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第1799話 皆で登ろう

登山口に到着した亜美達。

 ☆亜美視点☆


 さて、雲取山の登山口で鴨沢登山口へとやって来たよ。


「本当ならこの先に駐車場があるんですが、せっかくならここから行きましょう」


 ここは鴨沢のバス停だ。 すぐそこに「かもさわ登山口」と書かれた看板と小さな階段がある。 そこからがスタートだ。 とりあえずそこから登山を開始するよ。 階段を登った先は山道というより、普通に舗装された道路。 両脇に建物が建っている。


「何や。 これが登山道なんか?」

「本格化に山道になるのはもっと先ですわね。 しばらくはこういう道路を歩く事になりますわ」

「そうなのか」

「少し行った先に駐車場があります。 その先が山道になりますわね」

「なはは。 とにかく登るぞー」

「きゃはは」


 奈央ちゃんの言う通り、しばらくはこういう道が続く。 普通に車が走る道路もあるから一列になって歩くよ。 他の登山客さんも結構な数がいる。 私達はっていうと、青砥さんや井口さんに合わせてゆっくり登るよ。


「私達も久しぶりだし、スローペースで行くので大丈夫ですわよー」

「はい」

「ありがとうございます」


 そんな感じで約40分。 ゆっくり歩いて来た私達の前に、駐車場が姿を現す。 途中登山道のような道を少し歩いたが、また舗装路に出てきているよ。


「お手洗いがあるのでしばし休憩! 15分後にここへ集合ですわよー」

「はーい」


 ここではトイレ休憩に入る。 この先は本格的な登山道となっており、休憩所はかなり先まで行かないとありません。


「このペースだと、七ツ石までは3時間ぐらいかな」

「何や? その七つ何ちゃらいうとこが今日のノルマかいな? 3時間やったら大したことあらへんやん」


 隣で休憩していた弥生ちゃんが、私の独り言に入ってきた。 ふむ。 勘違いしてるみたいだねぇ。


「弥生ちゃん、それは違うよ。 3時間後に次の休憩ポイントだよ。 今日の目的地は更にそこから2時間だよ」

「何やて? ほな今日はこれから5時間登るんか?」

「そうだよ。 雲取山は甘くないよ」

「なるほどな。 燃えてくるで。 ところで亜美ちゃん。 筋肉痛は大丈夫なんか?」

「うん。 かなり良くなったよ」

「さよか。 そら良かった」


 昨日は呻き声を上げるぐらいバキバキだったけど、今日はかなりマシだよ。 さて、そろそろ集合時間だよ。


「美智香姉! 集合場所はあっちだー!」

「おー!」


 遠くから麻美ちゃんと宮下さんの声が聞こえてくるも、何故か遠ざかっていく。 よく見てみると、来た道を逆走しようとしている。


「相変わらずやな……」

「あはは」


 すぐに奈々ちゃんと新田さんが止めて、こちらへ連れて来る。 放っておいたら絶対遭難するよ。


「よし、じゃあ点呼とりますわよー」


 時間になったので全員いるか確認。 22名問題無しという事で登山再会だ。


「これより先は本格的に山に入る事になります。 皆さん足下等に注意して歩きましょう」

「はい!」

「では出発!」


 駐車場を出ると、またしばらくは舗装された道路を登る事になる。


「この先、左側に細い登山道が見えてきますわ。 そこからが本格的登山道ですわよ」

「何でも来いだぜ」

「宏ちゃんやる気だね」

「まあな。 やっぱり身体動かすのは楽しいぜ」

「でもここから3時間近く歩き通しだよ?」

「腹減る」

「なはは。 行動食で耐えろー」

「ポテチだな!」


 本当にポテチを持って来たらしい。 やっぱりちょっとバカなんだね。


 さて、舗装路を登って行くと、先程奈央ちゃんが言っていた脇道が見えてきた。 人一人が何とか通れるかというような細い道。 一列になって入って行くよ。


「んしょ、んしょ」


 狭い道を入って行くと、眼前に続くのは木々に囲まれた山道であった。


「ワハハ! ここからやナ!」

「頑張りまス」

「この先は道幅が狭いので基本一列で進みますわよ。 立ち止まって休める場所もほとんど無いと聞いています」

「それに、この先は右側に降り斜面が続くトラバースになっているよ。 滑るとそのまま滑落する恐れがあるから、足下に注意してゆっくり歩いてね」

「トラバースって?」

「登山におけるトラバースっていうのは、山の斜面を横断していく事を言うよ。 距離は長くなる代わりに急な登坂は少ないよ。 その代わり道が狭くて左右が斜面になっていて危ないけど」

「とりあえずゆっくり行けば大丈夫やろ」

「うん」


 さて、本格的な登山道へ入っていく。 私は列の真ん中よりの位置を歩いて行く。 前を弥生ちゃん、後ろを麻美ちゃんが歩いている。


「ほんまに狭い道やな」

「右も左も斜面だね」

「道はなだらかー」


 ちょっとした登りはあるものの、急坂があるわけではないのでその点は楽と言える。 しかし、足下は木の根が飛び出していたりするので、気を付けて歩かないといけないよ。


「次の休憩遅延まではどのくらいかしら?」


 奈々ちゃんが質問をしてくる。 弥生ちゃんには教えてあるけど、他の皆にはまだだったかな?


「2時間45分くらいだよ」

「へっ?」

「2時間45分。 頑張ろうねぇ」

「な、なるほどね」


 さてさて。 5月のというこの季節。 天気も良くて登山日和。 周りの木々も青い葉を付け始めて中々の景色である。 紅葉の季節に来ればまた違う景色が見られるんだろうねぇ。


「道が狭いー」

「だねぇ。 一応すれ違うぐらいは出来るけど」

「ずっとこんな感じー?」

「しばらくはこんな感じだよ」

「そっかー! なははー!」


 麻美ちゃんはとても元気だ。 まあまだ始まったばかりだしね。 これからどうなるかだよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 少し来た所で、何やら建物が見えてきた。


「なはは! 何だーあれはー?」

「あれは廃屋だよ」

「そうなんか?」

「つまり、この辺で誰かしら生活していたって事?」


 奈々ちゃんが前の方を歩きながら訊いてくる。


「わかんないけど、この先にも生活の跡とかの名残のある物がちょくちょくあるみたいだよ」

「へー」


 こんなとこで生活とか、不便で仕方ないと思うけどねぇ。


 さて、ひたすら登りまくるよ。 何せ七ツ石までまだ2時間以上かかるのだから。


「ボリボリ」

「えっ?!」


 何か後ろからスナック菓子を頬張る音が聞こえるんだけど。 まさか?


「うめー」

「だな!」

「うわわ?! もうポテチ食べてる?!」

「おう」


 宏ちゃんと遥ちゃんは、早くも行動食として持って来たであろうポテチを食べ始めていた。 何とも自由な人達である。


「もう一袋あるんだぜ」

「だな!」

「えぇ……」


 この2人には常識は通用しないようだ。


「ゴミだけはちゃんと持って帰るんだよ? 山を汚しちゃダメだからね」

「おう!」

「わかってるぜ!」

「本当かなぁ……」


 2人はその後もボリボリとポテチを食べながら歩き続けるのだった。 リュックからジュースを出して飲みまくる姿も見られたよ。


 さて、まずはこのまま七ツ石山を目指すよ。

まだまだ先は長いようだ。


「奈々美よ。 山登りしながらスナック菓子って……」

「あの2人はもう仕方ないよ」

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