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第1876話 自然の力

こちらは皆と逸れた麻美と宮下。

 ☆麻美視点☆


 私達は今、アンテロープキャニオンという場所に観光に来ているー。


「なはは! 皆いないー」

「うわはは!」

「何故皆して迷子になるのかー」

「謎よねー」


 私や美智香姉が散策の為にうろうろしてると、いつも皆が勝手にいなくなるのだ。 まったく世話が焼けるー。


「仕方ないー。 私達が探してあげるしかないー」

「そうね」

「ばーば」


 可憐ちゃんも「仕方ない」と言っているー!


「さて、皆はどっちかしらねー?」

「むーん。 多分あっちー」

「ではそっちへ!」


 と、とりあえず歩き出す私と美智香姉であった。



 ◆◇◆◇◆◇



「ここはどこだー?」

「ダンジョンみたいよねー」

「たしかにー」


 入り組んだ地形に狭い道。 正にゲームのダンジョンだー。 まあ、日の光が差してきてるから明るいけど。


「そろそろ皆と合流したいわね」

「うむー。 皆は一体どこで遭難しているのかー」

「本当よね」


 とりあえず歩き回ってみたものの、皆とは中々合流出来ず。 皆には困ったものであるー。


「スマホも充電切れてるしねー」

「うむー」


 モバイルバッテリーぐらい持って来ておけば良かったー。

 と、そんな時であるー。


「……ーん……したさーん!」

「むむ、麻美っち!」

「聞こえたー。 亜美姉の声ー。 私達に助けを求めているー!」

「あっちだわ」

「皆ー! 今イクゾー!」



 ◆◇◆◇◆◇



「あんた達はすぐ居なくなるんだから!」

「本当心配したよ。 可憐ちゃん大丈夫ー?」

「あーい」


 皆を見つけて合流出来たは良いけど、何故か私達が怒られてしまったー。 何故だー!?


「麻美、自分らが迷子になってたとは欠片も思うてへんやろ?」

「迷子になってたのは皆の方ではー?」

「ワハハ! アサミおもろいナ!」

「ほんま、どないに頭しとんのや藍沢妹と美智香は」

「やっぱりリードに繋いでおいた方が良いわね」

「失礼なー」

「まあまあ、とりあえず無事合流出来たんだし、アンテロープキャニオンの観光再開しようよ」

「そうだぞ。 時間が勿体無いからな」

「ですわよー」


 という事で、私はお姉ちゃんに手を握られながらの観光となりました。 どうせなら夕也兄ぃの方が良いのだがー。


「にしても、すんごい所よねー」


 美智香姉が周りをキョロキョロ見ながら呟く。 亜美姉曰く、川の侵食や鉄砲水、複雑な水の流れによって起きる乱流等が、柔らかい砂岩を削って作られた地形なんだそうだ。


「水ってすんごいわね」

「そうだよ。 水の力は凄いんだよ」


 どの場所を見ても、同じ形に抉れた箇所は無い。 だけど、どれも芸術的な曲線美を醸し出すアートに仕上がっている。


「グランドキャニオンと言いここと言い、気の遠くなるような年月を経て作られたんでしょうね」

「きゃはは。 大自然は誰も敵わない凄腕デザイナーかもね、舞ちゃん」

「だねー。 私達じゃこんなデザイン、生み出せないかも」


 それぞれの感想を胸な抱きながら、ゆっくりとアンテロープキャニオンを観光していくのであった。



 ◆◇◆◇◆◇



 皆が迷子になっていた分、時間をロスしてしまったらしいので、急いで次の観光スポットであるホースシューベンドへと向かうー。

 キャミィさん曰く「馬の蹄」みたいな意味らしい。 一体どのような観光スポットなのかー?


