表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1911/2239

第1907話 親睦パーティー

いよいよワールドカップの開会式が始まった。

 ☆亜美視点☆


 さて。 いよいよワールドカップの開会式です。 私達選手はチームジャージに着替えて控え室待機。 入場順は国名のアルファベット順。 JAPANなので少し後になるが、整列する場所は全チームの中央列となる。 前回大会優勝国だからね。 更に右隣に前回大会2位のアメリカ、左隣に3位のイタリアが並ぶ予定である。 更に更に、開会式後は各国の親睦を深める為に、軽いパーティーが予定されている。 楽しみだねぇ。


「アンジェラさんとかオリヴィアさんは元気かな?」

「どっちもプロプレーヤーとして活躍しているというデータはありますよ」

「さすがに2人は凄いね」


 オリヴィアさんはアメリカのリーグで、アンジェラさんはヨーロッパのリーグで活躍しているのだとか。 どちらもスター選手だよ。


「そろそろ始まるみたいだから準備してね」

「き、緊張してきた」

「ね、ねー」

「つ、ついに世界戦……」


 と、ワールドカップ初参加の面々が緊張する中、同じく初参加の佐伯和香さんはというと。


「何を緊張してるのよ。 世界戦ってったって相手は同じバレーボール選手じゃない」


 このように堂々としたものである。 学生時代からだけど、結構肝の座った人だ。



 ◆◇◆◇◆◇



 開会式の入場が始まり、キャプテンの奈央ちゃんを先頭に行進していく。 私達が並ぶのは中央列。 左隣には既にイタリア代表が来ていた。 アンジェラさんがこちらに気付き、小さく手を振って挨拶をして来たよ。 うーん。 相変わらず天使だよ。


「アメリカはまだかいな」

「United States of America。 頭文字がUだからもうちょっと後だね」

「そうなんか」


 しばらく待っていると、アメリカ代表も体育館に入って来て私達日本代表の右隣に並ぶ。 オリヴィアさんとキャミィさんがこちらに小さく手を振り、ミアさんは小さくお辞儀をしながら挨拶してくるのであった。


 偉い人の開会宣言を、西條グループ開発の小型翻訳機で聞きながら、早く終わらないかなぁとか考えるのであった。 蛍光灯の数を数え終える頃には開会宣言も終わり、開会式が終了。 一旦控え室で私服に着替えた後は、親睦パーティーが行われる会場へと移動するのであった。



 ◆◇◆◇◆◇



 親睦パーティー会場では、いわゆるバイキング……立食パーティーが行われるようだ。 各国選手と会話しながら親睦を深める事が出来るよ。 各国選手は、私達と同じく西條グループ開発の小型翻訳機を装着しているらしく、会話がスムーズに行えるようになっている。


