第1746話 スキーを楽しもう
スキー場に出て来た亜美達。
☆亜美視点☆
突如決まった清水家と藍沢家合同旅行。 久しぶりという事もあり、私も楽しみにしている。 やって来たのは長野県のスキー場。 私のお母さんと藍沢家のおばさんが、勝手にノリノリで決めてしまったらしいよ。 この2人は、私と奈々ちゃんのように幼い頃からずっと仲良しの大親友なのだとか。 私の両親が東京へ引っ越してしまって以来、中々顔を合わせる事が出来なかったようだけど、連絡は密に取っていたらしい。
さて、ホテルのレストランでお昼も食べた事だし、早速スキーをしに行こう。
「ウェアとか板はレンタルだねぇ」
「そうね」
自分専用のスキー道具なんて持ってないからね。 ホテルのフロントで借りられるから、自分に合った物を借りようね。
「なはは。 渚イクゾー」
「ち、ちょい待ち!? 私、上級コースは無理やで!」
「大丈夫大丈夫! なはは!」
渚ちゃんは早速麻美ちゃんに引っ張られて行ったよ。 大丈夫かなぁ?
「希望も上級は無理よね?」
「ぅん。 というか、久しぶり過ぎてちゃんと滑れるかどうか……」
「じゃあ、まずは初心者向けコースで探り探り滑ろうねぇ」
「良いのぅ? 亜美ちゃんは上級じゃないと物足りないんじゃ?」
「希望を1人にはしとけないでしょ? そんなこと気にするんなら、さっさと上級に行けるぐらい上手くなりなさい」
「はぅ。 頑張ってみるよぅ」
で、ちなみに私達の親達はというと、お父さん組は中級者コースへ、お母さん組は上級者コースへ向かっていったよ。 私と奈々ちゃんのお母さん達は、意外にも運動神経が良いのだ。 とは言っても常人レベルではあるけどね。 奈央ちゃんみたいな化け物じゃないよ。 ちなみにちなみに私は人間だよ。
「じゃあ、とりあえず希望の滑りを見てからね。 ボーゲンは覚えてる?」
「ハの字のやつだよね?」
「うんうん」
「よぅし」
気合いを入れて滑り出した希望ちゃん。 おっかなびっくりな出だしではあったが、どうやら基本的な事は覚えているらしい。 ボーゲンは問題無くクリアである。
「そのままターン出来る?」
「えっと、曲がりたい方向と逆の足に体重をかけて」
「そうそう」
さすがは希望ちゃん。 普段は鈍臭いところがあるけど、運動神経は良いのである。 これなら初級のロングコースで滑れるだろう。
◆◇◆◇◆◇
というわけで初級者用のロングコースへやって来たよ。 斜面の傾斜角もそれ程キツくなくて、横幅も広いコースだ。 ボーゲンでスピード調整しながらゆっくり滑るにはちょうど良いだろう。
「じゃあ、ゆっくり行こうね」
「ぅん」
「焦んなくて良いわよ」
「はぅ」
私と奈々ちゃんもボーゲンでついて行き、希望ちゃんの滑りをチェック。 かなり慣れてきたのか、最初ほど強張った様子はない。 特に問題も無く、初級者用ロングコースを滑り降りた。
「うんうん。 やるねぇ」
「これならパラレルに移行しても良さそうね?」
「だね」
「パラレルって?」
「皆がやってる、スキー板を平行に合わせて滑る滑り方だよ」
「はぅ、かっこいい滑り方のやつ!」
「そうね」
ボーゲンは完璧だから、このままパラレルの練習に移行しよう。
「どわわわ?!」
「なはははは! 良いぞ渚ー!」
「速い速い!」
「ブレーキ!」
「ふんぬっ!」
ザザザーッ……
「はあ……はあ……死ぬか思うた……」
希望ちゃんにパラレルを教えてあげようとしたところに、上級コースから滑り降りて来た麻美ちゃん、渚ちゃん。