「ホースシューベンドからは直接ラスベガスのホテルへ戻るからね」

「はーい」


 時間は15時。 ラスベガスへは20時前後に帰れる予定だそうだ。 


「ホースシューベンドってのはつまるところ何なん?」

「ウマのヒヅメやいうたやロ」

「そやから、どないなスポットなんか聞いとるんや」

「いけばわかるデ」

「うんうん。 私も写真でしか見た事無いけど、正に馬の蹄って感じだよ」

「ほんまかいな」


 月島先輩は「何が『馬の蹄』なんか気になるで」と首を捻るのだった。


 しばらくバスは走り続けていたが、どうやら目的地に到着したらしく、駐車して私達を降ろした。


「馬の蹄やん」

「本当だー」

「そやからいうたやロ」


 目の前に広がるのは、川が大きく蛇行して湾曲しながら流れている、何とも不思議な地形であった。 その川が流れている場所がまさしく「馬の蹄」の形に見えるのであるー。


「これもまた神秘だねぇ」

「いや、さすがに名前が後付けでしょ。 たまたま蹄の形になってるのを人が名付けて観光地にしたのよ」

「奈々ちゃん、ロマンが無いねぇ」

「うっ」


 亜美姉に言われてちょっと吃るお姉ちゃんであった。 しかし、どうあれ凄い事に変わりは無いー。 グランドキャニオンもアンテロープキャニオンも、そしてこのホースシューベンドも、どれもこれも自然が作り出した天然の一大芸術に違いないのだから。


「写真撮るで!」

「おー!」


 皆で集合写真、それと「ミルフィーユ」4人で撮影も済ませてホースシューベンドを後にするのであったー。



 ◆◇◆◇◆◇



 バスに乗り込んでラスベガスへ戻るー。 


「カジノが俺を呼んでるな」

「宏ちゃん。 あまりのめり込んじゃダメだよ?」

「わかってるわかってる」

「明日もカジノには行くんですから、今日すっからかんにならないようにするんですわよー」

「わかってるわかってる」


 宏太兄ぃはラスベガスに帰ったらカジノに突撃するつもりみたいだー。 一応通訳としてキャミィさんが同行してくれるみたいー。 他にも月島先輩や神崎先輩も参戦するみたいですー。 私? 私は明日頑張るー。 今日の夜は亜美姉のお仕事のお手伝いするからだー。


「可憐は疲れたのか寝ちゃってるわね」

「ずっと母親におぶられてても疲れるんかいな?」

「疲れるんじゃない?」


 可憐ちゃんには、今日の景色はどう映ったのだろう? 物心ついてないし、きっと大きくなっても何も覚えてないんだろうなー、とか思うとちょっと可哀想であるー。


「西條先輩ー! 可憐ちゃんが大きくなったらまた来よー!」

「麻美?」

「だってー、多分可憐ちゃんは今日の事覚えてられないー! 可哀想だー!」


 私がそう訴えると西條先輩は「それもそうね。 まだ何もわからない赤ん坊だし」と納得して。


「わかったわ。 可憐ちゃんが景色を美しいと感じられる年齢になったらまた来ましょ」

「そうだよ。 ローワーアンテロープだって見れてないし、グランドキャニオンのトレイルだってしてないし!」


 亜美姉もそれに賛同し、いつかまた、可憐ちゃんが大きくなったら来ようと皆で約束するのだった。 亜美姉曰く「その頃には私達にも子供がいるかもだけど」と付け加えた。



 ◆◇◆◇◆◇



 ラスベガスへ戻って来た私達ー。 カジノへ出かけて戻ってきた宏太兄ぃは「ありゃイカサマだ!」と吠え散らかしているー。 スロットでの勝ち分をブラックジャックで全部持っていかれたらしいー。 明日リベンジしてやると息巻いているー。 私も明日は頑張って儲けるぞー! あ、その前に亜美姉のお手伝い行ってきますー!

グランドキャニオンやアンテロープキャニオンを観光し終えた皆は、ラスベガスへ戻って来た。


「希望です。 凄い景色ばかりだったよぅ」

「うん。 一生の思い出になるよ」

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