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第1819話 もうすぐ本番

音フェス本番1週間前となり、練習に熱が入る亜美達。

 ☆亜美視点☆


 今日は土曜日だよ。 音フェスまで後8日。 練習も追い込みという事で、本番までは小説の執筆をお休みしてギターの合わせ練習に集中する。

 今日も藍沢家におじゃまして、4人で練習に励むよ。 明日は私が通っていたライブハウスで弾かせてもらえる事にもなっている。 本番前に人前で演奏出来るのはありがたいね。


「麻美ちゃん、この1週間でかなり弾きこなせるようになったね」

「めちゃくちゃ練習したー! めちゃくちゃ難しいー」

「だねぇ。 さすがに難易度上げ過ぎたかなって反省してるよ」


 麻美ちゃんは先週の時点でほぼ完成していたんだけど、思ったより上達が早いので更に難易度の高い演奏を提案した。 麻美ちゃんもやる気になり頑張って練習して、5割から6割ぐらい弾けるようにはなっている。 やはり上達が早い。


「渚ちゃんももう完璧だね!」

「ようやく皆に追いついたで……」

「奈々ちゃんもさすがだねぇ」

「まあね」


 3人ともこの短期間でギターの演奏をマスターしてしまうなんて、凄い才能だよ。 正直言って今年の音フェスでは、そこまでハイクオリティな演奏は出来ないだろうと思っていたのに。


「でも亜美姉に敵わないー」

「まあ、亜美と比較しても仕方ないわよ」

「やなぁ」

「いやいや。 皆すぐに私より上手くなるよ」

「無理でしょ」

「無理ー」

「無理やね」

「あれぇ?」


 私ってそんなにギター上手かなぁ?


「ま、まあ良いや。 もう一度通してみよ」

「おー!」


 今日はもうひたすら通しの練習を繰り返すのみである。



 ◆◇◆◇◆◇



「はい! 練習お疲れ様だよ」

「お疲れー」


 15時に練習を終了した私達。 早めに終わったのには理由があるよ。


「じゃあメンテナンスだよ」

「ギターのメンテナンスなんて初めてね」

「たしかにー」

「私不器用やけど出来るやろか……」

「そんな難しい事はないよ。 お店に依頼すればもっとちゃんとしたメンテナンスもしてもらえるけど、自分達で出来るレベルのメンテナンスもあるよ」


 という事で皆に説明しながらメンテナンスを進めていく。 ちょっと難しいのは弦を緩めた後のチューニングのやり直しくらい。 他は簡単だよ。


「で、出来たで。 私にも出来た」

「なはは。 簡単だー」

「そうね」

「あはは。 でも今回は弦の張り替えをしなかったからこれで済んでるんだよ」

「げ、弦の張り替え……」

「弦はやっぱりどこかで張り替えないと劣化するからね。 皆のはまだ新しいし良いけど、次のメンテの時には替えたいね。 その時にまた教えるよ」

「お願いね」

「さて。 明日はライブハウスで人前に出ての演奏。 本番の気持ちでやるよ」

「おー!」


 

 ◆◇◆◇◆◇



 翌日日曜日!

 音フェスまで1週間である。 今日は私が中学時代に通っていたライブハウスへ行って、そこで演奏させてもらうよ。


 電車に乗って移動中。 あそこには駐車場が無いから車では行けないんだよ。


「奈々ちゃんは連れて行ったことあるよね?」

「えぇ。 希望の人見知り克服特訓の時ね。 あの時はステージの下だったけど」

「今日はステージの上だよ」

「私と渚は行った事ないー」

「やねぇ」

「お店の人もお客さんも皆良い人達だよ」

「楽しみー」


 麻美ちゃんは何でも楽しんでくれる良い子である。 

 さて、駅で降りて狭い路地を進んで行き、私がよく通うライブハウスに到着。


「ここはワンドリンク制だからね。 ドリンク代は入店料に含まれているけど、追加ドリンクは別途料金がかかるよ。 今日は私達以外にもライブするグループがあるから、出番が来るまでは客席待機だよ」

「りょーかーい」

「ライブ見るんはタダなんですか?」

「チケットがいるよ。 大丈夫、今日これからあるライブのチケットは私が買ってあるからね」


 私達の出番は16時から。 その前に14時半からライブするグループがあるので、そのグループのあとだね。 


「用意良いわね」

「さすが亜美姉ー」

「さ、入るよ」


 カランカラン


「いらっしゃい! お、来たね亜美ちゃん」

「店長さん、ご無沙汰してます」


 私がお世話になっている店長さんに挨拶をして、チケットと入場料を払う。 席に座り、適当なドリンクを注文するよ。


「んぐんぐ」

「で、私達の前にライブするグループって?」

「んーと。 レーゲンボーゲンっていうグループみたいだよ」

「レ、レーゲンボーゲンって最近テレビに出たりしてる若いグループじゃない」

「有名なんだねぇ」

「まあ、まだそこまでじゃないけど、すぐに売れると思うわ。 地元の人達なのかしら?」

「リーダーの出身地は千葉みたいですね」

「あ、店長さん」

「ドリンクを持って来たよ」

「ありがとうございます」

「なはは。 ありがとうございまーす」

「どうもおおきにです」

「今日は君達も演奏してくれるんだって? 『ミルフィーユ』っていうグループは皆知らなかったけど、リーダーが亜美ちゃんだってわかったらチケットが飛ぶように売れたよ」

「あ、あはは」

「さすが亜美姉ー」

「まあまずはプロの音楽を楽しんで」

「はい」


 とりあえずレーゲンボーゲンさんのライブを楽しむ事にするよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 14時半になり、レーゲンボーゲンさんのライブが始まった。 スタンダードなバンド構成のグループだねぇ。 リーダーはドラムの人のようだ。


「皆若いねぇ」

「たしか皆まだ19歳なはずよ」

「おお」

「私達より歳下なのかー」

「凄いんやなぁ」


 最近はどの界隈でも若い人達が台頭している。 野球やサッカー、私達バレーボール界もそうだし、将棋や囲碁業界でも若い子がタイトルを獲得したなんてニュースを聞く。 芸能界もブルーウィングスのような子達が今熱いもんね。


「皆! 今日は俺達レーゲンボーゲンのライブを見に来てくれてサンキュー!」


 どうやら挨拶が始まったようだよ。 私達も音フェスに向けて何か決め台詞や挨拶を作っても良いかもしれないねぇ!

 レーゲンボーゲンさんは最近テレビにも取り上げられて、少しずつ人気も出てきているらしい。 しかし、それに胡座をかくような事はせず、小さなライブハウスで地道に活動していき、地盤を固めていくとの事だ。


「若いのに偉いねぇ。 人気出てきたら調子づいて勇足になりそうなものなのに」

「そうね。 中々大人ね」

「始まるぞー」


 どうやらレーゲンボーゲンのライブが始まった。 まだまだ駆け出しのグループのようだけど、奈々ちゃんが言うように人気の出る要素は十分にありそうだ。 聞いたことない曲ばかりではあるけど、どれも聴きやすい良い曲だねぇ。 奈々ちゃん曰く、リーダーの人が作詞作曲まで手掛けているみたいだ。 凄い人もいるものである。


 たっぷり1時間のライブを堪能した私達。 次は私達の出番なので、ライブ準備を始めるよ。 音響装置は店側のを使わせてもらえるので、私達は自前のギターを繋いだりして音出しをするだけだ。


 さあ、やるよ!

ライブハウスでの演奏。 練習の成果は出せる?


「希望です。 私達は本番を楽しみにしてるから、今回は見に行かないよぅ」

「らじゃだよ」

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