策に頼るしかない。


「遥だ。 色々と考えてんだなぁ」

「ローテーションしていく中での選手の位置まで考えてるんだねぇ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