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第1933話 攻めも守り

アメリカ代表とブラジル代表の一戦。

 ☆亜美視点☆


 今日はアメリカ代表対ブラジル代表の一戦を観戦。 どちらも世界ランキング上位のチームである。


「アメリカ代表。 今日もジニーって人出てくるみたいだね」

「他もフルメンバーや」

「さすがにブラジル相手では手を抜けませんわよね」

「アメリカ代表かブラジル代表。 どっちが勝つやろか?」

「データだけ見ればアメリカ代表有利です」

「アメリカ代表かぁ」


 世界ランキングは私達日本に次ぐ2位のアメリカ代表。 ブラジルより当然上位だけど、果たしてこの試合どうなるか。


「ジニーって子は美智香姉タイプの技巧派でしたよね?」


 新田さんが前田さんに確認すると、前田さんが「はい。 中国代表戦を見る限りは」と答える。 結構パワーで押してくるチームの中では珍しいタイプの選手だが、中国代表戦ではそのテクニックで大活躍していた。


「この試合はオポジットのキャミィは活躍出来るやろか?」

「ブラジル代表は中国代表みたいた守備偏重ではないので、キャミィさんのパワー一辺倒な攻撃でも通用するとは思いますが」

「今回のアメリカ代表はんは、あまりポジションに拘らへんスタイルに見えますえ? その辺はどないどす?」

「それですね。 (リベロ)以外の選手は、その時々で臨機応変にプレーを変えてきます。 キャミィさんがトスを上げたり、オリヴィアさんがオープン攻撃に参加したり」

「まるで皆がオールラウンダーね」

「正にそうだと思います」


 奈央ちゃんの言葉に前田さんが賛同。 皆がオールラウンダーかぁ。 ミアさんは元々オールラウンダーだったけど、他の選手はそれぞれのポジション専属って感じだったもんねぇ。


「誰がどんなプレーをしてくるか、その時までわからないって事ねー。 前田さん。 アメリカ代表が相手になった時の日本代表メンバーは決めてんの?」


 紗希ちゃんの問いかけに前田さんは、「一応ある程度は」と答えた。 とはいえ、今日の試合で手に入る情報如何では変わるかもしれないとのことだが。


「ささ、試合が始まるよ」


 注目の一戦、アメリカ代表対ブラジル代表の試合開始である。 サーブはアメリカ代表からで(セッター)の選手からだね。 レフト前衛にオポジットのキャミィさん、その後ろにミアさん、センター前衛にオリヴィアさん、その後ろに(リベロ)の選手、ライト前衛に新戦力ジニーさんの布陣だ。


 パァンッ!


 アメリカ代表(セッター)は身長も高くパワーもあるタイプ。 サービスエースも狙えるサーバーだが、ブラジル代表もさすがは強豪。 そうはさせずにしっかり拾って繋ぐ。


「オリヴィアさんとジニーさんがブロックに行ったね」


 ブラジルエースのスパイクに対して、2枚のブロックで止めにかかるアメリカ代表。 オリヴィアさんのブロックの高さと技術は、私達もよく知るところ。


「ジニーさん、高さもあるけどオリヴィアさん程じゃないですね」


 パァンッ!


 ブラジルエースもその高さの差を突いて、ジニーさんの方にスパイクを打ち込む。 しかし、そこには既にミアさんが。


「反応早い!」

(リベロ)の選手いらなくない?」

「一応W(リベロ)が作れるからアリですわ」

「見事なトータルディフェンスどすな」

「はい。 ジニーさんのブロックがオリヴィアさんに比べて低いという弱点すら利用した守備です」


 トータルディフェンスとは、ブロックとそれ以外の選手による守備連携の事であり、これがしっかり出来ているとレシーバーは守備位置をほとんど動く事なく拾う事が可能になる。


「全員で守って全員で攻める……それが今のアメリカ代表なんでしょう」


 パァンッ!


 オポジットでエースのキャミィさんの目の覚めるようなスパイクで、いきなりブレイクしてみせるアメリカ代表。


「やっぱり強いね」

「このワンプレーを見ただけでも、隙があらへんってのがわかるで」

「イタリアに勝ってもこれと当たるんですか……大変ですね」

「天堂さん、他人事やあらへんよ? あんさんかてアメリカ戦に出るかもしれへんのやで?」

「わ、私がですか?! ひぇ」

「スポットでは有り得ますので、気は抜かないで下さいね。 他の皆さんも」

「はい!」


 試合の方は2ー1となってアメリカリードしているよ。 まだまだ始まったばかりでどうなるかはわからないねぇ。


「にしても、あのキャミィがトスまで上げるやなんてな」

「クリムフェニックスじゃ絶対やらなかったわよねー?」

「クリムフェニックスにはオールラウンダーの月島さんがいますからね」

「なるほど、納得や。 ウチがセカンドセッターやっとるもんな」

「それにしてもっしょ? 普段(セッター)やる練習なんかしてなかったし」

「キャミィさん、成長速度が凄まじいプレーヤーだからねぇ。 教わりながら練習すれば、あれくらいはすぐに出来るようになるかもだよ」

「ふぅむ」

「でもさー、キャミィがトスを上げるって事はエースが打てないって事じゃん? アメリカ代表の采配大丈夫?」


 宮下さんの言い分もごもっともで、通常オポジットに位置するエースアタッカーは攻撃に専念する為、トスを上げたりする事は無いものだ。


「その答えはアレです」


 宮下さんのそんな疑問に対する解答を、アメリカ代表が見せてくれる。


「キャミィがミアにトスやな」


 パァンッ!


「?!」

「あれは、キャミィの模倣?」

「多分そうです。 つまり、ミアさんという変幻自在のプレーが出来る選手がいるおかげで、キャミィさんから擬似キャミィさんへのトスという事が可能なんですよ」

「ほへー」

「ミアさんありきって事なんだねぇ」


 アメリカ代表ならではの戦い方というわけだ。 ミアさんは当然キャミィさん以外のプレーも真似出来る為、トスを上げたりオリヴィアさんみたいなブロックもしたり出来るのが強い。


「アメリカ代表にはエースも2人、エースブロッカーも2人、(リベロ)も2人、(セッター)に至っては3人いると言えますね」

「ミアって反則なんじゃない?」

「実際反則級ですね。 まあ、日本代表にも清水さんという禁止カードがいますので」

「禁止カードなんだ……」

「なはは!」

「日本代表も似たような事が可能というわけですわね」

「はい。 しかもオールラウンダー3人いますから!」


 私と弥生ちゃんとマリアちゃんの3人だねぇ。 弥生ちゃんはオポジットをやる事もあるから微妙だけどね。


 パァン!


「しっかしあれやな。 アメリカ代表は選手全員のプレーがコロコロ変わってわかりにくいな」


 黛の妹さんが腕を組みながらそう言った。 アメリカ代表のコートメンバー皆が色々なプレーをしてくる為、何に注意すれば良いかが難しそうである。 ジニーって子も新戦力ながら活躍を見せている。


「新人であれだけ活躍しているなんて」

「私達も負けてられない」

「はい」


 日本代表の若い衆もジニーさんを見て火がついたようだ。 次世代を担う選手だからねぇ。 頑張って強くなってほしいものである。


 それにしてもアメリカ代表、強いねぇ。

アメリカ代表は皆がオールラウンダー?


「紗希よん。 やり辛そうよねー、アメリカ代表戦」

「やってみないと何ともだよ」

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