第1783話 お花見大宴会
大宴会の翌日。 今日もお花見大宴会の予定だ。
☆夕也視点☆
さて、花見へやって来た俺達。 西條グループが運営しているという公園なのだが、凄い数の桜が咲いている。 花見スポットとして有名なようだ。
「うへー、凄いとこやなぁ」
「おほほ。 当然ですわよ」
「西條グループが絡むと何でも規模がでかくなるのよねー」
「それはそうと、早く席を取らないと」
と、希望が心配するが、奈央ちゃんが笑いながら次のように言った。
「ふふふのふー。 私達は予約スペースですから慌てなくても大丈夫ですわよー」
「よ、予約とかあるのね」
「ありますわよ」
西條グループの運営する公園なら、まああってもおかしくはないか。
「こっちですわよ」
「おー」
ここは奈央ちゃんについて行くしかないので、そのまま後ろへついて行く事にする。
この公園は入園料がかかるのだが、それでも中々の賑わいを見せている。 ちょうど桜も満開のタイミングだからか、一番盛況な時期らしい。
「売り上げが期待出来ますわね」
「ウハウハだよ」
ウハウハなのか。 西條グループの資本力ってどうなってるんだろうか?
「着きましたわよ。 この公園内でも一等地になりますわ」
「一等地……」
「うへー」
「立派な桜の木の下やな」
「樹齢200年。 この公園内で一番大きな桜の木ですわ。 この席が一番いい席になるわよー」
「きゃは。 じゃあ早速シート敷いて準備しましょ。 腹減らし2人が今にも暴れそうよ」
「腹減った」
「死ぬ」
宏太と遥ちゃんはもうダメみたいだな。 とりあえず皆で準備を始めるが、宏太と遥ちゃんは全く動かず突っ立っていた。
◆◇◆◇◆◇
「ではでは! お花見を開始!」
「いえーい」
「騒ぐわよー!」
「早く食わせてくれ!」
「腹減った!」
宴会が始まると、早速弁当に手をつけ始める宏太と遥ちゃん。 この2人は常にこうだな。
ちなみに今回の宴会料理は8割が西條グループの弁当専門店から取り寄せた、超高級弁当。 残り2割が亜美達の用意した弁当となる。 飲み物は大体がジュースだが、中には酒も入っている。 全てクーラーボックスに入れてある。
「うめー!」
「だな!」
「出たわよ、いつもの」
「これがないとねぇ」
「騒がしいけどな」
例の2人は我先にと弁当に手を伸ばしまくっている。 まさに花より団子というやつだな。
「西條先輩。 この公園は他に何か遊んだりできるものとかあるんですか?」
「一応ボートを借りたりは出来ますが、この人数ではあまり意味は無いですわね。 他にもアスレチックエリアなんかもあって、子供達からは人気ですわよ。
公園の中心にはステージがあって、色々なショーやライブ、その他イベントが行われたりもしますわよ」
「なるほど」
「今日は何かあんの?」
「ちょっと調べてみるよ」
亜美が素早くスマホを操作して調べた結果。
「ミスチェリーブロッサムコンテストだって」
「ミスコンってことかいな?」
「だね。 14時からだって。 参加するなら受付しなきゃだけどどうする?」
「参加したい人ー」
「さんかしたいデ」
「キャミィさんと?」
「じゃあ私も出まス」
「ミアさん」
「ミスコンなら私も出るわよん!」
「紗希が出るなら私もね」
「紗希ちゃんに奈々ちゃんね」
他にはいないと言う事で、この4名が参加するようだ。 その4名は一旦席を離れ、エントリー受付へと向かった。
「あの4人だと誰が一番上位になるだろうねぇ?」
「ミスチェリーブロッサムでしょ? 桜の花に相応しいのはミアさんっぽいですわよ?」
「んぐんぐ。 紗希とか奈々美は桜の花って感じしねぇからな」
「そやな。 あの2人はそんな可憐なイメージあらへんわ」
「あーぃ!」
「可憐って単語に反応したな……」
「おー、言葉を聞き分けられるのかー? 賢いねー可憐ちゃん」
「あー!」
よく自分の名前を呼ばれるからか「かれん」という単語には反応するようだ。 生後6ヶ月だとそこまでいくのか?
「よちよち。 可憐もお花見楽しもうね」
「あぃ」
ちなみに可憐ちゃんは宮下さんが背中におぶっている。 可愛い顔してるぞ。
「ミアさんはこういうミスコン出るイメージも無いけどねぇ」
「たしかに。 あまり目立つのは好きじゃなさそうだけどな」
「オリンピックとかで活躍してるし、今更でしょ」
「それもたしかに」
ちなみにミアさんは亜美や月島さんに良く似た顔をしていたりする。 3人の顔を横に並べると面白い絵面になるんだぞ。
しばらく宴会しながら待っていると、エントリーを済ませた4人が帰ってきた。 4人はミスコンに参加する為、お酒は控えるようだ。
「おかえりお姉ちゃんー。 ミスコン頑張れー」
「まあ、頑張ってはみるわよ」
「他の参加者もかなりいたわよん。 花見客多いから、その分参加者も増えてるんでしょ」
「なるほど。 まあ、ここから見えるだけでもかなりのお客さんいるもんね」
「舞ちゃんも出なよー」
「私は無理無理無理無理!」
「だはは。 青砥さんはああいうの苦手そやもんな」
「苦手ですよ」
「なはは。 青砥先輩も目立つのは苦手なんですねー」
「かなり苦手」
「私達が目立ちたがり過ぎなのよねーん」
「言えてるわ」
たしかにうちの女子達は大体が目立ちたがり屋だなぁ。 目立つのが苦手なのは希望ぐらいじゃないだろうか?
「冴木さんはどや?」
「目立つのは別に構わないんですが、私がミスコンに出たところで大した結果も残せないですよ」
「そうですか? 冴木さんは結構良いところまで行くと思いますが?」
マリアちゃんが素直にそう言うが、冴木さん自身は「そんなこと無い」と笑いながら答えた。 冴木さんも見た目偏差値は悪くないと思うが……。
「この周りの人達を見たらさすがに」
「きゃはは!」
「まあ、私達美人過ぎるし」
「おほほ。 それは仕方ないですわよー」
と、調子に乗る奴もいたのだった。
◆◇◆◇◆◇
「いやいや。 食べた食べた」
「腹一杯やな」
「満足したな!」
「だな!」
かなりの量あった弁当はすでに食べ尽くされている。 後は軽くお酒を飲みながら、ミスコンが始まるまで談笑している。
最近俺達と行動するようになった青砥さんも、随分と馴染んできたらしく、麻美ちゃんや新田さんと仲良く話したりしている。
「賑やかで良いよねぇ」
「だな」
こんな風に大勢で集まる機会はたしかに減るだろうが、それでも完全に無くなる事はないだろう。
「そうそう。 皆が酔い潰れる前に連絡させてもらいますわよ」
「何よ、連絡って?」
「5月連休に山登りをしたいと思います」
「お、富士山以来やな」
「山!」
「何山ー!」
「雲取山という山にするつもり。 泊まりでね」
「じゃあ本格登山だね」
「そうなるわね。 皆さん、そのつもりで体力作り方とかもしておくこと」
「はーい」
「青砥さんとか冴木さんは登山道具揃えないとね」
「そうですね」
「高そう……」
奈央ちゃんから発表があった登山。 富士山以来の本格登山という事で、気合いを入れないとダメそうだな。
公園ではミスコンが行われるようだ。
「亜美だよ。 今回のミスコンは私は見るだけだよ」
「はぅ。 私もぅ」




