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第1847話 三山夫妻も式

三山夫妻の結婚式当日。

 ☆亜美視点☆


 今日は三山夫妻の結婚式だよ。 式場は私達夫婦や西條夫妻も式を挙げた、西條ブライダルの式場だ。 私と夕ちゃんが式した部屋よりも広い部屋をチョイスしたらしい。 というのも、東京クリムフェニックスのチームメンバーも招待したかららしい。 そういえば宮下さんのご家族には会った事無いねぇ。


「宮下さんと三山君はもう式場へ行ったのかな?」

「えぇ。 ちょっと前に出ていきましたわよ」

「美智香のドレス姿か。 似合うんかいな?」

「きゃはは。 美智香っちはそれなりに身長あるし、スタイルはスレンダーだし似合うと思うわよん」

「そうかいなぁ?」

「ま、見てみりゃわかるっしょ」

「楽しみだねぇ」

「はぅはぅ」


 という事で、私達も式に参列する為に着替えをして、皆で式場へと移動を開始するのであった。



 ◆◇◆◇◆◇



 西條ブライダルの式場に到着。 


「しかし、月に2回も同じ場所で式に参列する事になるとはな」

「ですね」


 宏ちゃんと春くんもしっかりと正装しているけど、宏ちゃんは相変わらず似合わないのである。 もちろん、夕也ちゃんもだ。


「三山家宮下家結婚式場……ここですわねー」

「もう結構な人が来てるー」

「多分、クリムフェニックスの人達だね」

「ですね。 私のデータにも名前がある方達ばかりです」

「私達はどうする? 一旦宮下さんに会いに行く?」

「さすがにこの人数で行くのは無理でしょ。 行くのは東京組だけじゃない?」

「そだねぇ」

「私達は先に式場に行ってるよぅ」

「俺と宏太は三山を冷やかしに行ってくるぜ」

「だな」


 というわけで、受付を済ませた私達はここで一旦解散。 私達千葉組女子と春くんは先に式場となる部屋へ。 東京組は宮下さんの様子を見に行き、夕ちゃんと宏ちゃんは三山君を冷やかしに行ったよ。


「私達はこの辺で座ってましょ」

「うん」


 固まって空いている場所を陣取り着席。 招待客が多いだけあって、私と夕ちゃんが式を挙げた部屋よりもかなり広いようだ。 通路を挟んで反対側の席には、東京クリムフェニックスのチームメンバー達が席に着いている。


「こんにちはですわ」

「こんにちは。 そちらは千葉西條アルテミスさんですかね?」

「えぇ。 今年から私達もチームに合流しましたわ。 シーズンが始まったらお手柔らかにお願いしますわね」

「ふふ、こちらこそ」

「ふふふふ……」

「ふふふふ……」


 何か言葉のやりとりは穏やかなのに、雰囲気が怪しいねぇ。


「まあまあ落ち着きなさいよ。 ここは神聖な結婚式場よん? 勝負はコートの中だけにしましょ」

「そうだよ。 今日は三山夫妻の式だし、大人しくね」

「わかってますわよ」

「シーズン、楽しみにしてるわ」

「ふふふふ……」

「ふふふふ……」


 大丈夫かなぁ?



 ◆◇◆◇◆◇



 式が始まり、宮下さんがヴァージンロードを歩いて新郎さんの隣に立つ。 紗希ちゃんが言う通り、身長もそれなりにありスレンダーな体型な為、結構ドレスが似合っている。 うーん、綺麗だねぇ。


 式は滞り無く進み、誓いの言葉や指輪交換も無事に済んだ。 式の間、可憐ちゃんは静かに式の光景を見つめていた。 まるで、赤子の身ながら、この雰囲気が特別な物なのだとわかっているかのように。



 ◆◇◆◇◆◇



 披露宴会場へ移動して来た私達は、いくつかのグループに別れて席に座る。 新郎新婦席では、三山君と、お色直しを終えて可憐ちゃんを腕に抱いて座る宮下さんがいる。


「可憐ちゃん、やたら根性座ってんな」

「あはは。 だねぇ」

「なはは。 新婦よりも目立ってるしー」


 可憐ちゃんは、参列客達の注目を浴びながらも、いつも通り「まー!」と、楽しそうにしている。 式の間はあんなに大人しかったのに、今は騒いでも大丈夫な時間だと理解してるかのようだ。 まさか、天才児なのでは?


