第1873話 1日目の観光終了
グランドキャニオンを観光しながら歩く亜美達。
☆亜美視点☆
私達は現在、アメリカはアリゾナ州にある世界遺産、グランドキャニオンに来ています! 私も幾分テンションが上がっています!
目の前に広がるのは、日本ではまず見る事の出来ない大峡谷。 コロラド川の侵食や、雨風による風化により、気の遠くなるような年月をかけて作り出された自然の彫刻とも呼べる大地が、目の前に広大に広がっている。 赤茶けた岩壁は遥か古代の地層が露出している、ロマン溢れる物となっている。
「こんな場所だけど、生き物も居るらしいですわよ」
「あっちの方に樹木が見えてるからな。 生き物いるだろうな」
宏ちゃんは「さすがにここからは見えねーな」と呟きながら、遠くを見つめている。
「宏ちゃん、これがグランドキャニオンだよ。 凄いでしょ?」
「だなぁ。 亜美ちゃんの説明を聞いただけでも何かすげぇんだろうなぁってのはわかったが、想像を遥かに超えてる」
「自然の力って凄いわね」
「はぅ。 紗希ちゃん! あそこにボケねこのぬい置いて写真撮ろう!」
「りょ!」
グランドキャニオンまで来て何て物を撮影しようとしているのか……。 まあ、止めないけど。
「キャミィはここ来た事あるん?」
「あるデ。 グランドキャニオンはアメリカじんからも、カンコウチとしてニンキのスポットやからナ」
「ミアは無いんだっけ?」
「はイ。 田舎者だったのデ」
「今回は目一杯楽しもうねぇ」
「はイ!」
約1時間程、ゆっくりと自然道を歩いた私達。 残りは明日、バスに乗って観光しようという事で、サウスリムのホテルへと引き返す。 日が落ちできて夕陽となる頃になると、グランドキャニオンは先程までとはまた違った姿を私達に見せてくれる。
「夕陽が当たる面が赤々と輝く中、影の部分はより一層暗くなって凄い景色だねぇ」
「朝は朝でまた違う景色が見られるみたいですわ。 明日の朝が楽しみね」
「おー……早速ホテルに戻って絵を描きまス」
「ミアがやる気になっとるで」
「なははー。 私も描くー」
「麻美は芸術のセンス無いんだからやめなさいって」
「ぶーっ!」
◆◇◆◇◆◇
サウスリムのホテルへ戻って来た私達。 部屋割りはラスベガスのホテルと全く同じ。 つまり私は夕ちゃんと同室である。
「みゃー」
「なー」
「おー、よしよし。 ずっとキャリーバッグの中だったからねぇ。 出してあげるけど、部屋の中めちゃくちゃにしないようにね」
「みゃっ」
「なー」
マロンとメロンは観光中はずっとバッグの中に居たよ。 一応、ちょっとだけ顔を出して景色を見えるようにはしてあげたけどねぇ。
「マロン達は今日のあの景色を見てどう感じたんだろうな」
「というか、ここが何処かもわかってないよ」
「みゃっみゃー」
「なーなー」
2匹は早速戯れ合いながら遊び始める。 こうやって見ると、やっぱり普通の猫だ。
「明日はバスに乗るって言ってたか?」
「うん。 朝も言ったように、グランドキャニオンは全長約450kmだからね。 更にアンテロープがキャニオンまで行くとなると、バス移動は絶対なんだよ」
「なるほどな。 んで、そのアンテロープキャニオンってのはグランドキャニオンとは違うのか?」
「うん。 似たようなものではあるけれど違うよ」
「グランドキャニオンの中にあるのか?」
「それも違うね」
「ふむ」
夕ちゃんも中々興味がある様子だね。 まあ、いきなりあんな絶景を見せられれば、明日の観光も楽しみになってくるもんだよね。
「にしても凄い所だなぁ」
