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第1874話 グランドキャニオンの夜

ホテルのVIPフロアロビーで寛ぐ夕也に、例の魔の手が?

 ☆夕也視点☆


 グランドキャニオンの夜。 VIPフロアには俺達のグループ以外は宿泊客はおらず、実に静かで……。


「きゃははは。 今井くぅん」

「静かじゃない……」

「おりょ? 亜美ちゃんは?」

「部屋で小説書いてる」

「へ? アメリカに旅行に来てまでお仕事?」

「ワールドカップまでに仕上げるんだと」

「へー。 凄いやる気ね」

「まったくだ。 そういう紗希ちゃんは何しにロビーに来たんだ?」

「んー? 今から今井君を襲いに行こうかなっと」

「いつものか……てか、部屋に柏原君いるだろ……」

「あいつ、疲れて寝ちゃってるわ」


 紗希ちゃんは「つまらない奴よねー」と笑いながら言う。 それでも一緒に居るのは、よっぽど愛してるからなのだろう。


「今井君ー。 私のグランドキャニオンも探検してみなーい?」

「何言ってんだか……」

「きゃは。 今井君も私の扱いに慣れてきた?」

「まあさすがにな。 それにそれが冗談の時は、何か俺に相談がある時だ」

「ほほー。 やりますな今井君。 ま、今日は別に相談があるわけでもないけどさ。 本当は亜美ちゃんに用事があったんだけど、お仕事ならしゃーないわ」

「そうか。 話なら俺が聞いとくが」

「あ、だいじょぶだいじょぶ」

「了解」


 紗希ちゃんはその後「じゃ、おやすみー」と、あっさりと部屋へ戻って行った。 紗希ちゃんの亜美への用事とは何だったんだろうな?


「さて。 俺も部屋に戻るか」



 ◆◇◆◇◆◇



 部屋に戻ってくると、亜美はノートパソコンの前に座りながら「てやややや」とか言いながらカタカタ打鍵している。 よくまあ、あんなスラスラと文章が浮かんでくるな。 まあ、邪魔するのも悪いし寝てしまうか。 という事で亜美に一声かけてからベッドに入る。


「てやややー!」


 カタカタ……


 打鍵音は仕方ないにしても、あの掛け声は何とかならないんだろうか?



 ◆◇◆◇◆◇



 翌朝早朝。


「夕ちゃん! 朝だよ! 朝のグランドキャニオン見に行くよ!」

「お、おう……」


 いつの間にやら寝ていたらしい。 気付いたらもう朝になっていた。 亜美はあれからちゃんと寝たんだろうか?


