第1899話 新たな連携?
毎日のように練習に励む皆。
☆紗希視点☆
今日もバレーボールの練習練習。 私はオールラウンダーの亜美ちゃんと違って純粋なアタッカー。 攻撃に全てを注ぎ込む。 ま、まあブロックとかレシーブもやる時ゃやるけど。
「うぉりゃ! メテオストライクー!」
パァンッ!
「ひぃっ?! 高いし威力も凄いし角度もやばいです!」
「きゃはは。 パワーアップした私のメテオストライクは最強よ!」
「そのダサい名前だけ何とかしなさいよ」
「カッコイイっしょ」
「ありきたりやんな。 デザイナーとしてのセンスは一流やのに、ネーミングセンスはイカれとる」
「失礼ね。 私のハイセンスについてこれてないだけでしょ?」
「そうやな」
と、弥生は適当に流す。 皆は苦笑いしながらこちらを見ているわ。 私のセンスがわからない人達ね。
「まあ、名前はともかくとしてスパイクとしてはかなり強力ですのでバンバン打って下さい」
「名前もかなり強力なのよ!」
「そうですね」
前田さんも適当に流す。 むぅ。
「なはは! 神崎先輩はさすがだー! 私のちょいさーぐらいカッコイイー」
「麻美はわかってくれるのね」
ちょいさーが名詞であったとは知らなかったけど。
「実際、ブロッカーからしたら厄介なスパイクだとは思うぜ。 私や麻美ぐらいブロックが高けりゃそうでもないが、もうちょっと低いブロックだと中々えぐい」
「しかもそれをインナークロス気味にも打てるしねぇ」
「最新の技『シューティングスター』はブロードからもやれるわよん」
「多彩なんですね」
と、天堂さん。 やってみたいけど打ち下ろし出来るほど高くは跳べないとの事。 中々すぐには難しいわね。
「ウチはオリンピックに引き続き、紗希がエースでも良かったと思うで」
弥生が意外な事を言い出したわ。 弥生もエース争いはしていたけど、そこまで拘りは無かったみたいね。
「まあ、決定率とか実績を考えたら宮下さんが妥当っしょ。 ブランクも全く無かったわけだし」
「まあ、そやな」
私も今回は宮下さんがエースで良いかなと思ってるわよ。 それに私はアルテミスのエースを狙っているし。
「しかし今大会は采配にも悩むやろな。 前田さんどないなん?」
と、采配を考えるのは監督の仕事にも関わらず前田さんに聞くのは、前田さんが采配を考えて監督にアドバイスをしているからよ。 日本の監督さん大丈夫かしら?
「そうですねー。 ただ日本の選手は割りかし役目がわかりやすくて、こういうチーム相手にはこの選手が……みたいなのが結構ハッキリしてますよ。 なんで、そこまでではないですね。 グループ予選の相手チームやデータはある程度揃ってますから、その辺の采配は決まってますよ」
「そうなの?」
「はい。 グループ予選の初戦、タイ戦は天堂さん、神園さん、佐伯和香さん、星野さん、冴木さん、雪村さんで行く予定です」
「うわわ。 代表新メンバー盛り盛り采配だよ」
「はい。 ランク的にはこのメンバーで戦えるはずです。 まずは予選グループで新メンバーには離れしてもらいます。 理想は予選グループは全試合そのメンバーでいきたいです」
「え? じゃあ予選は私達出番無いかもしれないわけ?」
「状況によりけりですね。 もしタイ戦に負けたりした場合は2戦目以降は皆さんの出番あるかもです」
「出来れば出たいけど、その場合は初戦で負けてるわけか」
「タイ相手やったらそうそう負けへんやろ」
「と、私は思ってますよ」
代表新メンバーの力の程は大体把握出来ているけど、タイ代表ってどんくらい強いのかしら? 前田さんの口ぶりからすると、結構格下なのかしらね。
「他の有力チームも似たような采配をしてくると考えられますね」
「アメリカやイタリア、フランスも?」
「はい。 予選では一軍を出さない可能性が高いですね」
「なるほど……」
情報戦も繰り広げられるって事ね。 そういう分野は完全に前田さん頼みだわ。
「日本チームも層が厚くなってきたというわけですわね」
「はい」
ちなみに今回の開催地であるオーストラリアのチームは、ランキング的日本見ても優勝争いが出来るチームとは言えないみたい。 やはりいつもの面々が強いって事みたい。
「どこのチームも新戦力がいるでしょうし、油断は禁物ですわね」
「既にフランスのジャンヌさんや、クロアチアのサラさんという例があるからねぇ」
そうなのよね。 新しい選手が加わっているのは日本チームだけじゃないのよね。 思わぬ強敵が現れてもおかしくはないってわけか。
◆◇◆◇◆◇
今日も練習を終えた私達。 とりあえずお風呂で汗を流しリビングへ集まる。
「皆さんいますかー?」
「いるけど?」
前田さんに呼ばれたので、リビングに集まったわけだけど……。
「ちょっと昨日の夜に調べてわかった事がありましてですね」
「何や何や?」
「イタリアチームについてです」
「イタリアチーム? アンジェラさん?」
イタリアチームのエースであるアンジェラという選手は、亜美ちゃんや麻美が一目置く世界トップクラスのOHよん。 謎のテクニックで空中で止まっていると錯覚する程の滞空時間を誇るジャンプを見せるわ。
「アンジェラさんもそうなんですが、とりあえずこれを見て下さい」
と、リビングの巨大なモニターに映像を映し出す。 どうやら国際試合の映像ね。 イタリアチームも映っている。 これからイタリアチームが攻撃に移るシーンのようね。
「うわわ」
「げっ……」
「なるほど……」
と、そのシーンを見た私達は様々な反応を示す。 皆、驚きはしたがある程度は覚悟していた情景だ。
「同時高速連携ですわね」
「ついに他国も取り入れてきたねぇ」
「かなりの技術を持つSがいないと中々成立しない連携ですが、イタリア、フランス、アメリカ辺りは既に実戦レベルで導入していきていると思われます」
「どこも優勝候補じゃーん」
「はい。 やってこられる前提で守備の練習をしなければなりませんね」
「それと、新しい高速連携ですわね」
「え? 新しい、ですか?」
奈央の言葉に前田さんが首を傾げる。
「ええ。 既に構想は出来ていますわ」
奈央の奴、そんな事考えてたのね。 にしても、新しい連携って何かしら?
「ふふふのふー。 『同時』があるなら『時間差』もあって然るべきですわよ。 つまり『同時高速連携』ならぬ『時間差高速連携』よ」
「じ、時間差高速連携?!」
またわけわからん事言ってるわね奈央の奴。 ただ話を聞いてみれば単純な話。 今までは攻撃に参加する選手がタイミングを合わせて同時に助走しジャンプしていたのを、それぞれが少しずつテンポをズラして攻撃に移るというもの。 ズラすタイミングが中々に難しいわね。 あまり差があり過ぎると読まれそうだし。
「ようは通常のクイックやセミオープン、オープンみたいなタイミングで動き出して、奈央がいつもみたいなドンピシャトスを上げるって事?」
「ええ。 ブロックのタイミングも惑わしていきますわよ。 同時高速連携と併用して、相手チームの考える事を増やしてオーバーヒートさせてやりますわ」
と、奈央は素敵に微笑むのだった。
奈央が提案する新たな連携。
「希望です。 そんな連携成立するのかな?」
「わからないけど……」




