第1782話 連日の宴会
大宴会続いているが、亜美はほとんど酔い潰れている。
☆奈々美視点☆
亜美と夕也の入籍&誕生日パーティーが行われている「皆の家」。 人数も多く、大宴会となっているわ。 ちなみに、主役の1人である亜美は既に酔ってふわふわになっているわよ。
「奈々ちゃんはぁ、ゴリラなんだよぉ」
「……」
「ま、まあまあ、亜美は酔っ払ってんだ。 大目に見てやってくれよ」
「わ、わかってるわよ」
「なはは。 最近ではあまり見れない亜美姉だー」
「酔ってないよぉ〜」
「まあ、亜美は酔っ払っても周りに害が無いから良いが」
「きゃはは。 私は実害出まくりだものねー」
「紗希はマジでヤバイからな」
「新歓とかで飲んじゃダメですわよ?」
「気を付ける」
私も酔うと人に絡むようになるみたいだし、外ではあまり飲み過ぎないようにしないと。
「こないなジュース、いくら飲んだかて酔わへんやろ」
「それは弥生っちだけ」
「ワハハ。 ヤヨイはシュゴウやからナ」
「カッコイイでス」
「そ、そうですか?」
さて。 他の皆はそれなりに節度を守りながらお酒を飲んで、この大宴会を楽しんでいる。
「そや、2人は式の日取り決まったんか?」
「俺と亜美か? 6月11日の予定で進んでる」
「進んでるよぉ〜」
「亜美は黙ってなさい」
「黙るよぉ〜」
酔っ払っている亜美はかなりバカになる。 普段とはまるで別人ね。
「三山んとこは?」
「6月25日だ」
「うへー。 月に二回も結婚式出るんか……」
「中々無いですよね、そんな機会」
「まあ、奈央ちゃんと春人の結婚式みたいなのじゃないからまだ楽だと思うぜ」
「私達はどうしても呼ばないといけない人が多かったので」
「ですね」
あれだけ大物だらけだと、私達も肩身が狭かったわよ。
「藍沢さんとこも早く結婚しちゃいなよ」
「そやそや。 婚約までしとるし、藍沢さんかて大学出たんやし、いつでもいけるやろ?」
「そりゃいつでもいけるけど」
「まあ、年内には籍入れるかってぐらいにしか話をしてないからな」
「具体的な日は決めないわけ?」
紗希が首を傾げながら訊いてきた。 具体的な日ねぇ。
「まだ決めてないわよね」
「だな。 まあ10月とかその辺で良いんじゃないのか?」
「て、適当なんですね」
「この2人は昔からこうですわよ」
「どっちもサバサバしてんのよ」
「別に良いでしょ……」
とまあ、こんな感じで私と宏太に関してはまだ詳しくは決まっていない。 慌てる必要は無いわ。
◆◇◆◇◆◇
宴会も終了が近付いてきたところ。 亜美は完全に寝落ちしてしまっているわ。 希望に抱きついたままスヤスヤと眠っている。
「こうやって見ると微笑ましいですわね」
「本当、仲良し姉妹よね」
「血が繋がってないとは思えないな」
「すぴー」
「すやー」
「さて! 明日もまだお花見がありますし! 今日のところはこれでお開きにしましょう」
「だなー」
「片付け片付け」
テキパキとテーブルの上を片付けていき、15分程で宴会の跡はすっかり無くなったわ。 後は亜美と希望を寝室に運んでおしまいね。 私が希望を連れて行き、夕也が亜美を連れて行く。 希望、軽いわね。
◆◇◆◇◆◇
翌朝よ。 今日は昼からお花見って事で、早起きして弁当を作るわよ。 ある程度は西條グループの力で準備するみたいだけどね。
「おはよう奈々ちゃん」
「え、早っ?! てか、あんだけ潰れてたのに平気なわけ?」
キッチンに顔を出すと、そこでは既に亜美と希望の姿があった。 亜美なんか、ケロッとしてるわよ。
