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第1795話 星野さんをご案内

星野さんを連れて「皆の家」へ向かう亜美達。

 ☆亜美視点☆


 フランスとの練習試合を終えた私達は、ホテルに泊まる遠征組とは別れて「皆の家」へと戻る最中である。 入館証や部屋を用意する為、星野さんもついて来ている。 これから遥ちゃんの弟子になるんだそうだ。 麻美ちゃんは姉弟子になるわけだ。


「なはは! 星野さん! 私の事は姉弟子と呼ぶが良いー」

「は、はい!」


 早速呼ばせている。 奈々ちゃんからは「調子に乗るな」と怒られているようだが。


「星野さんは実家暮らし?」

「はい」

「お住まいは何処ですの?」

「楓町です」

「なるほど、月ノ木の隣町ね」

「『皆の家』は月ノ木の駅前なんだよ」

「ああ……あの大きなお屋敷ですよね?」

「うん」


 やはり有名らしい。 まあ、あんな大きな屋敷が田舎町の駅前にあったら、そりゃ目立つよね。


「通うのはそこまで大変じゃなさそうねー?」

「はい。 バイクで通えます」

「バ、バイク持ってるの?」

「はい。 大型二輪を18になってすぐに取って……」

「しかも大型?!」

「は、はい」

「ほぉ、かっこええやん」

「今度見せてー」

「は、はい。 今度来る時にでも乗ってきます」


 星野さん、見た目は落ち着いてて大人しそうなのに意外だねぇ。 あ、星野さんは黒髪を肩ぐらいで切り揃えて下ろしていて、アクセサリーとかもあまり着けたりしていない、純朴そうな女の子だよ。 身長はまあ高い方かな?


「さ、着きましたわよ。 ここが入り口の正門になりますわ。


 奈央ちゃんのカードで門を開けてもらい、中に入る。 すると、「皆の家」の広ーいお庭が眼前に広がる。


「ここがお庭ですわよ」

「に、庭?! 公園か何かじゃないんですか?!」

「庭だよ」


 さすがにこの広さの庭を見て驚愕しているようだ。 最初は誰でもこうなるよ。


「で、あちらが本館で隣が別館。 中通路で繋がってるし、それぞれの玄関からも出入り出来ますわよー」

「ただし、中に入るにはやはりこの入館証が必要よ」

「は、はあ」

「あちらは現在建設中のガレージ。 自転車やバイクも止められるようになる予定よ」


 至れり尽くせりである。


 さて、奈央ちゃんの入館証で屋敷内へ入っていくよ。 まずは玄関案内だ。 私と奈央ちゃん以外は、さっさと名札を白に返してリビングへと歩いて行ったよ。 案内は私達に任せて寛ぎたいという事のようだ。


「えっと、玄関だよ」

「広い……」

「皆がやってたように、入る時は名札を白に、出る時は名札を赤にするように」

「はい」

 

 後でテプラで星野さんの名札シール作らないとねぇ。


「では中へどうぞ」

「はいっ」


 スリッパに履き変えて中を案内していくよ。 脱衣所や浴室、トイレに洗面所、トレーニングルームにキッチン、リビング、客室と主だった部屋を案内した後は、別館の方へ移動。 別館の案内をして、星野さんが使う予定のお部屋の前までやって来た。


「ここが星野さんのお部屋になりますわ。 部屋に入るにも、先程の入館証が必要なの。 しかも、本人登録するから、マスターキーか自分の入館証でしか入室出来ないようにしてありますわ」

