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第1853話 危険な映画観賞

奈々美と映画を観に行くことになった亜美。 観る映画は格闘アクション……。

 ☆亜美視点☆


 7月9日の日曜日だよ。 今日は奈々ちゃんと2人で久しぶりにお出かけ。 麻美ちゃんが夕ちゃんを連れてゲームのイベントに行っちゃったから、私も奈々ちゃんとデートというわけだよ。 車を使ってちょっと足を延ばすよぉ。


「正直言って車とか無くても良いと思ってたけど、あるとあるでめちゃくちゃ便利ね」

「だねぇ。 ちょっと遠出って時に良いね」


 私が車を運転出来るようになった事で、本当にちょっとした外出の時に役に立つ。 


「ところで、本当に映画で良いの? しかも格闘モノのアクション映画」

「うん? うん、良いよ? 奈々ちゃん観たいんだよね? ロードトゥドラゴンって映画」

「そうだけど」


 奈々ちゃんは格闘アクションとかが大好きなんだよね。 ただ、私があまり好きじゃないから、一緒に映画館で観に行った事は無かったよ。


「亜美が良いなら私は良いけど。 あんた、ああいうのは観ないでしょ?」

「観ないけど、小説書きとしては新しい知識を得る為に意外と役に立つかもしれないよ」

「格闘モノの作品とか書くわけ?」

「将来的に何を書くかはわからないよ」

「あ、そうなの……」


 ちなみに私は格闘マンガも読まないよ。 ただ興味はあるからね。 知識を満たすよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 映画館に到着した私は、立体駐車場に車を停めて館内へ入る。 色々な映画をやっているようだけど、今日の目的はロードトゥドラゴンだよ。 チケット2枚を買って時間までロビーで待機だよ。


「格闘映画ってどう面白いの?」

「男と男の一対一の戦い。 鍛え抜かれた技と己の肉体のみを武器に生き抜いていくロマン溢れるジャンルよ。 見終わった後はこう、なんて言うかストレスが発散されてスッキリした気分になるのよ」

「そ、そうなんだね」


 いまいちよくわかんないけど……。 うーん、観ればわかるのかな?


「あ、劇場が開いたみたいだよ。 行こ」

「腕が鳴ってきたわね」

「どうして奈々ちゃんの腕が鳴るのかな?」


 謎である。 しかし、映画が始まると思い知る事になるのである。 奈々ちゃんと格闘映画を観るという事がどういう事なのかを……。


「(うわわ?! うわわ?! 映画観ながらパンチしてくるよ?! 何とか避けてはいるけど、全く映画に集中出来ないよ! うわわっ?! 凄いキレの良いジャブだよ!」


 シュッ! シュッ!


「(これはスリル満点だよ! 命が幾つあっても足りないよ! うわわっ?! 凄いワンツーだよ!)」


 どうやら奈々ちゃんは格闘映画を観てテンションが上がると、勝手に手が動いちゃうみたいだ。 一緒に格闘映画を観に来てはいけない事がわかったよ。 知識が満たされたよ。



 ◆◇◆◇◆◇



「いやいや、良い映画だったわね! 特にドラゴンの最後のローリングソバットが良かったわ」

「そ、それは良かったね」


 私は最後の裏拳を避けるのに全神経を集中したよ。 あんなの当たってたら、可愛いお顔がぐちゃぐちゃになっていたよ。


「いやー、スッキリしたわね。 何でこうスカッとするのかしら?」

「……」


 そりゃあスカッともするだろうねぇ。 あんだけ好き放題暴れれば。 私は生きた心地がしなかったよ。


「さ、次はどうする?」

「う、うーん。 やっぱりショッピング? 夏用の服とか見に行く?」

「それはアリね。 んじゃ行きましょ」

「うん」


 うーん。 何も覚えてないというのも中々性質が悪いねぇ。 私は二度と、奈々ちゃんと格闘映画を観ないよ。 危険極まりないよ。


「ささ、車乗るよ。 近くにSAIJYOのブティックがあるよ」

「良いわね。 またあのカード出すの?」

「西條グループプラチナカードだよ。 これを使えば私でも奈央ちゃんと同レベルの権限が行使できるんだよ。 まあ、ブティックでは使わないけどね」

「あら、そうなの?」

「うん。 さあ、行くよ」


 ブティックなら奈々ちゃんに襲われる心配も無いからね。 早めに映画館から退散するよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 ブロロロ……


