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第1820話 ライブハウスで演奏

ライブハウスへやって来た「ミルフィーユ」の4人。

出番が近付いてきたようだ。

 ☆麻美視点☆


 さて! 来週に迫りました音楽フェスティバル! 本日はその前段階と致しまして、ライブハウスでの演奏を行うぞー。

 現在私達は、演奏の準備を進めている。 チューニングや音出しだ。


 ジャーン……


「麻美ちゃん。 演奏の難易度は低い方にする? 高い方にする?」


 亜美姉が私の隣に来て、小声で訊いてきた。

 先週から練習してる、難しいバージョンの方はまだ完全にマスターしているわけじゃない。 ここは本番前だけど、4人全体の演奏を私のミスで乱すわけにはいかないー。


「ここは簡単な方でミス無しでいくー」

「了解だよ」


 ジャーン……


「本番までには難しい方を完璧にマスターするー」

「うん」

「音OKよ」

「こっちもです」

「よし。 じゃあ後は時間まで待機だね」

「き、緊張してきました」

「本番はもっと大勢のお客さんがいるからねぇ。 慣れないとだよ」

「は、はい」

「奈々ちゃんは堂々としてるね」

「まあ、私はね。 こういうの好きだし」

「なはは」


 私は緊張なんかしないー。



 ◆◇◆◇◆◇



 さて、時間がやって来ました! 私達ギター四重奏「ミルフィーユ」の初ライブだ!


「皆さんこんにちは! 私達は仲良し4人組で結成したギター四重奏『ミルフィーユ』です! リーダーは私、清水亜美です! では順番に自己紹介してもらいます! どうぞ」

「こんにちは。 『ミルフィーユ』の歌姫、藍沢奈々美です。 ギターの腕前はまだまだ未熟ですが、歌声でカバーしたいと思います」

「え……そんな挨拶するて決めてたか?」


 と、小声で渚が慌てている。 多分お姉ちゃんのアドリブだろー。 気にせず普通に挨拶すれば良いと返しておいたー。


「こんにちはー! 亜美姉の一番弟子、藍沢麻美です! 歌はあまり上手じゃないけど、ギターの方は頑張って上達してます! よろしくお願いします!」


 私も元気良く挨拶をするー! やはりこういうのは元気が大事ー!


「えーと、月島渚です。 歌も普通やし、不器用やからギターもそこまで上手くはありません。 皆の足引っ張らんよう頑張ります。 よろしくお願いします」


 何とネガティブな挨拶をするのかー……。 渚らしいけどー。


「渚ちゃん頑張れー!」


 何かファンがついてるー?!


「じゃあまず一曲目! Sunriseさんの飛行機雲です」


 挨拶も終わり、ギター四重奏によるギター演奏と歌によるライブを開始する。

 飛行機雲は、私達が最初に練習で弾いた曲だ。 亜美姉が初心者向けだと教えてくれたのだ。 個人的にSunriseが好きである為、この曲の練習には特に力を入れた。

 メインの主旋律は渚が担当。 私は高音パートでお姉ちゃんが低音パート、亜美姉は全体を綺麗にまとめてくれる中音域を担当者している。


「あの飛行機雲をー目指してー♪」


 歌いながらギターの演奏もこなさねばならないー。 主旋律の渚に合わせ、私達はあまり主張しないように心掛ける。 亜美姉が良い感じに、私達全体をフォローしてくれているおかげで、綺麗にまとまっているー。


 一曲目の飛行機雲を演奏し終えて軽く一息。


「ふぅ」

「良い感じね」

「なはは」

「うんうん」


 パチパチパチパチ!


 お客さんからも拍手がもらえているー。 まだまだ未熟な私達でも、お客さんを喜ばせる事は出来るようだ。


「皆上手いぞ!」

「やっぱり亜美ちゃんは凄いなぁ!」

「奈々美ちゃんの歌も凄かったぞ」


 やはり亜美姉とお姉ちゃん凄いー。 私も負けてらないー、


「では二曲目! 姫百合凛さんのBlue Skyいきます!」


 よーし! 頑張るぞー!