「な、何だか凄いお屋敷ですね……」

「大丈夫。 その内慣れるよ。 さっきリビングの皆を見たでしょ?」

「は、はぁ」


 リビングでは我が物顔で寛ぐ皆の姿が見られた。 もはやこの屋敷に慣れ切ってしまっているのだ。


「さ、では入館証を作りますわよ。 私と来てちょうだい」

「はい」

「じゃあ、私はリビングに行ってるよ」

「ええ。 後から行きますわ」


 入館証は奈央ちゃんの部屋で作ることになるので、私はここで別れてリビングへ向かうよ。 マロン、メロンをモフモフしないと。



 ◆◇◆◇◆◇



 モフモフ……


「ほわわーん」

「みゃ」

「なー」


 リビングに来て、早速マロンとメロンをモフる。 2匹は私にされるがままになっているよ。


「夕ちゃん、春くん。 いつもペットの面倒見てくれありがとうねぇ」

「まあ、それぐらいしか出来る事ないしなぁ」

「なははー」

「宏太がいれば楽なんですが」

「あいつは普通に仕事だし」

「前田さんは練習試合を見に行く為に休んだのん?」

「はい」

「何や。 割と融通が利くんやな」


 と、弥生ちゃん。 多分、奈央ちゃんが裏で手を引いていたんだと思うけど。


「お、奈央と星野さん戻ってきたぞ」

「ふぅ。 皆して寛いでるわね」

「お、おじゃまします」


 奈央ちゃんの後ろから、恐る恐る入ってくる星野さん。 空いている場所に座るも、さすがに居心地は悪そうである。 ほぼ面識の無い先輩達に囲まれているのだから仕方ないか。


「そうだ。 星野さんよ、私は日曜日と火曜日以外は仕事でここに来れるのは夕方以降になるんだが」

「お仕事ですか?」

「遥はスポーツジムのインストラクターやってんのよ」

「ジムですか?」

「おう。 このジムで働いてんだよ」


 と、カバンからチラシを取り出して星野さんに手渡している。 しっかり営業しているねぇ。


「ここ知ってます」

「そうかい? 会員になれば平日でも色々と教えてやれるんだが。 必要な筋肉とかブロックの事とか」

「なるほど。 考えてみます!」

「たしかに、限られた時間しかないわけだから、それはありですわね。 週に2回師事するのと、ほぼ毎日師事するのとでは雲泥の差ですもの」

「なはは。 私から教われば大丈夫だぞー!」

「麻美さんはダメです。 星野さんとはタイプが違うのでプレーが崩れてしまいます」

「なはは! そーかー!」


 何故か爆笑しながら納得する麻美ちゃん。 麻美ちゃんのプレーは一般的な人には理解不能なのだ。


「さて。 キャミィさんとミアさん、ちょっと良いですか?」

「なんヤ?」

「はい?」

「今日のフランスと日本の練習試合を見てどうでした?」

「日本強いでス」

「ソヤナー。 ソレとアイツや。 アイツはヤバそうやナ」

「アイツて、4セット目に出てきたジャンヌいう選手か?」

「ソヤ」

「やばいでス」


 やはり2人から見てもジャンヌさんはやばいらしい。


「カントクのヒゲぬいてあそんでたデ。 アレはヤバいデ」

「なはは!」

「やばいてそっちかい……」

「プレーはシロウトやったやン」

「でも、素質はありそうでしタ」

「ありがとうございます。 やはりそうですか。 フランス監督のヒゲを抜いて遊んでいたように見えたのは間違いではなかったんですね」

「って、聞きたかったんはそれんかいっ!」


 ビシッ! と、弥生ちゃんがツッコミを入れている。 前田さんは「気になってたので」と言いながらデータを入力している。 「ジャンヌさんは監督のヒゲを抜いて遊ぶ」というデータでも入れているのだろうか?


「まあ、それはそれとして……ジャンヌさんが化け物であるという事は間違いないです。 過去や素性を少し調べてみますので時間をください」

「お願いしますわ」

「私達は私達で、課題克服やレベルアップみたいな出来る事をやっていこう!」

「そやな。 キャミィとミアはどないするんや?」

「ニホンでジシュレンや」

「でス」


 ワールドカップに向けてやるべき事が明確になってきたよ。 秋の本番までにもっと強くなるよ。

それぞれのレベルアップの為に行動を開始。


「紗希よ。 私も更なる高さを……」

「化け物だよ!」

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