「にしても、いつもに比べると映画観終わった後の爽快感が少ないわね。 何でかしら?」

「いつもは誰と観てるの?」

「宏太かたまーに夕也か麻美ね。 麻美はいつも席離れて座るのよね」

「へ、へぇ」


 麻美ちゃんは奈々ちゃんの悪癖を知ってるんだね。 まあ、姉妹だし当然と言えば当然か……。 私は今までああいうジャンルを一緒に観ないから気付かなかっただけか。 宏ちゃんと夕ちゃんは多分避けられずにやられてるんだね。 私は全部避けたから、その分奈々ちゃんの爽快感を損なってしまったんだね。


「よし。 ブティックに着いたよ」

「夏に向けて可愛い服買うわよ!」

「おー!」


 車を停めて店内に突撃。 さて、SAIJYOブランドは洋服から装身具、宝飾など色々な物を取り扱っているブランドである。 お値段もリーズナブルな物から高級品まで幅広いよ。 グレードによって売り場が違って、高級品は3階等の少し離れた場所に売っている。 私達1階のリーズナブルにエリアで買い物するよ。


「今年の夏は白が流行するらしいわよ」

「白か。 奈々ちゃんはあまり白着ないよね?」

「そうね。 でも流行るなら吝かでは無いわ」

「さすが我らのオシャレ番長」

「それは紗希の方でしょ」

「いやいや。 奈々美ちゃんもだよ」


 奈々ちゃんと紗希ちゃんは私達の中でもオシャレさんだ。 紗希ちゃんなんて色々な服を持ってるよ。 あんな胸してるのに、何処からか可愛らしい服を見つけてくるんだよね。


「この白いスカートなんて亜美に似合うわよ」

「うーん。 ちょっと短くない?」

「膝上ならセーフじゃない?」

「いやいや。 この歳であまり生足晒したくないよ」

「まだ若いっての……」


 結局私はロングでオフショルのワンピースを選択。 やっぱり白ワンピだよ。


「亜美はそういうの好きね。 私はこのTシャツとハーフパンツにしましょ」

「奈々ちゃんだってそういうのばかりじゃん。 たまにはスカートとか穿いてみたら?」

「それでも良いけどね」


 と、2人でやんや言いながらお互いのファッションチェックを始める。 長年お互いのファッションを見てきた私達だからこそ、お互いに似合う服装を理解しているつもりである。 あれやこれやとお互いに服を渡しては試着する。


「奈々ちゃんは足も綺麗だしもっと見せていくべきだよ」

「別にスカートじゃなくて良いでしょ」

「むぅ」

「ぬぅ」



 ◆◇◆◇◆◇



「ありがとうございました!」


 結局お互いの意見は全く聞かずに、最初に選んだワンピースとTシャツ、ハーフパンツを買って出てくるのだった。


「譲らないねぇ」

「まあね。 結局自分の気に入った物が一番なのよ」

「それはそう」

「夏が楽しみね。 次は水着でも見に行く?」

「おお、いいねぇ。 とりあえず車に乗ろう。 近くに西條グループの良い店があるよ」

「本当に何処にでもあるわね」


 こうして私と奈々ちゃんのデートは一日中続くのだった。 夕ちゃんと麻美ちゃんは楽しんでるかな?

亜美は何とか無傷で映画を観終えたようだ。


「紗希よん。 亜美ちゃん全部避けたのすごーっ!」

「映画の後半内容は全然頭に残ってないよ」

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