「な、渚ちゃん? 大丈夫?」
「大丈夫やないです……」
「なはは! 渚も練習した方が良いかー」
「だから言うたやろ?! いきなり上級コースなんか連れて行きよってからに!」
「まあまあ、落ち着きなさいよ。 渚、これから希望にパラレルを教えるから一緒に来なさい」
「あ、はい」
「なはは。 しょうがないなー」
結局皆で集まって、希望ちゃんと渚ちゃんの練習に付き合う事になったのである。
◆◇◆◇◆◇
パラレルの練習を開始してから約1時間半。
「はぅ! はぅ! はぅ!」
独特なリズムの取り方ではあるが、パラレルからのターンまで習得した希望ちゃん。 さすがの運動神経だよ。 渚ちゃんももう少しでマスター出来そうだ。
「よし! じゃあロングコースで滑ってみよう」
「ぅん!」
「はい!」
「なはは! 頑張れ2人共ー」
「あんたもついて来るのよ」
「のわわー」
というわけで、皆でリフトに乗り初級者用ロングコースへ。 これが滑れれば基礎は完璧と言えるだろう。 少しずつ難易度の高いコースに慣れていけば良い。
「よぅし! それ! はぅ! はぅ! はぅ!」
相変わらずリズムの取り方は独特である。 まあ、可愛いからいっか。 渚ちゃんもしっかりターンでスピードを調節しながら滑れているようだ。
「なはは! 直滑降ー!」
麻美ちゃんはさすがに上級者。 ターンを入れずに斜面を真っ直ぐ滑り降りて行く。
「麻美らしいわね」
「だねぇ」
そのまま私達も下まで滑り降り、パラレルの練習を終了とした。 後は自由に滑ってもらおうね。
ザザーッ!
「うわわ?!」
「ふぅ。 あら、奈々美達。 楽しんでる?」
凄い勢いで降りて来たのは奈々ちゃん達のお母さんである。 その後すぐに、私のお母さんも滑り降りて来た。 どうやら上級コースを往復しているようだ。
「今、希望ちゃん達に教え終わったところ。 今から私も楽しむよ」
「亜美。 あっちにモーグルコースがあったわよ」
「モーグルってあのデコボコしたコースを滑るやつ?」
「冬のオリンピックとかで見るやつー?」
「うん。 よーし、行ってみよう」
「そうね」
「なははー!」
まだしばらく初級者コースで練習するという希望ちゃん達とは別れ、私達はモーグルコースへと向かうのであった。
◆◇◆◇◆◇
「おー!」
「これはちゃんとした競技規格のコースっぽいね」
「あのジャンプ台から飛んで、技とか決めるのよね?」
「うん」
「亜美姉見せてー!」
「いいよ」
というわけで早速。 滑降を開始だよ。 コブに合わせて膝を曲げたり伸ばしたりし滑っていくよ。 そして最初のジャンプ台でジャンプ!
「てやっ!」
ここではコザックという技をするよ。 空中で大きく開脚する技だよ。 これぐらいは余裕余裕。 着地してまた滑り降りるよ。
「てやてやてや」
さて、2つ目のジャンプ台だ。 ここはコークスクリュー1080という大技を見せるよ。
「てやぁ!」
この技は空中で体を横に回転させる技だ。 1080と呼ぶ通り360°回転を3回、つまり3回転技だ。
着地の姿勢も決めて、ゴールまで滑り降りる。
ザザーッ!
「ふぅ」
終わったので、頂上にいる皆に手を振る。 麻美ちゃんが「なははー! さすが亜美姉凄いー!」と叫んでいる。 どうやら次は麻美ちゃんが挑戦するようだ。 麻美ちゃんもスキーはかなり上手いし、これは期待大である。
亜美はモーグルも出来るようだ。
「遥だ。 まあ、わかってはいたさ」
「昔練習したからね」