「大丈夫だよ。 かなり鍛えられてきたみたいだよ」
「嘘でしょ……」
「はぅ。 亜美ちゃんはこんなところも化け物なんだ」
「人間だよ」
本当、何もかもが規格外なんだから……。
「ささ、朝ご飯とお花見のお弁当を一気に用意するよ」
「頑張るよぅ」
「はいはい」
3人でやるには大変だったが、途中で紗希と弥生もやって来て、何とか5人体制で作業を進める。
「今日はどこ行くんやろ?」
「奈央曰く、西條グループが運営してる公園に行くらしいわよん」
「何? 公園を運営って?」
「知らないわよ。 ただ、季節の植物を楽しめる場所だって言ってたわ」
「さ、さよか」
西條グループは何でもやってるわね。 その辺のおばあちゃんがやってるたばこ屋でさえ、西條グループの傘下の可能性があるわよ。
「西條グループは手広く何でもやるからねぇ」
「やり過ぎだって言ってんのよ……」
「きゃはは。 敏腕秘書の亜美ちゃんもこれから大変よね。 頑張ってちょ」
「あはは……頑張るよ」
亜美ならまあ大丈夫でしょ。
「今日は参加者多いね」
「宏ちゃんも前田さんもお休みもらったって言ってたしね。 全員参加だよ」
青砥さんもかなり私達との付き合いに慣れてきたみたいだし、どんどん賑やかなになるわね。
◆◇◆◇◆◇
お昼前には全員でバスに乗り込み、お花見会場となる西條グループ運営の公園へ向かう。 バスで1時間と中々の距離よ。
「例によって他のお客様もいらっしゃるので、迷惑はかけないように」
「はーい」
バス内で奈央からの注意事項を聞き終えたら、到着までは何もやる事がない。 早起きしていた希望は、早くも寝落ちを決めこんでいる。
「夕也兄ぃ! ババ抜きの特訓するぞー!」
「おう!」
また性懲りも無く無駄な事をしているのもいるわね。 未だに自分達の弱点に気付けないなんて。
ミアさんとキャミィが巻き込まれているわ。
「奈々ちゃん奈々ちゃん」
「何よ?」
隣に座る亜美が話しかけてきたので、そちらに耳を傾ける。
「ちょっと相談良い?」
「相談? 久しぶりね、亜美からの相談なんて」
「そんな難しい話じゃないんだよ。 私が今度書こうと思う新作小説の話なんだけど」
「小説? 私が何か力になれるとは思えないんだけど?」
「いやいや。 簡単な事だよ。 ヒロインのモデルになってほしいんだよ」
「はぁ? ヒロインのモデル? 私が?」
「うん。 ヒロインは頼りになる強い女の子なんだよ。 ちょっと怪力なところもある感じにしようかと」
「そんなの私じゃないでしょ? 私はお淑やかでか弱い女よ?」
「何言ってるんだお前は。 怪力女なのは間違いないだろうが」
「宏太は後で覚えておきなさいよ。 あと、亜美も」
「どうしてかな?! 私はモデルをお願いしただけだよ?!」
「キャラの設定がナメてる」
「奈々ちゃんをイメージして設定したんだけどなぁ」
亜美の中では私は怪力女なのね。
「ウホホ!」
むかついたので「ぺし!」っと亜美の額にデコピンを食らわせやる。
「痛っ! 痛いよぉ! おでこに穴が空いたんじゃないかな!?」
「空くわけないでしょ。 まあ別にモデルになるぐらいは良いわよ」
「痛いよぉ! ありがとうだよ! 痛すぎで死にそうだよ! 良い作品書くよ!」
痛がりながらお礼もしてくるとかいう、無駄に器用な事をする幼馴染であった。
キャラ設定はどうあれ、ちょっと楽しみね。
翌日はお花見。 西條グループ運営の公園へ移動。
「遥だ。 連日の宴会だな!」
「社会人なのに変わらないねぇ」




