第1878話 ラスベガスを散策
ラスベガスでショッピングを楽しむ皆だが、あの2人があの波動をキャッチしたようで?
☆夕也視点☆
今日、昼からはショッピングとなっている。 基本的には集団行動であるが、気になる店が人によって変わる為、そういう場合は別行動になる。
で、早速……。
「感じるよぅ……」
「ビンビン来てるわね」
「「ポケねこの波動!」」
希望と紗希ちゃんがどうやら例のアレの波動を感じ取ったらしい。 ボケねこの波動というのは、ボケねこファンが持つボケねこセンサーとかいう意味のわからないものでしか拾えない、謎の電波のようなものだ。
「私達は波動の方へ行くわ! また後でね!」
「はぅはぅ! 亜美ちゃんに! 通訳について来て!」
「えっ?! 私は洋服屋さんにっ! う、うわわー!」
亜美が犠牲になったようだ。 可哀想だなぁ。
ガシッ!
「夕ちゃんも来るんだよぉっ!」
「ぬおっ?!」
連れ去られようとしている亜美が、咄嗟に俺の手を掴み、俺を道連れにしようとしてくる。 こ、こいつ?!
「なはは! 私も行くー!」
何故かボケねこがあまり好きではないらしい麻美ちゃんもついて行くという。 結局麻美ちゃんにも手を掴まれ、抵抗も虚しく連行されてしまうのだった。
◆◇◆◇◆◇
希望と紗希ちゃんに連れられ、ラスベガスの街を右へ左へ。 全く土地勘なんかあるはずの無いこの地で、一瞬の迷いも無くズンズン歩く2人。 波動を頼りに歩いているのだろう。 信じられないが、2人はそれを受信する事で、ボケねこ関連のあらゆるスポットが感知出来るらしい。
「私は希望ちゃんと紗希ちゃんが怖いよ」
「ある意味化け物だよな……」
「人間だよぅ」
「そうよそうよ」
「な、なはは」
歩くこと約10分。
「あったわよん! きゃはっ! きゃはっ!」
「はぅはぅ!」
「本当に迷わず来れちゃったよ……」
「ボケねこの波動とやらを信じざるを得ないー……」
「どうなってんだよ……」
本当に謎だ。 ボケねこが絡むと頭が痛くなる。
「入るわよー」
「おー」
「……はぁ」
「な、なはは」
「仕方ないな……」
テンション爆上がりの2人に連れられ、ボケねこショップinラスベガスへ入店。 店内は、日本のショップと同じく異様な光景が広がっている。
「日本のお店と同じだよ……わざわざラスベガスまで来て見るようなお店とは思えないねぇ」
「だよな」
「バカ面したキャラのグッズが並んでるー」
「喝ーっ! 同じじゃないよぅ! ふんすふんす」
「そうよん。 その場所でしか手に入らないオリジナルデザインのグッズがあるんだから! 見てこれ! ラスベガスバージョン!」
「カ、カジノしたり、ショーをしたりしてるイラスト……」
「ラスベガス限定だよぅ!」
もはや世界にまで広がっているボケねこ人気。 本当に信じがたいが、アメリカでも女性や子供からは人気があるらしく、店内はその辺りの客層で賑わっている。
「ちゃんとプラカードに浮き上がる文字も英語なんだね……」
「そうよ!」
無駄にグローバルなキャラクターなのであった。
◆◇◆◇◆◇
しこたまグッズを買い込み満足した2人を連れ、ラスベガスの街でショッピングを続ける俺達。
「皆、はぐれないようにねぇ。 街中はそうでもないけど、一旦裏路地なんかに入っちゃったら治安が悪いって聞くからね。 特に麻美ちゃんは気を付けてね」
「ほへ? 私は迷子になんかならないよー?」
「私達をちゃんと見張っててねぇ」
「任せろー!」