 ◆◇◆◇◆◇



 トークも挟みながら、三曲全て披露し終えた私達「ミルフィーユ」。 お客さんからの感想としては「まだ甘いところがあるけど、練習期間の短さから考えたら上出来」との事ー。 やはり耳が肥えてる人からすれば、まだまだ甘いらしいー。


「アドバイスとかありますか?」


 亜美姉が店長さんに助言等が無いか訊ねる。 店長さんは少しだけ考えて……。


「そうだねー。 主旋律やってた渚ちゃんだっけ? メインだからもっと自信持って前に出るような感じの演奏が欲しいね」

「は、はい」

「他3人は渚ちゃんのギターの演奏に合わせるから、渚ちゃんの演奏が弱々しいと、全体的に弱々しくなる。 渚ちゃんが引っ張ってあげないといけないんだ。 頑張りたまえ」

「はい! 頑張ります!」

「後は、麻美ちゃんだったかな? 元気に歌ってたのは高評価だけど、ギターをかき消すのは良くないかなー。 あと、たまに音を外していた」

「ぐさーっ!」

「言われとる」

「麻美は超弩級の音痴なんですよ。 それでも最近はずっと歌トレを続けていて、やっとまともになってきたとこなので」

「そ、そうなのかい?」

「ちなみにこれが、酷かった時の麻美ちゃんの歌声です」


 亜美姉がスマホを取り出して、何か動画を再生している。


「ぼーぇぼぇぼぇぼぇー」

「よく普通に歌えるようになったね……。 なるほど、努力の結果が今出ているという事か。 じゃあこの話は無しで。 亜美ちゃんはまあ特に問題無いかな。 奈々美ちゃんは自分で言ってたように、コードチェンジがぎこちなくなる時があったかな。 歌で誤魔化そうとしてたけど、僕は騙せないよ」

「あ、あはは。 精進します」

「来週の音フェスに出るんだっけ? 頑張って盛り上げてくれよー?」

「はい!」

「音フェスも見に行くぞ!」

「ありがとうございます! 是非来てください!」


 本番までの課題も見つかり、中々に有意義な時間を過ごせた。 私は歌と高難易度バージョンの演奏を両方マスターしなければー! 帰ったら早速練習するぞー!



 ◆◇◆◇◆◇



 夕飯係だったー……練習は後回しだー。


「夕飯はお手製のほかほかコロッケと、サラダだー! お味噌汁も付けるー!」

「1人で騒がしいわね……」

「お姉ちゃん、練習しないのー?」

「今日は疲れたから明日」

「お姉ちゃん余裕あって羨ましいー」

「あんたが難易度高い方やりたいって言ったんでしょ?」

「そうだけどー……」

「ほら。 手伝ってあげるから」

「お姉ちゃん優しいー! ありがとうー!」


 何だかんだ言っても優しくしてくれるお姉ちゃんが大好きだ。


「お姉ちゃんのコロッケ大きくしてあげよー!」

「別にいらないわよ……」

「そかー。 じゃあ自分の大きくしよー。 ゆーでたーら! 皮を剥いーて! ぐにぐにとつーぶせー」

「何よその歌は……」

「コロッケが作れる歌ー」

「へ、へぇ」


 料理をしながら歌の練習をしてしまうとは、私天才かー?


「たーまねーぎ! 目にしみてーも! なみーだこらーえてー」



 ◆◇◆◇◆◇



 夕食後! 洗い物はお姉ちゃんがやってくれるというので、私はギターと歌の練習ー!


「歌のボリュームは下げるべしー」


 ライブハウスの店長さんのアドバイスをしっかりと意識する。 あの店長さん、結構鋭い観察眼だったなー。 もしかしたら名のあるギタリストなんだろうか? 亜美姉なら何か知ってるのかなー?

アドバイスももらい、更に練習を重ねていく。


「奈々美よ。 麻美は歌も上手くなってきたわよね。 何であんな音痴だったのかしらね?」

「麻美ちゃんは色々と不思議な子だねぇ」

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