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第175話 隠し味

今井家に残ったメンバーで、夕飯の準備に取り掛かる女子組。

作るのはカレーのようだ。

 ☆亜美視点☆


 映画観賞が終わり、夕飯の準備を始める私達。

 夕ちゃんの家でご飯を食べていくのは、奈央ちゃん、紗希ちゃん、遥ちゃん、渚ちゃんの4人。

 そして、紗希ちゃんと奈央ちゃんのが夕飯の準備を手伝ってくれる事になった。


「亜美ちゃーん、今日の献立はー?」


 キッチンに入ると、紗希ちゃんが早速訊いてくる。

 今日はこれだけ人数がいるし、皆で楽しく食べられる物が良いね。

 たしか、カレールーがあったはず。

 私は冷蔵庫を開けて、材料の確認をする。


「よし、カレーにしよう」

「おっけー」

「じゃあ私は野菜切っていくわね」

「私は渚ちゃんと、付け合わせのサラダを作るね」

「ご飯でも炊いてよっと」


 役割を分担してテキパキと作業する4人。

 あれ、私やる事ない?

 手持無沙汰になってしまったので、先生として希望ちゃんと渚ちゃんのサラダ作りを見てあげることにした。

 といっても、サラダ作りなんて特に難しくもないよね。

 仕方ない、夕ちゃんと遥ちゃんとお話でもしてようかな?

 皆に一言告げて、リビングへと向かう。


 リビングでは夕ちゃん達が、テーブルを戻してソファーを運んでいた。

 よーし、私も手伝うよ。


「手伝うよ」

「うお? 夕飯の準備は?」


 私が急に声を掛けたら、夕ちゃんはびっくりしたような声を上げた。


「うーん、私やる事無さそうだったから」

「そうか。 じゃあ、そっちのソファーを頼む」

「らじゃだよ」


 私は、部屋の端っこに追いやられているしソファーの1つに手をかけて持ち上げ──。


「んんーっ! ちょっと重いー」

「何だ何だ? 非力だねー」


 遥ちゃんは楽々運んでいるのに、私はヨタヨタとしていてこけそうだ。

 なんとか、夕ちゃんが示した場所まで運び終えた。


「ふぅ」

「お疲れお疲れ」

「亜美ちゃん、もっと鍛えなー」

「わ、私はこれで良いよ……パワー系女子枠は奈々ちゃんと遥ちゃんに任せるよ」

「人をゴリラ女みたいに……」

「さすがにそこまでは言ってないんだけども」


 まあ、でも奈々ちゃんは本当に凄い力持ちだし、きっと化け物に違いないよ。

 いつも私を人外扱いするから、私が奈々ちゃんを人外扱いしても良いよね。


「奈々美に変な事言ったら、制裁のグリグリされるぞ」

「ひぇっ?!」


 奈々ちゃんのグリグリは、こめかみがえぐれるかと思う程痛いんだよねぇ。

 奈々ちゃんの耳には入らない様にしよう。

 私はソファーに腰かけて、背もたれにもたれかかる。

 

「遥ちゃんはさぁ、女の子っぽくすれば美人だしモテると思うんだよねぇ」

「モテてるよ。 女子からね……」


 遥ちゃんはどよーんとした顔でそう言い「この際、女子でも……」とか危ないことを口走っている。

 夕ちゃんは「ははは……」と乾いた笑いを上げている。


「筋力鍛えるより女子力を鍛えよう遥ちゃん! まずは髪を伸ばすとこから!」


 それだけで雰囲気が変わると思うんだよね。

 散々奈央ちゃんや紗希ちゃんからも言われてるはずなんだけど、全然その辺を実行してくれない。


「んー……でもねぇ」

「よし! じゃあエクステとか試してみたら?」

「つけ毛みたいなやつ?」

「そうそう! 雰囲気変わると思うよぉ」

「んー……」

「ほらほら、夕ちゃんも推して」

「ん? 俺? んー、まぁ、一回やってみたらどうだ? 恋人欲しいって奈々美にも相談してるんだろ?」

「あ、あいつぅ……」


 あ、内緒だったんだ。

 奈々ちゃんが、普通にバラしてたんだけど……。


「んー、今は使えるお金あんまり無いし、保留ってことで──」

「ふっふっふー……」


 背後から、そんな声が聞こえてきた。

 振り向くと、奈央ちゃんが某家政婦さんの様に顔を半分だけ出してこちらを見ていた。


「お金の心配はいらないわよ遥。 私に任せなさい」

「な、奈央?!」

「今度良いとこに連れてってあげるわ! うふ、うふふふ」


 どうやら話が聞こえていたようだ。

 奈央ちゃんによる、遥ちゃん改造計画が始動しようとしている。

 実は結構楽しみだったりして。


「それよりほら、遥も夕飯の準備手伝いなさい。 皿出すぐらいならできるでしょ」

「あーい」

「あ、じゃあ私も」

「亜美ちゃんは良いのよ。 今井君とお話でもしてて」

「え? でも……」

「いいからー」


 そう言って、奈央ちゃんは遥ちゃんとリビングを出ていった。

 もしかして、私と夕ちゃんを2人にしてくれたのかな?

