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第1918話 死のブロック

観光を続ける紗希達。

 ☆紗希視点☆


 私達日本代表メンバーは、決勝トーナメント前の空き日を利用してシドニー観光をしているわよん。 人が考えたとは思えないようなデザインの建造物、オペラハウスを観光し、ハーバーブリッジを渡り、タロンガ動物園へとやって来た。 動物園では佐々木君が大活躍よん。 やっぱり動物関連の知識となると頼りになるわね。 私、タスマニアデビルだとかウォンバットだとか知らなかったわよ。


 んで今は動物園内にあるゴンドラに乗り、シドニーの景色を楽しんでいるところよ。 ゴンドラはそこまで大きな物ではなく、人数もそんなには乗れない為、グループに分けて乗ってるわ。 私は奈央と遥に春人君といういつメンよ。


「個人的には希望ちゃんと渚の2人の怖がりっぷりも見たかったわね」

「紗希は良い趣味してますわね」

「本当にな」

「でも、あの2人が震えて怖がってる姿はたしかに面白いですよ」

「きゃはは。 北上君はわかってるわね」


 このゴンドラに乗るという話になった時、希望ちゃんと渚は乗らないと言い出し、亜美ちゃんや弥生に苦笑されていた。 結局2人とも説得されてゴンドラに乗る事にしたみたいだけどはてさて。 希望ちゃんは幼稚園の先生になるに当たって、怖がりな一面をある程度克服したらしいのだけど、まだまだ怖いものはあるみたいね。


「にしても、シドニーって街は何処からでもオペラハウスが見えるわね」

「まあ、街のランドマークですもの。 前面に押し出していくに決まってますわよ」

「私らの街には無いよなぁ、ランドマーク」

「あえて言うなら『皆の家』がそうかもしれませんよ」

「駅前にある町の中で一番立派な建造物……。 きゃはは、たしかにね」


 その内あの屋敷が観光名所になったりするのかしら? まだまだ広い敷地を有するあの屋敷、今は麻美がスタジオを増築中よ。


「今日はこの後ピットストリートモールって場所だっけ?」

「名前からしてショッピングモールみたいなもんかい?」

「ええ。 その前にお昼にしないと、そろそろ遥と佐々木君が耐えられないでしょうから先にお昼にしますわ」

「ヨシ!」

「きゃはは」


 ちなみにこの観光、日本代表監督や姫百合さんも同行しているわ。 監督は最初こそ「バレーボールに集中してくれんかなぁ」とか言ってたが、オペラハウスを見たりしてる内に「がはは。 観光も良いもんだなぁ」と、あっさり観光旅行気分に浸っていた。 あのおじさんも結構面白い人よね。



 ◆◇◆◇◆◇



 ゴンドラ遊覧を終えた私達は、タロンガ動物園を後にした。 更にその後はピットストリートモールへ足を運んで、色々なお店を見て回ったわ。 ショッピング好きな私達には堪らない場所であり、ついつい財布の紐が緩んでしまったわ。 特に姫百合さんなんかはもの凄い勢いで買い物をしていたわ。 アイドルでもああなるのね。


 んで、私達はホテルへ戻り、本日の観光を終えたわけよ。 いやいや、満足したわ。


「バレーボール漬けも悪くはないけど、やっぱり息抜きも大切よねん」

「そうねー。 まあ、もう大会終了まで観光予定もないですわよ」

「まあ、仕方ないよねぇ」


 シドニーで見られる観光スポットはまだあれど、私達が時間を作れないという感じなのよねー。 亜美ちゃんが言うように仕方ないわ。


「今日は夕方からミーティングがあるからなぁ。 ワシはそれまで寝とるからなぁ」

「はいよー」


 監督は朝早く起きたのが辛かったのか、欠伸をしながらロビーを後にした。


「ミーティングもどうせ前田さんが仕切るんやろ?」

「まあ、そうお願いされてますね」

「あのおっさん、ほんまに要るんか?」


 黛の姉さんはあの監督には結構言う事言うのよねー。 まあ、あまり役に立ってるようには見えないけどさ。 ただ、亜美ちゃんや奈央、前田さんはああ見えても優秀な人だって言ってるけどね。


「で、明日の試合は何処となんや?」

「オランダですわね。 ランキング8位ですわ」

「強敵ですね」

「そだねぇ」


 明日はもう決勝トーナメント1回戦が始まる。 最初の相手はオランダという事みたいね。 メンバーは予選から変えそうね。


「問題は2回戦ですね。 相手はカナダです」

「カナダっていうとフランスに勝ったチームね?」


 珍しく宮下さんがそんなことを覚えていた。 普段はバカだけどバレーボールIQは高いみたいな、佐々木君みたいな人ね。


「フランスはカナダにワザと負けはったんやろ? 普通にやっとったらフランスが勝ってたはずですやろ? 特に強敵やないんとちゃいはりますの?」

「まあ、眞鍋さんのおっしゃる通りです。 しかし、フランスがあの時に勝っていたら2回戦でフランスと当たるところだったんですよ」

「たしかにー」

「それをワザと負けてまで避けてきたっちゅうわけか……」

「ウチはアホやからわからんねんけどやな、フランスはウチらと2回戦で当たるんが怖かったっちゅうことやないの?」


 黛のお姉さんが前田さんに質問するが、前田さんは小さく首を横に振る。


「フランスは日本代表との試合を避けたというより、こちら側の死のブロックを避けたという方が正しいですね。 これが決勝トーナメント表です」


 と、黛のお姉さんにトーナメント表を見せる前田さん。 黛のお姉さんはトーナメント表を覗き込みしばらくしてから「うげっ」と呻き声を上げた。


「何やねんこれ?!」

「今頃気付きましたの?」

「姉ちゃん、何も考えてへんからなぁ」

「だはは! やっぱりアホやん」

「やかましいで月島!? そやけどなるほど……こらフランスも避けたがるわけやな」


 こっちのブロックを見ると、アメリカ、イタリア、ブラジル、キューバに中国といった強豪国がひしめき合っている。 私達日本代表とカナダは順調に勝ち上がると、イタリア、アメリカと連戦する事になるのだ。 死のブロックとは言い得て妙ね。


「私達は強豪国同士で切り札や主力を浪費しつつ決勝を目指すのに対し、フランスは割と楽に決勝まで勝ち上がってくる可能性があるわけです。 その差は決勝の直接対決で如実に現れますよ」

「はぇー。 フランスチーム、中々頭脳プレーするやん」


 前田さんが言うには、フランスに優秀な参謀がいるのではないかという事みたいだけど。 スポーツは単純なチームの力だけじゃなくて、裏方達の情報戦、頭脳戦も大事なんだと改めて思い知らされるわね。 日本代表に前田さんが居てくれて本当に助かるわねー。


「で? 明日のメンバーはウチは確定しとるんやんな?」


 黛のお姉さんが自分の顔を指差して前田さんに確認する。 何かこの前の試合中にそんな話をしてたわね。 前田さんは「詳しくはミーティングまでは控えたいですが、黛梨乃さんは確定してます」と答えた。 黛のお姉さんはそれだけ聞いて満足そうに頷く。 黛のお姉さんが出るって事は、妹の方も一緒に出そうかしらね? 2人が組むと姉妹の連携が使えるし、攻撃力は大会随一になるものね。 前田さんの采配がどうなるか楽しみだわ。

観光を終えて頭はバレーボールモードに。


「奈央ですわ。 フランスでも何処でも全部勝つだけですわ」

「それはそうだけど、出来れば楽したいよねぇ」

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