「アミ! アサミ!」

「んむ?」

「おー、アンジェラさんだー! こんばんはー」

「コンバンハ」


 翻訳機は問題無さそうだ。 私達の言葉はイタリア語に翻訳されて届いているだろう。


「今度コソ、私達が勝ちマスヨ」

「なはは。 アンジェラさんと対戦するの楽しみー」

「うんうん。 もしかしてまた新しいジャンプ技とかあるんじゃない?」


 と、私がそう聞くと、アンジェラさんは片目を瞑り、人差し指を口の前に持って来るというチャーミングなポーズを取る。


「秘密デス」

「あはは。 そりゃそうだよね」

「新しい技があっても破るまでー」

「楽シミにシテマス」


 と、アンジェラさんとお話をしていると、今度はアメリカチームの面々が、弥生ちゃんや宮下さんのグループと共に近付いて来た。


「おう、亜美ちゃんここにおったか。 オリヴィアが探しとったから連れて来たで」

「おー、オリヴィアさん! キャミィさんにミアさんも!」

「お久しぶりデスネ、日本の小さな怪物さん」


 と、笑いながらそう挨拶してきたのはオリヴィアさんだ。


「人間だよ」

「なはは!」


 いつもの返しをすると、オリヴィアさん、そしてアンジェラさんはクスクスと笑う。 な、何なのよぉ。


「イタリアの天使さんも、お久しぶりデスネ。 欧州リーグでの活躍は聞いてマス」

「こちらこそお久しぶりデス、アメリカ最強の壁さん」


 と、こちらもしっかりと親睦を深めているようだ。


「アミ」

「ミアさんどしたの? 私達は十分親睦深まってると思うけど」

「はイ。 今回は負けませン。 優勝するのは私達アメリカでス」

「ソヤナー。 ヤヨイも覚悟しヤ」

「その言葉はそっくりそのまま返すで」

「あら? 優勝するのは私達イタリアチームですヨ」


 こんな風に三すくみをしていると、更に新たな勢力がやって来た。 フランスチームの面々だ。


「マリエルさんにクロエさん。 それにアリスさんと……ジャンヌさん」


 そう、そこにはフランスの秘密兵器と思われる、ジャンヌさんの姿も。


「眞鍋キャプテンは?」


 と、マリエルさんが首を傾げながら聞いてくる。 今この周辺にはいないと伝えると、ホッとしたように息を吐くマリエルさんとクロエさん。


「さては眞鍋はんに扱かれとるんやな? あの人、鬼みたいな人やからな」

「ソヤソヤ」


 と、眞鍋さんの悪口を言っていると、鬼の形相で近付いて来る眞鍋さんの姿を発見した。 私は知らないよ。


「ミヤシタ」

「アリスさん! 今回も熱い試合しましょ!」

「! はい!」


 こちらはアリスさんと宮下さんが、ライバル間で握手をしているよ。 小型翻訳機のおかげで、コミュニケーションもスムーズに出来るし、これは神アイテムだね。


「アミ。 サキはいないのかい?」

「ジャンヌさん……」

「おっと。 警戒しなくていい。 こんな場所で暴れたりしない」

「紗希ちゃんなら、何処かその辺にいると思いますよ」

「そうかい。 とりあえず、アミに挨拶だけ済ませておくさ。 私はあれから、貴女達に勝つ為に真剣にバレーボールの練習をした」

「!」

「練習試合のようにはいかないゾ」

「肝に銘じておくよ」


 あの時よりかなり落ち着いた雰囲気になっているね。 真剣に練習してきたというのも多分本当だろう。 あの練習試合で、彼女に火を点けてしまったようだ。 


「相手は強い方がええやん。 臨むとこやで」

「彼女は?」


 ジャンヌさんを知らないオリヴィアさんとアンジェラさんが首を傾げる。


「フランス代表のジャンヌだ。 よろしく」


 と、あの練習試合の時とは違い、ちゃんと挨拶をして握手を交わしている。 変わるもんだねぇ。 ガムを噛んだり、ガムの包み紙を渡してきたりした悪いジャンヌさんはもういないようだ。 もう立派なアスリートだ。 この後は、紗希ちゃんと奈央ちゃん、遥ちゃんもやってきて、皆と挨拶を交わしていた。 この親睦会は成功みたいだね。 明日からはネットを挟む敵チームになるが、今の間だけはそんなことも忘れて楽しむ事にするよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 ホテルへ戻って来た私達は、軽くミーティングを行った。 明日は早速予選グループ第一試合のタイ戦がある。 メンバーは先立って知らされていた、佐伯和香さん、神園さん、天堂さん、冴木さん、星野さん、希望ちゃんだ。 予選は出来ればこのメンバーで戦い抜きたいと、前田さんが語っていたがはてさて。


親睦パーティーでは、かなり雰囲気の変わったジャンヌも。


「紗希よ。 たしかスラム育ちの悪童だったわよね? 変わるもんねー?」

「だねぇ。 ちょっとびっくりしたよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