第1833話 「ミルフィーユ」チャンネル
「皆の家」の防音室に集まる「ミルフィーユ」の4人。
☆麻美視点☆
今日は日曜日ー。 来週は亜美姉と夕也兄ぃの結婚式で、再来週は美智香姉と三山先輩の結婚式があるー。 式ラッシュです!
しかーし! 今日はそれよりもやるべき事があるのであるー!
「良くぞ集まってくれたねぇ」
「いつも通り『皆の家』に来ただけよ?」
「まあねぇ」
「それで、何で呼ばれたんや?」
「なはは。 実は昨日の内に亜美姉と一緒に色々と機材を買い揃えていたのだ」
「機材とは?」
「ふふふ。 動画撮影の機材と編集用のパソコン諸々だよ」
「っちゅうことは『ミルフィーユ』の動画チャンネルを開設するって事か」
「そのとーり! 今から最初の動画になる、自己紹介動画を撮影するのだー!」
「テンション高いわね」
「麻美ちゃんノリノリなんだよ」
「こういう活動、一回やってみたかったのだー」
「そうなんか……」
「それにギターと歌ももっと上達して、色々な人に聴いてもらいたいー」
「そうね。 それには賛成だわ」
「やな」
「じゃあ早速説明するよ。 まずは一人一人の自己紹介を撮影するよ。 切り貼りは麻美ちゃんがやってくれるよ」
「任せろー」
「全員分出来たら皆で集合して『ミルフィーユ』の紹介と、今後の活動内容の説明をしてから一曲だけやって終わりの流れね」
「わかりました」
「了解よ」
「じゃあリーダーの亜美姉からお願いー!」
「らじゃだよ。 ビシッと決めるよ」
というわけで、順番に自己紹介の動画を撮影していくー。 顔バレや身バレは既にしており、私達「ミルフィーユ」の構成メンバーが、女子バレーボール日本代表の清水亜美、藍沢奈々美、藍沢麻美、月島渚である事は知られているー。
なのて、その辺は隠さずに挨拶していくぞー。 最後に皆でAmi d'enfanceを演奏して撮影終了。
「OKだよ。 後は麻美ちゃんが編集してくれるよ」
「うむー。 夕方には何とか編集終わらせて、チャンネル開設と動画公開をするー」
「慌てなくても良いでしょ」
「そうだよ」
「じゃあゆっくりやるー」
たしかに焦る必要は無いかー。 とはいえ、自己紹介動画にそこまで編集の余地も無いけどー。
◆◇◆◇◆◇
というわけで、動画編集作業に取りかかる。
「まずは撮影した動画をパソコンに取り込んでー」
機器を繋いで取り込み作業に入る。
「ずずーっ。 はぁ、お茶が美味しいですなー」
「むふふ。 亜美ちゃん登場だよ」
「なは。 亜美姉いらっしゃーい」
私が作業を始めると、亜美姉が部屋に入ってきた。 どうやら私の部屋で仕事をするつもりらしいー。 音フェス前はギターの練習に集中する為、執筆作業を中断していたのだ。 音フェスが終わったから作業を再開というわけだー。
「アシスタントの麻美は今手が離せぬ故ー」
「大丈夫だよ。 麻美ちゃんは麻美ちゃんの作業進めてね」
「りょーかーい」
私は私で動画編集の方を進めていく。 取り込んだ動画を編集ソフトで読み込み、動画を切り貼りしていく。 こういう作業はやった事ないけど、結構感覚的に出来るー。
「字幕テロップも付けてー」
カタカタ……
「中々良い感じだね」
「うむー」
そうして完成した動画を実際に確認していく。
「『ミルフィーユ』のリーダー、清水亜美です。 この度、私達ギター四重奏『ミルフィーユ』はこの動画チャンネル『ミルフィーユ』チャンネルを開設しました。 今後はインターネットにも活動の幅を広げていくので、興味がおありの方は是非、チャンネル登録の方をお願いします」
「うわわ。 恥ずかしいねぇ」
自分の自己紹介を聴いて恥ずかしがる亜美姉。 「もっとメイクとかした方が良かったかな」とか言っている。 亜美姉でもそんなの気にするのかー。
一通り確認して問題が無かったので、動画サイトの自分達のチャンネルにアップロード!
「よし! これでOKだー! 後はSNSで動画をアップした事を報告! とりゃ!」
「おお、遂に私達の動画チャンネルが始動したねぇ」
「うむー。 定期的に動画をアップしていくぞー」
「だねぇ。 とにかくお疲れ様だよ」
「そんなに凝った編集じゃないから大丈夫ー」
「で、どう反応は?」
「んー。 のわーっ?! 凄い勢いで登録者が増えてるー!」
「うわわ」
動画チャンネル開設、動画のアップの告知からまだ数分なのに、すでに登録者の数が1万人を超えている。 これは驚きー!
「1万人って凄いの?」
「凄いと思うー」
ちなみにSNSの方のフォロワーさんも既に5万人となっているー。 あの音フェスの反響がこれ程までとはー。
◆◇◆◇◆◇
夕飯の時間になりリビングに集まる頃には、登録者数6万人、再生回数10万人を超えて騒ぎが凄い事になっていた。
「凄いですわね」
「うむー」
「ちょっと怖いわね」
「まさか、こないな反響があるやなんて」
「さすがに予想以上だよ」
「きゃはは。 ブルーウィングスの皆も登録したし動画も見たって」
「姫百合さんもみたいね」
と、知り合いの大物達も反応してくれている。 これは、頑張って上手くなって、どんどん活動していかなければだよー。
「お前らって何やっても目立つよな」
「あはは……そだねぇ」
「ギターと歌の練習もしないとね。 次はどうするの?」
「姫百合さんとブルーウィングスさんの楽曲をカバーする許諾はもう取れてるから、その辺りのカバーをやりつつ新しくオリジナル曲を作って行く予定だよ」
「さすがに亜美姉は今忙しいから、オリジナル曲は少し先になるー」
「了解よ」
「楽しいなってきたな」
私も楽しくなってきたー。 これからもっと有名になったら、色々とイベントのお誘いとかもあるかもしれないー。 動画で最後に説明はしたけど、基本的には私達のお仕事や、バレーボールを優先しての活動となる。 なので、活動の頻度そのものはそこまで高くはならないと思われる。 とはいえ、単発動画はちょくちょく上げていくつもりではある。 例えば、私単独で練習動画や練習生配信等だ。 こういった細かい活動もしっかりしていくー。
「ふむ。 これだけ大きな騒ぎになると色々と大変そうですわね。 西條ホールディングスがバックアップしていく事にしましょ」
「あ、あはは。 ありがとう奈央ちゃん」
「助かりますー」
最初グループの後ろ盾があれば安心だー。 色々と手回しとかしてくれそうー。
「今、弥生ちゃん達からも反応が来たよ。 『練習終わってSNS見たらとんでもない事になっとる』だって。 宮下さんはもうチャンネル登録したんだって」
「これは中々の勢いですよ。 私のデータによるとこのペースなら本日中に10万人登録もあり得ますよ」
「なはは。 素晴らしいー」
何か思いつきで結成してイベントに参加したけど、まさかこんな事になるとは思っても見なかったー。 まだまだ活動を始めたばかりだけど、頑張ってチャンネルを盛り上げていくぞー。
ちなみに明日は私が単独生配信で練習風景を垂れ流しす予定であるー。
本格活動開始!
「希望です。 初動が凄いよぅ」
「だよねぇ」




