第1902話 星野の弱点
今日も絶好調な麻美。
☆麻美視点☆
翌日も練習練習ー。
「ちょいさー!」
パァンッ!
「渚撃破ー!」
「ぐぬ……」
「相変わらず渚は藍沢妹と相性悪いなぁ」
「お姉ちゃん。 何があかんのやろ?」
「ほへー? 別に悪いとこ無いよー?」
「そやな。 渚は問題あらへんよ。 相性問題か藍沢妹の読み合いの強さの問題や」
「読み合いか……」
「藍沢大先輩、次よろしくお願いします!」
「おー! 来またへ!」
次は天堂さんと神園さんが連続でスパイクしてくるみたいだー。
「はっ!」
「こっちにうぇーい!」
パァンッ!
「天堂さん撃破ー!」
「凄っ……」
「次、神園いきます!」
「おー!」
「はぁっ!」
「ちょいさ!」
パァン、!
「なはは! 神園さん撃破ー!」
「?!」
私絶好調ー!
「ほんま大した化け物やな。 1枚ブロックでこんだけ的確にシャットアウトブロック連発出来るもんやないで」
「なーははは!」
「しかし、藍沢大先輩と勝負すると自信失くしますね」
「あっさり止められるし……」
「世界の壁ってこんなに高いんでしょうか?」
「ちゃうちゃう。 藍沢妹が異常なだけやて。 こんなんでも世界トップクラスのMBやしな。 自信失くす事あらへんて」
「は、はぁ」
なはは。 月島先輩からも高評価なのだー! さて、とりあえず星野さんとチェンジー。 私はコートの外に出て水分補給ー。
「麻美、絶好調ね」
「あ、お姉ちゃん。 でもお姉ちゃんとか亜美姉は中々止められないー」
「いやいや。 今日は5割止められてるよ」
「私もよ」
「そんな止めてたー? なはは!」
「麻美っちは間違い無く世界一のブロッカーさー」
「でも、宮下さんのは3割ぐらいしか止めてないよね」
「そこも相性やろな」
「美智香姉は癖だらけで選択肢も多い上に何考えてるか読みにくいー」
「麻美の天敵ってわけね」
「うわはは」
「なはは」
「麻美ちゃんが苦手なタイプのアタッカーは宮下さんみたいなタイプなんだね」
「そー。 世界にはあまりいないから多分大丈夫ー」
「逆に得意な相手は?」
「基本に忠実でバカ正直なタイプー」
「天堂さん、神園さんみたいなタイプだね」
「あとフランスのアリスさんー」
「あの人は宮下さんタイプなんじゃないの?」
「プレーはたしかに似てるけど、あっちは癖がなくて基本に忠実、バカ正直で考えてる事がわかりやすいー。 美智香姉とは正反対」
「そ、そうなんだね」
「麻美も前田さんに負けず劣らずデータタイプね」
「違うー。 人間観察好きなだけー。 お姉ちゃんと一緒ー」
「私も人間観察は好きだけど……」
「姉妹揃って変な趣味しとるな」
「良いでしょ別に」
「なはは」
「とはいえ、麻美ちゃんの観察眼には何度も救われてるからねぇ」
「なはは。 今年は各国チームも新しい選手入れてるだろうし、私もどんどん観察していくぞー」
「頼むでぇ」
◆◇◆◇◆◇
練習はまだまだ続く。 MBでは新顔の星野さんが苦戦しているー。 私は口を出すなと言われているので、蒼井先輩に任せているのだがー。
「基礎はしっかりしてるんだがなぁ。 何が足りないんだ?」
と、蒼井先輩は首を傾げる。 星野さんは世代ならトップと言われるMBだ。 実力は十分だと思われるが、私から見た感じ「ちょいさー」が足りない気がする。 何度も「ちょいさー」を教えてはいるのだが、中々理解してくれないー。
「麻美は何かわかるかい?」
「『ちょいさー』不足ー」
「だからそれじゃあの子はわからないんだって……」
「うーん。 何というか縮こまってる気がするー」
「縮こまってるか……たしかに、周りの凄いアタッカーを相手に心無しかビビってる感じはするな」
「だからこそ思い切って『ちょいさー』した方が良いー」
「……それってそういう意味なのかい?」
「ほへ? 『ちょいさー』は『ちょいさー』ですー」
「そ、そうかい」
私の言葉を聞いて頭を抱える蒼井先輩だが、縮こまっているように見えるというのは納得したらしく、その辺をアドバイスすることにしたようだー。
「人間観察は役に立つねぇ」
「なはは。 合ってるかわからないけどー」
「どうだろうね。 星野さんには頑張ってほしいよ」
今は蒼井先輩は星野さんにアドバイスをしているようだ。 亜美姉とお姉ちゃんは、そろそろ蒼井先輩に呼ばれるだろうという事で準備運動してるー。
「亜美ちゃん、奈々美、それと月島も来てくれ」
「ほい来ただよ」
「はいはい」
「ウチもか」
日本のトップクラスのアタッカー3人を相手に堂々とプレー出来るようになれば、星野さんの弱点克服と言えるー。
「星野さん。 今からこの3人にどんどんスパイクしてもらう。 縮こまらずに堂々とプレーするんだ」
「は、はい!」
「まだ緊張してるー。 星野さんリラックスだぞー」
「リラックス……すぅー……はぁー……よろしくお願いします!」
「よっしゃ! ほないくで!」
という事で星野さんの猛特訓が始まったー。 3人から順番にスパイクを打ってもらい、頑張ってブロックに跳んでいる。
「良いかい! 止めるのが目的じゃなくて、自信を持ってブロックするのが目的だからな!」
「はい!」
パァンッ!
パァンッ!
パァンッ!
「まだまだ固まってるぞ!」
「はい!」
スパルタに見えるけど、日本代表として戦っていくならこれくらいは序の口だ。 しっかりとついてこれるようにならないと、ただの足手纏いになるだけー。
「麻美は見てるだけで良いのん? 私のスパイク受ける?」
「おー、神崎先輩ー! 受けるー」
私は私で神崎先輩と特訓。 神崎先輩はジャンプ力も世界2位、パワーもあるし必殺の打ち下ろしもあって非常に強力なアタッカーだ。
「いくわよん! うりゃ!」
パァンッ!
「ちょいさ!」
パァンッ!
「きゃはは。 やるわね麻美」
「何とか止められたー」
「んじゃ、次はメテオストライクいくわよー」
「こーい!」
「とぉりゃ!」
パァンッ!
神崎先輩の打ち下ろしスパイクは角度がエグいー。 これを止めるのは至難の業だー。
パァンッ!
「なはは、無理ー」
「ふふん。 どうよ、我が伝家の宝刀の切れ味」
「素晴らしいですー」
スパイクの打点が高い為、打ち下ろしの角度がとんでもない事になっているこのスパイク。 左右と正面に打ち分けてくるのに加えて、コメットなんとかっていうインナークロスの打ち下ろしまであるので、かなりブロックし辛いのであるー。
「神崎先輩の技は無敵ー」
「きゃはは!」
私も何か必殺スパイクとか必殺ブロックみたいなの作りたいなー。
「あっちはスパルタねー」
「星野さん頑張ってるー」
星野さんは相変わらず3人のスパイクを順番にブロックする特訓中みたいですー。 星野さんも弱点克服に頑張ってるし、私も負けないぞー!
「神崎先輩! もう一丁ー!」
麻美もまだまだ強くなりたい。
「奈々美よ。 麻美は本当に謎よね」
「未だにちょいさーの意味がわからないよ」




