第1894話 オールラウンダー育成
亜美はさゆりちゃんと優里ちゃんをコーチするようだ。
☆亜美視点☆
今日は中学生の子達にバレーボールを教えながら、私達も練習に精を出している。
「さゆりちゃんと優里ちゃんはタイプが私に似てるから、私が面倒を見てあげよう」
「わーい」
「わいわい」
げ、元気だねぇ。 さて、さゆりちゃんと優里ちゃんをタイプ別に分けると、オールラウンダータイプに分類される。 基本的にOHの役割を担うが、場合によっては他のポジションのサブとして動く必要がある。 特にセカンドセッターや、Lの代わりなんかが出来ると素晴らしい。
「2人には立派なオールラウンダーになってもらうよ」
「おーる?」
「らうんだー?」
おっと、どうやらオールラウンダーの意味がわからないようだ。
「万能選手だよ。 スパイクだけじゃなくて、他のポジションの役割もしっかり出来る選手だね」
「難しそうです!」
「大変そうです!」
な、中々に素直な意見を口にしてくれる子達である。 たしかにオールラウンダーは状況に応じて即座にプレーを変えないといけない判断力や、高い能力が必要な大変な役割だ。
「2人は元々、色々なプレーを満遍なく出来てたプレーヤーだから、今ある基礎をしっかり伸ばしていけば良いオールラウンダーになれるよ。 専門職の人達と同じくらい出来るようになれとは言わないけど、代わりが出来るくらいにはなろうね」
「はい!」
というわけで、2人には基本のおさらいからしてもらうことにするよ。
「まずはサーブレシーブ……レセプションから。 これは割と頻度が高いプレーだからね」
「はい!」
私がサーブエリアからサーブして、1人ずつ受けてもらうよ。 まずはさゆりちゃんから。
「いくよー! てやっ!」
パァンッ!
私はあえてレシーブがしにくい場所を狙ってサーブを打った。 ボールが腰より高いとレシーブしにくいのである。 しかもさゆりちゃんを直接狙ったのではなく、一歩半ぐらい右手側を狙って打ち込んだ。 一瞬でサーブの軌道を読み取り、素早く移動してレセプションしなければならない。
「わわっ!?」
パァンッ!
「残念!」
「うぅ」
さゆりちゃんは何とか反応してステップを踏みながら移動までは出来たが、腰より高いボールに対して上手く対処出来ずに失敗。
「む、難しい」
「ワザと難しくなるように打ったからねぇ」
「す、凄い」
「伊達に日本代表のユニフォームは着てないよ」
「カッコイイです!」
「むふふ。 さ、どんどんいくよ!」
◆◇◆◇◆◇
レセプション、ディグ、セットアップにトス、各種ブロック等、基礎的な事をしっかりと教え込んでいる内に時間は夕方に。 さゆりちゃんや他の子達は、さすがに疲れてヘロヘロになっているようだ。
「皆、お疲れ様だよ!」
「お、お疲れ様でしたー……」
「ぶ、部活の10倍疲れました……」
「だはは! 短い時間できっちり叩き込んだったさかい、そら疲れるやろ」
「代表クラスのコーチにバレーボールを教えてもらうなんて機会、普通の子なら無いですわよー?」
「あ、ありがとうございました!」
「ふふ。 またいつでもいらっしゃいな。 まあ、私達の大会中は控えてもらうけど」
「はい!」
「さ、皆。 お家に電話してね」
「?」
「お家に電話ですか?」
「どうしてなんですか?」
急な話に混乱する子供達。 まあ、これは私達がさっき勝手に決めちゃった事だしねぇ。
「今日は皆に夕飯をご馳走するよ! だから、お母さんに電話してね」
「夕飯!」
「ご馳走!」
「やった!」
目を輝かせる子供達。 すぐさま家に電話をかけ始めた。 うんうん。 まだまだ子供だねぇ。
しばらく待っていると、最後のアリサちゃんも電話を終える。
「皆、大丈夫そ?」
「はい!」
「大丈夫でした!」
特に問題も無さそうだという事で、私達は体育館を片付けて「皆の家」へと帰るのであった。
◆◇◆◇◆◇
「わいわい!」
「きゃっきゃっ!」
「みゃー!」
「なーっ!」
バタバタ……
バタバタ……
疲れていたはずの子供達だが、「皆の家」に帰ってくるや、ペット達と騒がしく遊び始めたよ。 マロン達ペットは、子供達のパワフルさにたじたじである。
「みゃみゃー」
「おー、マロン。 逃げてきたんだねぇ? 大変だね」
「みゃ!」
何とも珍しい事である。 基本的にはどんな人とも遊ぶ猫だけど、さゆりちゃん達からは逃げ回っているよ。 よほど遊ぶのが大変なんだろう。
「皆さん、もうすぐお風呂が溜まりますから入ってね」
「はーい!」
私達もさゆりちゃん達も、練習で汗をかいているので順番にお風呂に入っていくよ。
私はさゆりちゃん、希望ちゃん、アリサちゃん、麻美ちゃんに真由美ちゃんと入浴だ。
◆◇◆◇◆◇
「なはは! 真由美ちゃんは筋が良いー!」
「麻美先生の教え方がお上手なので!」
「なは! なははは!」
常人には理解出来ないとされている麻美ちゃんのブロック指導。 しかし、麻美ちゃんと同じ不思議ちゃんだけはあの難解な指導を理解出来るらしい。 真由美ちゃんはそんな不思議ちゃんの1人なのだ。 他にも西條アルテミスのL、牧田さんという子が麻美ちゃんの弟子として存在している。 彼女もまた不思議ちゃんなのだ。
「例えば! こんな状況の時は何処にブロックに向かうー?」
「うーん。 こっち! こっちが匂います! こっちにちょいさーです!」
「さすが真由美ちゃんだー! 完璧にちょいさーを理解しているー!」
「さゆりちゃん。 真由美ちゃんっていつもこんな感じなの?」
「たまに何を言ってるのかわからない時がありますー」
「あ、そうなんだ」
麻美ちゃんと同じである。 しかしこういう人は結構頭の回転が早かったり、要領が良かったりするんだよねぇ。 まあ、麻美ちゃん基準だけど。
「ちなみにアリサちゃんはいつもこんな感じで静かなの?」
「アリサちゃんは人見知りするタイプなんですー」
「ありゃ。 そかそか。 私達とはあまり話した事無いもんね」
「はい……」
うーん。 マリアちゃんをコーチに付けたんだっけ? マリアちゃんも静かなタイプだから、会話とか弾まなかっだ可能性があるね。
「マリアちゃんとは仲良くなれた?」
「優しくしてくれました。 あと、色々教えてもらいました」
「おお、それは良かったよ」
「皆、中学一年とは思えないレベルだったよぅ。 私が中学一年生の時はヘボヘボだったよぅ」
「希望ちゃんは中学の部活から始めたからね。 でも、夏大会ではもう正リベロになってたじゃん」
「はぅ」
希望ちゃんも今思えば凄い成長速度だったねぇ。 練習熱心だったからね。 夜遅くまで付き合わされたものだよ。
「この時はうぇーいの方が止めやすいー!」
「なるほどー!」
ブロッカー2人の話は全く意味不明だけど、麻美ちゃんが言うには才能あるとの事だ。 多分、真由美ちゃんも天才肌なんだろう。 さゆりちゃん達もだけど、どこまで強くなるだろうね?
麻美の弟子は皆不思議ちゃん。
「奈々美よ。 姉である私ですら何言ってるかわからない時あるわよ?」
「たまに宇宙語で話してるのかな?」