「はぅ。 将来亜美ちゃんみたいになるんじゃ?」

「私はあんな赤ん坊だったなんて話は聞いたことないけどねぇ」

「亜美ちゃんの事だから、あれぐらいの頃には普通に意味のある言葉を話してた可能性ありますわよ」

「さ、さすがに無いと思うけど」


 無いよね?


 さて。 ここに来て宮下さんの貴重な幼少期のスライド写真を見られる機会が来た。 提供元は当然、宮下さんの実家と、少しばかり新田さんからの提供もあるようだ。


「こちら、新婦様0歳の写真です。 今、新婦様が腕に抱いておられる娘さんと、何処か似ていますね」


 おお、赤ちゃん宮下さん可愛い。 目もパッチリだし鼻筋も通ってるし。 なるほど、既に今の宮下さんの面影がある。 それにそれに、たしかに可憐ちゃんにも似ているところがある。 可憐ちゃん、将来は美人さんになるだろうなぁ。


 更に5歳の宮下さんの写真が映し出される。 もうその頃になると、完全に宮下さんの顔立ちになっていた。 かなり腕白な女の子だったようで、膝に絆創膏を貼りまくっている。 手には何やら昆虫を持っている。 どうやら、宮下さんの親の実家近くで撮られた写真のようだ。 凄い田舎だって言ってたからねぇ。 写真に映る背景には綺麗な海も見えているし間違い無さそうだよ。


「次は小学4年生の頃の写真です。 バレーボールのユニフォームを着ていますね」


 東京のバレーボールのジュニアチームかな? 宮下さんは小中学時代は学校のクラブではなく、都内のクラブチームでプレーしていたらしい。 その頃から、「東京のシニアチームには凄い選手がいるらしい」と、噂になっていたよ。


「中学生の頃の新婦様です。 地元の公立中学校ですね」


 貴重な宮下さんのセーラー服姿だ。 白いシャツに紺色のプリーツスカートという、シンプルデザインである。 どうやら入学式の写真のようで、制服がぶかぶかである。 こうやって、友人の知らない過去の姿を知れるのは非常に楽しいねぇ。 私は奈々ちゃんにやられて、黒歴史を羅列されたけどねぇ。 奈々ちゃんの式で写真を頼まれたら、キッチリ仕返しするよ。



 ◆◇◆◇◆◇



「お疲れ様宮下さん」

「ふぃー、気疲れするー」

「あはは。 わかるわかる」


 披露宴も終わり、「皆の家」に戻って来た私達。 宮下さんはリビングで疲れて伸びている。


「宮下さん。 新婚旅行の予定は?」


 奈央ちゃんが話を振ると、宮下さんと三山君は首を横に振る。 すると、奈央ちゃんはいつものように「ふふふのふー」と謎の笑いを浮かべる。 そう、奈央ちゃんは何と、「まとめて新婚旅行計画」を立てている。 何と、皆でラスベガスへ行こうと言うのだ。 それを三山夫妻に話すと……。


「ラスベガス! ってどこ?」

「うわちゃっ……」

「美智香……アメリカだ」

「おー、アメリカ! キャミィとミアは行った事ある?」

「私は無いでス」

「ウチはあるデ。 にぎやかなばしょヤ」

「おー! 楽しみね、大君!」

「あ、あー、そうだな」


 と、宮下さんはかなり乗り気であった。 三山君も、急な話で引いているが、行く事自体は楽しみらしい。 予定は夏の連休だ。 バレーボールの練習もお休みして出かける事になるかな?

予定されていた式の全てが終了。


「亜美だよ! 夏が楽しみだねぇ!」

「はぅ。 カジノ怖いよぅ」

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