麻美ちゃん、自分がよく迷子になっているという自覚は無いのだ。 いつも、自分以外の人が勝手に迷子になっていると思い込んでいる。 亜美もそれを踏まえてああ言ったのだろう。
「治安が悪いってどんくらい?」
「さあ? 物盗りや誘拐ぐらいはあるかもね」
「はぅっ?! ガクガク」
「大丈夫よ。 固まって動いてれば平気平気」
「そそ。 変な道に入らないようにすれば問題無いよ。 ありゃ、ここ裏路地だね」
「はぅー!? 早く戻ろうよぅ!」
「そだね」
賑やかな奴らだなぁ。
「皆今どの辺歩いてるかなぁ? 出来れば合流したいね。 紗希ちゃん、柏原君の波動とかは感知出来ないの?」
「出来ないわよ。 あいつ、そんな波動出せるように見える?」
「見えないね」
「なはは!」
一応婚約者の筈だが、紗希ちゃんの柏原君に対する扱いは割と雑だ。 見てると仲は良いんだがなぁ。
「仕方ない。 奈々ちゃんに電話しよ」
「最初からそうすれば良いだろ……」
「まあねぇ。 あ、もしもし奈々ちゃん? 今何処を歩いてる? うんうん。 なるほど。 今からそっちに合流するよ。 はーい、また後でねぇ」
奈々に電話をし、今いる場所を聞いた亜美は、ラスベガスの地図を開いて「ふむふむ」と頷く。
「こっちだね。 奈々ちゃん達、今からカフェで休憩するみたい。 そのカフェに行って合流だよ」
「おー!」
「りょ!」
「イクゾー」
ふむ。 カフェ。 ようやく少しゆっくり出来そうだな。
◆◇◆◇◆◇
亜美について歩き、奈々美達が休憩しているというカフェに到着した。 結構距離あったな。
「あ、いたいた」
「やっと来たわね」
「あれ? 結構別行動しちゃってる?」
「そうね。 東京組と渚は別行動中よ」
「なるほど」
「紗希達はボケねこショップ見つけられたんですの?」
「私達のボケねこセンサーにかかれば楽勝よ」
「本当にそんなものあるのかしら……」
と、奈々美や奈央ちゃんは信じていないが、実際に迷わずに店を見つけるのを目の当たりにした俺達は、信じてしまった。
「まあ良いわ。 とりあえず合流出来たし。 東京組達もどっかで合流しましょう」
「だね。 にしても、宏ちゃんと遥ちゃんは静かだね」
「あー、さっきから食べ歩きしてるもの。 お腹が満たされてるから静かなのよ」
「な、なるほど」
食べ歩きか。 2人らしいな。 今も無言でホットドッグに齧り付いている。 俺達も席に着いて飲み物を注文。 亜美はやはりパフェを注文していた。 テーブルに運ばれて来たアメリカンサイズの特盛パフェを見て、目を輝かせていた。
◆◇◆◇◆◇
「夕方からはショーを観るって話だっけ?」
「ですわよ。 ラスベガスは娯楽の街だもの、色々やってるわよ」
「ふぅん。 ストリップとかも?」
「紗希の頭はいちいちピンク色にならないと気が済まないのかしら?」
「きゃはは」
「まあ、あるにはあるんじゃないですの? 当然行きませんわよ」
「そかー」
俺、ちょっと興味あるんだが?
「夕ちゃん。 ちょっと残念そうにするのやめてね? そんなに興味あるなら私がしてあげるよ」
「きゃは! 私もー」
「紗希は酒飲んだらいつもやってるじゃないか……毎回止めるの大変なんだぞ、あれ」
「きゃはー」
人が増えて賑やかになるカフェ。 この後は東京組とも合流し、夕方のショーまでの時間を潰す事に。
「ショーよりカジノだぜ。 昨日の借りを返さねば」「程々にね……」
俺もカジノの方が楽しみだな。 早く夜にならんかね。
夕方のショーにカジノも楽しみだ。
「奈央ですわ。 カジノは本当に楽しみですわね」
「奈央ちゃん、結構ギャンブル好きだよね……」




