第1993話 セルビア戦開始
セルビア戦前日のミーティング中。
☆麻美視点☆
現在は試合前日のミーティング中です。 明日はセルビア戦。 今からそのメンバー発表があるが、主力勢の皆はどうせ出番無しだろうという事で、ハナっからやる気が無いようだ。
「どうせタイ、ベルギー戦と同じスタメンやろ?」
「ちょっと変えようと思います」
「お、ほんまか?!」
「はい。 雪村さんを新田さんに、Lの交替要員を蒼井さんから藍沢麻美さんに変えます」
「変わらんやないか!?」
「なははー! 出番来たー」
「頑張ります!」
私と新田さんは出番が来たのでやる気アップー。 黛姉さんはブツブツと文句言ってるよー。 まあここまで出番無いとねー。 私もようやく出番がもらえてストレスが発散出来たー。
「明日はセルビア戦。 私達のグループの中では私達に次ぐランキングです」
「さよかー。 9位やっけ?」
「ですね。 頑張って下さい」
「はい!」
私もやるぞー!
◆◇◆◇◆◇
という事でミーティング後の入浴時間ー。 前田さんや新田さんも一緒になったー。
「オーストラリアでもお風呂は生き返るわね」
「オーストラリアでも年寄り臭いよ奈々ちゃん」
オーストラリアでもいつものやりとりを見せる亜美姉とお姉ちゃん。 オーストラリアでも仲良しであるー。
「オーストラリアと言ってもここは西條グループのホテルのVIPフロア。 私達が過ごし易いように作られている為、日本のホテルと変わらないはずですわよ」
「たしかにー」
西條先輩の言うように、このホテルは日本のホテルと変わらない感じで過ごせるのだー。 西條家の人間が使う事を前提として作られている為らしいー。 VIPフロアというよりプライベートフロアといった感じー。
「ところで、どうして明日の試合のLと替えのMBを変えましたの?」
「あ、それは私も聞きたいです」
西條先輩と新田さんは明日の采配について質問があるようですー。 まあ、変えたと言ってもそれだけなんだがー。
「特に理由という理由は無いですよ。 グループ予選は世界戦の経験の少ない選手で乗り切るつもりだったのですが、この2つのポジションにはそういう選手が居ないので誰を出しても良いかと」
「なはは! 人材不足ー」
「ですね。 Lにはアルテミスの牧田さんを招集しても良かったかもしれないですけど」
「私はあの子ちょっと苦手だわ。 麻美が2人に増えたみたいで」
「なはは! 我が弟子ぞー!」
牧田というのは我が一番弟子にしてアルテミスの控えLの選手。 「ちょいさー」を理解しており、Lの守備に応用している。
「新田さんは牧田さんの実力は代表クラスだと思ってるの?」
「よくわからないですが、得体が知れない感じです」
「私はアルテミスのチームマネージャーをやってるので、牧田さんのデータは一通り持っていますが、新田さんの言うように得体が知れない人ではあります。 麻美さんみたいに」
「なははは! 私、得体が知れないのかー!」
「あはは……そうだねぇ。 麻美ちゃんもそのタイプだよ」
「という事は牧田さんって、天才タイプなのかしら?」
「私はそんな気がします」
「なるほど」
前田さんでもまだ確信には至っていないみたいだ。 私は牧田さんを初めて見た時から私と似た匂いを感じ取っていたのだがー。
「そうそう。 明日のセルビア戦はそのメンバーで勝てる想定ですの?」
「はい。 ただ、前の2戦程余裕は無いかと。 1セット取られるか、もしくはフルセット戦う事になるかもしれないですね」
「そんなギリギリなの?」
「データ上はですよ。 明日のスタメンとセルビアの主力メンバーのデータを比較したところ、大体互角か少し上という感じなので」
「実際には相性とかモチベーションとかに左右されたりするからねぇ」
「はい。 あくまで予想です」
しかし、天堂さん達は現状だとランキング9位のセルビアチームと互角ぐらいなのかー。 若い子達なのに凄いー。
「私と新田さんが頑張って守るー」
「最悪負けても予選通過は出来るので、あまり気負わずに」
「はーい」
◆◇◆◇◆◇
翌日のセルビア戦開始ー。 試合前の前田さんからは、MBのマリアナさん、エースのクリスティナさんに注意せよとの事。 私は新田さんの交替要員なので、試合開始時にコートには立っていないー。 ベンチから麻美アイでセルビアチームを観察だ。
「はよ終わらんかな」
「まだ始まってもいいひんで、姉ちゃん」
黛姉は自分の出番が無いのをわかっている為、退屈そうにコートを眺めている。 「これやったらテレビ中継の解説役で座ってる方がおもろいわ」と言っている。 タレント事務所に所属しているらしく、最近はたまにテレビとかにも出ている黛姉妹ー。 バラエティーやバレーボールの試合解説なんかもやっている。
「決勝トーナメントに入ったらいきなり出てもらいますから、もう少し我慢してください」
「ほんまかー? ほな我慢しよか」
結構単純みたいですー。
「試合始まるよ」
ピッ!
セルビア戦開始ー。 麻美アイ発動ー!
「まずは日本サーブどすなぁ」
「冴木っち落ち着いてこー!」
パァンッ!
初っ端のサーブは緊張するものだけど、冴木さんは実に落ち着いたプレーが出来ているー。
「冴木さんは私達の代の月ノ木のキャプテンだった人です。 プレッシャーには強いですよ」
と、マリアは冴木さんを高く評価している。 私から見ても優秀な後輩だったー。
パァンッ!
「あぁ、星野さん惜しい!」
クリスティナさんのクイックスパイクに対してブロックに飛んだ星野さん。 読みはバッチリだったけど、ブロックを成功させるには至らずー。 上手く打たれてブロックアウトにされてしまったようだー。
「やるわね、あのクリスティナって選手」
神崎先輩が目を光らせた。
「クリスティナさん。 身長194cm、最高到達点316cmのバランス型アタッカーです。 パワー、テクニック、状況判断力、どれを取っても一流ですね。 欧州リーグで活躍している実力派プレーヤーですよ」
「なるほど。 強そうやな」
「実際強いですよ。 今大会10本指には入るOHです」
「そんなの相手にあのメンバーで大丈夫かいな?」
「はい」
前田さんは力強く頷く。 しかし、試合の方は序盤劣勢。 1-3とリードされているー。
「苦戦してるねぇ」
「やな」
「クリスティナさんが想像以上にやりますわね」
「むーん。 日本危うし?」
「いえ。 大丈夫です。 実力は互角なんで、後は流れに乗れば勝てますよ。 負けても問題無しですし」
「まあ、そうどすな」
月島先輩なんかは「負けてええわけないやろ? ウチを試合に出さんかいおっさん」と言っているが、監督も前田さんもダンマリー。 2人はこの試合はあのメンバーの成長に必要な試合という事のようです。 というか私の出番まだかー?
立ち上がり苦戦する日本代表。
「遥だ。 さすがに今までみたいにはいかないか?」
「セルビアも強いからねぇ」