「おはよう夕ちゃん! グランドキャニオンは今日も良い天気だよ!」

「やたらテンション高いな……」

「まあね!」


 徹夜明けのハイじゃないだろうな? まあ、見た感じは大丈夫そうだが。


「それより早く用意して外に出るよ! 見逃しちゃうよ! 朝のグランドキャニオン!」

「わ、わかったから服を脱がすな」

「早くぅ!」


 観光でテンションの上がった亜美は、人の話を聞いてはくれないようだ。

 亜美に急かされて猛スピードで服を着てロビーへ向かう。


「皆、おはようだよ!」

「おはよう、亜美」

「なははー、おはよー亜美姉。 あるぇ? 夕也兄ぃ?」

「……眠い」

「だはは! 情けないやっちゃな。 さては夜中亜美ちゃんとハッスルでもしたか?」

「してないよ? 夕ちゃんは朝弱い方なんだよ」

「まあ、もっと朝が弱いのもいますわよ」

「おふぁよー……ふにゅー」

「あ、あはは。 紗希ちゃんはいつもこんな感じ」


 京都にいる間は同居していた紗希ちゃんと青砥さん。 どうやら紗希ちゃんが朝弱いことをよく知っているらしいな。


「みょーん……」

「どうして顔を洗って来なかったんだい……」

「急いで出てきたからね……」

「ふぁよー」


 もはや誰かもわからないぐらいにキャラ崩壊している紗希ちゃん。 時間も惜しいという事で、紗希ちゃんは寝ぼけたままにホテルの外へ。

 道中で奈央ちゃんが紗希ちゃんの頭を引っ叩いたりして無理矢理起こしていた。 そんなやり方あるのか……。


 外へ出て、昨日歩いた自然道までやって来る。 さすがにまだ周囲は薄暗いが、すぐに日が昇ってくるだろう。 


「お姉ちゃん、亜美姉、渚ー」

「何よ?」

「せっかくだから『ミルフィーユ』でグランドキャニオンバックに写真撮ってSNSにアップしよー」

「おお、なるほど」

「今グランドキャニオンに来とるーいうてな。 ええやん」


 と、4人で盛り上がっている。 「ミルフィーユ」ってのは亜美達が結成した、ギターカルテットの名前だ。 SNS活動をしているらしい。


「はい! ミルフィーユ!」

「撮影の時の掛け声それでええんか……」


 代表して麻美ちゃんがSNSにアップしているようだ。 そうこうしている間に朝陽が昇って来たようだ。


「おおー!」

「これが朝のグランドキャニオン! 写真! パシャパシャ!」


 亜美はやはりテンションが高い。 デジカメで写真を撮りまくっている。 他の皆も程度の差はあれどテンションが上がっているようだ。 亜美と一緒になって写真撮影している姿が見られる。

 朝陽の中のグランドキャニオンは、昨日の夕陽の中のグランドキャニオンとはまた違い、優しい雰囲気を見せてくれている。


「これはこれで絶景ですわね」

「だねぇ」

「こんな綺麗な景色、一生に何回も見られるもんじゃないわよ」


 綺麗な景色は日の出から数分程ではあったが、貴重な物を見させてもらった。



 ◆◇◆◇◆◇



 さて、ホテルに戻ってきたが、まだレストランは開店していないらしい。 開店するまでは朝飯にもありつけないわけだ。 部屋に戻り、少し仮眠でも摂ろうとしたのだが。


「なはは!」

「げ、元気だな、麻美ちゃん」

「そだねぇ」

「元気だけが取り柄ゆえー」

「そんな、元気だけって事はないよ」

「亜美姉は優しいー」

「で、朝飯まで暇だから遊びに来たと?」

「うむん。 亜美姉、旅行中も執筆するって言ってたー。 進んでるかなーって思ってー」

「あー、昨夜は何時までやってたんだ?」

「1時ぐらいまでかな?」


 あの後もかなり長い時間やってだんだな。


「ワールドカップ始まったりすると、そのままVリーグまで時間無いし、何とかそれまでに終わらせてしまわないと」

「なはは。 アシスタントの麻美も手伝うー」

「ありがとう。 じゃあ、今晩お願いしちゃおうかな」

「任せろー!」


 つまり、今晩は昨日より更に騒がしくなるって事か。 まあ、仕方ないか。



 ◆◇◆◇◆◇



 レストランの開店時間になり、すぐにレストランに集合した俺達。 宏太と遥ちゃんは「腹減った」モードに突入しており、うるさい事この上ない。 朝飯であっても出てくる料理のボリュームが減る事はないらしく、皿の上に凄い量の料理が盛られている。 亜美と希望なんかは、2人で一品を頼んで食べるようにしたらしい。 


「味は美味しいけど、量がね」

「はぅ」

「なはは。 お姉ちゃん半分こするぞー」

「そうね。 私達もそれでいきましょう」


 と、他の皆もその作戦でいくらしい。 俺はまあ食えるから構わないんだがな。 ちなみに宏太と遥ちゃんは、あれでも足りないと言う。 どんな腹してんだ。


 この朝食の後は、売店で昼用の弁当を買い、バスに乗り込んでグランドキャニオンの観光2日目が始まるぞ。


グランドキャニオン観光2日目始まる。


「遥だ。 まだキャニオン見るのか?」

「まだ見るよ」

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