 なんてね。


「夕ちゃんはさ、遥ちゃん女の子っぽくなったら綺麗になると思うよね?」

「まぁ、なるんじゃないか?」

「だよね」


 って、何で他の女の子の事話してるんだろう。

 もっと自分をアピールしていかないと。


「ね、修学旅行一緒に行動しようね?」

「ん? おう。 てかいつものメンバーで回るだろ?」

「そうだね」


 自由行動は特に班決めなどもなく、クラス外の友人とも回って良いことになっている。

 当然、いつものメンバーになるよね。

 そして行き先は古都京都。

 行ってみたかったんだよねぇ。

 

「楽しみだよねぇ」

「そうだな」


 さすがに弥生ちゃんとは待ち合わせたりできないよね?

 そうだ。 京都観光のアドバイスを、今度電話で聞いておこう。

 清水寺は外せないね。 私の苗字と同じお寺だし絶対に行くよ。

 あとは足を伸ばして、伏見稲荷神社とかも行きたいかな?

 

「本当に楽しみにしてんな」

「うん」


 行ってみたいとこベスト3だよ。

 あと2つは沖縄と北海道。 ありきたりかな?

 

 ◆◇◆◇◆◇


 夕飯が出来て、皆でカレーを食べる。

 今日は私は何もしていない。 紗希ちゃんと奈央ちゃん合作のカレーと、希望ちゃん渚ちゃん合作の野菜サラダ。

 カレーは市販のルーを使ったものだから、私が作ったのとそこまで味が変わるなんてことは……。


「っ!?」


 一口食べて激震する。


「え、美味しい……何で? 同じ市販のルーでしょ?」

「ふふ、ちょっと隠し味をねー」

「紗希ったら教えてくんないのよ」

「隠しだからね。 神崎家の秘密なのよ」


 紗希ちゃん、この前の出汁巻き玉子でもそうだったけど、紗希ちゃんは何か独自の隠しレシピを持っているようだ。

 それにしても美味しい。


「うめぇ、柏原君も幸せ者だなぁ」

「今井君もでしょ」


 すると、夕ちゃんは私と希望ちゃんの顔を見て「違いないな」と言うのだった。

 渚ちゃんは渚ちゃんで、私達先輩に囲まれて小さくなりながら「美味しい……」と呟いていた。

 サラダも何か隠し味でもあるのか、いつものドレッシング以外の味がする。

 こちらは渚ちゃんの隠し味らしい。

 私も独自のレシピはいくつかあるけど、皆も持ってるんだねー。

 あ、そうだ。 いい機会だから奈央ちゃんに訊いてみよう。


「ねね、奈央ちゃん。 今年は連休に旅行行かないの?」

「んん? そうねぇ、前半アメリカに行っちゃうけど……行きたいって言うなら、後半で良いなら行く?」

「おお!、出来れば行きたいよ」

「んー、了解。 去年は山だったし今年は海行きましょ。 潮干狩り出来るとこ予約しとくわ」

「わーい」

 

 今年も皆でお出かけだよー。


「ええと、私とか麻美も良いんですか?」

「いいわよー」


 今年は渚ちゃんと麻美ちゃんも加わって賑やかな旅行になりそうだよ。

 これも楽しみである。

 

 食後は帰る皆を夕ちゃんが送っていくようだ。 女の子だけの夜道は危険だからね。

 でも結構な人数を送ることになるね。

 位置関係的には先に紗希ちゃん、奈央ちゃん、遥ちゃんの方面へ行き、最後に駅前の渚ちゃんのマンションかな?

 私と希望ちゃんはついて行くつもりもないので、そのまま自宅へと戻った。

 その日は久々に、希望ちゃんと一緒にお風呂に入ってゆっくりとお話をした。

連休に旅行の計画が立った。

今年は潮干狩りだそうです。


「亜美だよ! やったー皆で潮干狩りだよ。 小さな頃に夕ちゃんの家族と合同で行った記憶があるなぁ。 楽しみだよ」.

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