「世界には色々な名所があるもんなんだよ。 オーストラリアのエアーズロックとかねぇ」
「あー。 でっかい一枚岩のやつな」
「そうそう」
いつかは行ってみたいものである。 まあ、奈央ちゃんに言えば、ほいほいと何処へでも連れて行ってくれるだろうけどねぇ。
「ふぅ。 さすがに疲れたな」
「そだねぇ。 朝からずっと移動だからね」
まあ、明日もそうなる予定なんだけどね。
「さて。 夕飯までもう少しあるし、ちょっと新婚旅行っぽい事もしないと」
「新婚旅行っぽい事? 何だそりゃ?」
「一緒にお風呂でも入ろうよ。 背中流すよ」
「なるほどなぁ」
ホテルの部屋には室内バスが付いていて、いつでも入浴可能なのだ。
「むふふ。 たまには夫婦で仲良く背中の流し合いをするんだよ」
「まあたまに良いか」
「やった」
久しぶりに夕ちゃんとイチャイチャだよ。
◆◇◆◇◆◇
お風呂から出て夕飯の時間。 やはりというか、こちらのホテルにもレストランが付属している。
「亜美、もうお風呂入ったの?」
隣に座る奈々ちゃんがいち早く気付いて聞いてきたよ。
「うん。 部屋にお風呂あるでしょ?」
「あるけど、私はまだ入ってないわよ」
「むふふ。 ならば宏ちゃんと一緒に入ると良いよ」
「あんた、夕也と入ったわけ?」
「うん。 そうだよ。 新婚旅行も兼ねてるからね。 イチャイチャもするよ」
「亜美姉ずるいー」
「はぅはぅ」
「ずるいと言われても困るよ」
これは夫婦としての特権みたいなものである。
「なるほど。 そういうのもアリですわね。 ね、春人君?」
「え? はあ」
「きゃはは。 北上君、あまりノリ気じゃなさそー」
「むきーっ!」
「?」
春くんは多分、話を聞いてなかったんだろう。 さっきからずっと読書してるし。 何というかマイペースである。
さて、夕飯ももちろん大ボリュームで運ばれてくる。 全てアメリカンサイズなのだ。 宏ちゃんと遥ちゃんはこれでも足りないみたいな事を言っていて、私は耳を疑うよ。
「はむはむ。 お肉うまー」
「西條グループのホテルだから、多分最高級なんでしょ?」
「もちろん」
「あわわ……」
青砥さんの彼氏さんである井口さんは、まだまだ奈央ちゃんのめちゃくちゃさに慣れていないようだ。 その内慣れるんだよ。
「明日の予定を詳しく聞かせてんか」
「そうですわね。 では私から説明しますわ」
弥生ちゃんの一言で、明日の予定説明会が始まった。
「まず朝は5時起きね」
「早いですね」
「さっき、夕陽のグランドキャニオンは見たでしょ? じゃあ朝陽のグランドキャニオンも見ないとですわ」
「たしかにそうですね」
マリアちゃんも納得したのか、頷いて食事を続ける。
「朝食後は売店でお昼用の食べ物を調達し、西條グループのツアーバスに乗り込みます。 各ビューポイントを巡りつつ、アンテロープキャニオンへ向かいます」
「何やそのナンチャラロープて」
「同じような峡谷ですわ。 まあ、成り立ちや形状が多少違いますが、グランドキャニオンみたいなものね。 観光スポットとしても人気よ」
「ほう。 なるほどやな」
「アンテロープキャニオンを見て回った後はそのままラスベガスへ戻ります。 着くのは多分夜遅くになりますわ。 帰った後は一応自由行動にするけど、まあ寝た方が良いんじゃないかしら?」
「カジノいくぞー」
「ま、まあ、好きになさって」
と、明日も移動しまくりの予定である。 明後日はラスベガスでゆっくり出来るよ。
明日はバスで移動しながら観光。
「紗希よん。 グランドキャニオンって凄いわね。 デザインに活かせるかも」
「仕事に繋げられると良いねぇ」




