第1770話 結婚披露宴
奈央と春人の結婚式と披露宴の当日。
☆奈央視点☆
本日はいよいよ私と春人君の結婚式。 籍自体は大学を卒業後に入れているので、すでに戸籍上では夫婦な私達。 春人君が婿養子という形になっている。
「春人君。 支度は済んでいます?」
「はい、大丈夫です」
「では行きましょうか」
「はい」
式場へは西條家の私有車で向かう。 9時過ぎには式場に到着する予定ですわよ。
「お嬢様、行ってらっしゃいませ」
「行ってらっしゃいませ」
部屋を出ると、屋敷の侍女達から見送られている。 何か照れますわねー。
◆◇◆◇◆◇
西條ブライダルに到着した私達は、新郎新婦それぞれの控え室に別れて、式の準備に入る。 私はメイクやドレス等ね。
「お嬢様。 今日もお綺麗ですね」
「おほほ。 ありがとう」
女子の方は色々と時間もかかって大変なので、早めにやって来たというわけよ。 まあ、これが普通らしいけど。
「ドレスをお持ちしました」
「ありがとうございます」
「綺麗なドレスですよね。 お嬢様によく似合いそうです」
「でしょう? 私の親友がデザインしてくれた私専用のドレスですわ」
「そうでしたか。 そういうものも良いですね」
「でしょ」
そんな感じでドレスの着付けを進めていく。 手伝ってくれている女性は、私専属の人よ。 パーティー等の際に、ドレスの着付けやメイクを引き受けてくれる人よ。 歳も近くてフレンドリーに接してくれるので、私としても助かっている。
◆◇◆◇◆◇
12時過ぎには春人君が私の姿を見に来てくれるたわ。
「おお……綺麗ですね」
「ふふ。 ありがとう」
「いつもとは雰囲気変わりますね。 神崎さんがデザインされたドレスも良く似合います」
「紗希の奴、本当に凄いデザイナーよね。 キャラクターデザイナーになりたいなんて言ってるけど、他のデザインだって出来るわ」
「きゃはは。 ドレスとか他のデザインも、全部キャラデザやる為には必要だからねー」
「あら、紗希? もう来たの?」
「皆ももう来てるわよん」
「やほほだよ。 うわわ!? 奈央ちゃん凄く綺麗だよ!?」
「本当、ドレスが奈央にぴったりだわ」
「ふふん。 そりゃ私がデザインしたんだもの。 当然よ当然」
「私も紗希にデザインお願いしようかしら?」
「仕事の合間に出来るかわからないわよん?」
「あ、そっか」
「冗談冗談。 依頼してくれたら格安でやるけど」
「考えておくわ」
奈々美も私の着ているドレスを見て、紗希にデザインするか考えたみたいね。
他の皆も、私のドレス姿を見て感動していたわ。
◆◇◆◇◆◇
13時。 いよいよ式が始まった。 私はお父様と共にヴァージンロードを歩き、半ばで春人君の手を取り神父様の前へ。
式自体は普通の神前式で進む。 指輪の交換や誓いの口付けを交わし、約30分の式を終える。
この後は会場を移動して、披露宴が始まる。 私は軽くお色直しをするわ。 紗希のデザインしたドレスの凄いところは、お色直しにも対応したデザインになっている事。 各パーツが取り外し可能となっていて、重たいドレスから軽いドレスに変わるのよ。
お色直しを終えて披露宴会場に入ると、参列客様達はそれぞれの席に着いて、談笑を始めていた。
「えー。 新婦様がお戻りになられましたので、これより西條家、北上家の結婚披露宴を執り行います」
「奈央ー! ゴンドラで上から降りてくるかと思ったのにー!」
「しませんわよ?!」
まったく紗希は……。 よくまあこの場で臆せずにあんな事を言えるわね。 周りには大物政治家だっているのに。
「ははは!」
しかもウケてるし。 あの子は本当、昔から変わらないわね。
「では最初に。 西條奈央様、春人様の昔のお写真等を拝見しつつ、思い出を振り返っていきましょう」
はぁ。 いきなりこれなんですわよねー。 昔の話なんて黒歴史ばかりだけど、誰が私の過去話なんてものをタレコミしたのかしら?
「こちらはお嬢様が幼稚園に入園された時のお写真ですね」
「うぅ。 恥ずかしいですわね」
「お嬢様は最初、市内にあります聖マリアンヌ幼稚園へご入園なされましたが、肌に合わないとごねてすぐに別の幼稚園へと転園されました」
「うっ」
く、黒歴史ですわ。 幼稚園時代の話なんて黒歴史しかないわよー!
「こちらは奈央様の親友、神崎紗希様とお撮りになられた1枚です。 幼稚園時代の遠足の一幕のようです」
「あんな写真何処に……」
我が家にあったかしら?
「お写真の提供は神崎紗希様からでございます」
「きゃははー!」
「紗希ーっ!?」
わ、私の家に無くても紗希の家にあるってことー?! へ、変な写真とか無いですわよねー?!
◆◇◆◇◆◇
「以上で、お2人の写真での思い出振り返りを終わります」
プシューッ……
は、恥ずかしくて死ぬかと思いましたわ。
この振り返りコーナーの後、私達新郎新婦の簡単な自己紹介を挟み、乾杯となる。 会食タイムを利用して、私と春人君は各テーブルを回り、出席の感謝とこれからのお付き合いのお願いをしていく。
友人席には最後に回る。
「おー、奈央ちゃんお疲れだねぇ」
「これだけ回る席が多いとね」
「きゃはは。 この後はどうすんの?」
「私は会食タイム中にお色直しよ。 その後はケーキ入刀、姫百合さんのミニライブに、私からの手紙の朗読かしら」
「なるほど」
「ゆりりんのライブやるんか」
「えぇ。 早い段階からお願いしてありましたわよ」
「そういえば姫百合さんは?」
「姫百合さんはあっちの芸能関係者さんの席よ」
「そかー。 こっちじゃないんだ」
「まあまあ。 会食を楽しんでちょうだい。 私はこれからお色直ししてきますわよー」
「いってらっしゃいー」
やっぱり友人席に行くと和むわね。 さて、お色直しお色直し。
◆◇◆◇◆◇
ケーキ入刀や姫百合さんのミニライブ。 手紙の朗読に春人君からの締めの挨拶も終わり、結婚披露宴も終了。 私は着替えを終えてロビーで伸びていた。
「つ、疲れましたわねー」
「ですね」
結婚式と披露宴て結構疲れるものなのね……。
「とりあえず肩の荷が下りた気分ですね」
「そうねー。 今後の亜美ちゃんや宮下さんの為に色々とアドバイスしてあげないと」
「ですね」
春人君と2人でボーッとしていると、騒がしい声が聞こえてきた。 どうやら友人達が近付いて来たみたいね。
「奈央お疲れー!」
「お疲れですわよー」
「あはは。 かなりやられてるねぇ」
「結構疲れますわよ。 亜美ちゃんと宮下さんも今から覚悟しておいた方が良いわよー」
「うわはは。 助言助かる」
「でも、式も披露宴も凄く良かったわよ。 私の時も参考にさせてもらうわ。 ね、宏太?」
「いつになるやらだがな」
皆からも労いと祝いの言葉をもらい、少し休んだ後で解散となった。 私と春人君は来た時と同じく私有車で直接帰宅ですわ。
あと、今日着たドレスは持って帰りますわよ。 大事な宝物になりますわね。
式と披露宴が終わり一段落。
「紗希よん。 良かったわよ奈央! 私のデザインしたドレスも素晴らしい出来だったわ」
「紗希には色々と感謝してますわよ」




