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第172話 亜美と希望の考え

今度は夕也と亜美が、マジカルコースターに乗ることに。

このマシンも去年乗った、マジカルカップ同様に……。

 ☆亜美視点☆


 私と夕ちゃんは、ベンチで休む希望ちゃんを置いてマジカルコースターというアトラクションにやってきた。

 まあジェットコースターだよね。

 乗り物がカボチャなんだけど。


「夕ちゃん楽しみだね」

「そうだな」


 待っていると、順番が回ってくる。

 さて、このマジカルコースターも、マジカルカップのように悪魔的なアトラクションで名を馳せている。

 そう、これも途中で減速したり加速したりするマシンなのだ。


「ドキドキ」

「舌噛むなよ」

「うん」


 安全バーを下げて、スタッフから注意事項を説明された後で、コースターが動き出す。

 徐々に高度が上がっていき、最高地点から一気に下る。


「きゃーっ」

「うおおおお」


 中々の勢いだよぉ。

 とか思っていると、坂を下ったところでいきなり速度が下がる。


「うわわわぁ」

「うげぇ」

「ひゃうぅぅん!」

「ぬおー!」


 やばいやばい、想像以上にこれはやばいよ!

 体がグワングワン振られる。

 そりゃこれだけガチガチに頭やら体を固定されるわけだよ。

 無かったら鞭打ちになっちゃうよ。


「ぐおおおお」

「いやー!」


 カーブ中に減速がかなりきついよぉ。 マジカルとか言ってる場合じゃないよこれー。



 ◆◇◆◇◆◇



「ぜぇぜぇ……」

「はぁ…はぁ…」


 終わった後の私と夕ちゃんがこれである。

 お互い軽く20歳は老けたような見た目になっている。


「おかえりー。 って、大丈夫?」

「ち、ちょっとダメ……」

「俺も休ませてくれ」

「う、うん、どうぞ」


 私と夕ちゃんは、ベンチに座る。


「ゆ、夕ちゃん……想像以上だったね?」

「あぁ、希望が乗ってたら魂抜けてただろうな」

「はぅ……」


 10分程休んだ後で、ゆっくりと立ち上がり次へ移動することにした。

 次はちょっと小休止、売店を見に行くよ。

 ということで、売店が建ち並ぶエリアへやってきた私達。

 ポップコーン屋とかお土産屋が一杯だ。


「あ、このぬいぐるみ可愛い」


 私が手に取ったのはマジカルランドマスコットの顔である、マージー君というキャラのぬいぐるみ。

 見た目は黒猫さんだ。

 猫好きの私にとっては中々ストライクだよ。


「た、高い……」


 どうしてこういうところの物って、こんなに高いのだろう……。

 夕ちゃんの誕生日プレゼントに、バッシュを買った所為でそんなにお金も無いのだ。

 でも、ここでしか買えない物だし。


「……」


 私は、そのぬいぐるみを棚に戻す。

 あまりお金は使えないから、仕方なく諦めることに──。


「亜美、割り勘で良いなら俺も出すぞ? バッシュ買おうと思って貯めてた分があるんだ」

「良いの?」

「おう」

「じゃ、じゃあ私も欲しいな!」


 希望ちゃんも入ってくる。

 夕ちゃんは「仕方ないなぁ!」と言って、私と希望ちゃんの頭をぽんぽんと叩く。

 私と希望ちゃんは、2人で別のキャラのぬいぐるみを手に取る。

 当然私はマージー君で、希望ちゃんはその恋人の白猫カールちゃんを選んだ。

 夕ちゃんとの割り勘をでぬいぐるみを購入。

 希望ちゃんの分も割り勘になったので、結局夕ちゃんはぬいぐるみ1つ分と変わらない金額を支払ったことになる。


「ありがとう夕ちゃん」

「ありがと」

「おう。 気にすんな」


 部屋に飾っったら少し賑やかになるね。

 さて、あとは売店をぐるっと回って冷やかしタイム。

 売店エリアを出た後は、中央のステージへ移動。

 もうすぐ、マスコット達によるマジカルショーが始まるらしい。

 私達は出遅れて後ろの方になってしまった。


「何とか見えるね」

「うん」

「お、始まったぞ」


 ステージの上では、マスコット達が芸をしたりマジックを披露したりしている。

 あんなマスコットを着てバック転したり、良くできるなぁ。

 ステージは終始大盛り上がりで、フィナーレを迎えた。

 私も他のお客さんも満足の内容だった。


「あれ、凄かったよね? あんな着ぐるみ着てアクロバットとか、出来るものなんだね?」

「だよな。 失敗したら危ないしな」

「私は、普通の状態でもできそうにないよぅ」

「亜美は出来そうだな?」

「あはは、どうだろう? さすがに着ぐるみ着てはやったことないけど」

「そうだろうなぁ」


 さて、そろそろ時間も時間だし最後かな?

 まだ昼の15時ではあるけど、明日は明日で皆で集まって夕ちゃんの家で映画観賞となっている。

 映画のチョイスは、紗希ちゃん、奈央ちゃんに任せている。


「じゃあ、最後はやっぱり観覧車かな?」

「観覧車!」

「やっぱそうなるか」


 と、いうことで私達は観覧車に向かって移動を開始した。


「観覧車かー、夜とかだったら綺麗なんだろうなぁ」

「綺麗だったよぉ。 ねー夕ちゃん?」

「ん? そうだな。 あの日はクリスマスでイルミネーションとかもあったからな」

「むきーっ」


 そんな私と夕ちゃんのやり取りを見て、希望ちゃんが悔しそうな声を上げている。

 効いてる効いてる。


「喧嘩はするなよー」

「さすがにしないよぉ」

「あはは、ごめんね」


 とりあえず謝っておく。

 希望ちゃんは「別にいいよぉ。 あの時は亜美ちゃんも色々あって必死だったもんね」と、許してくれた。

 あの時は夕ちゃんに嫌われちゃったかと思って、色々大変だったんだよねぇ。


「ほれ、着いたぞ。 んで、2人ずつか? 3人で一緒にか?」

「え? 3人ででしょ?」

「せっかく3人で来てるんだし」


 夕ちゃんは何を言ってるのだろう?

 私は希望ちゃんと顔を見合わせる。

 夕ちゃんは夕ちゃんで、目を丸くして私達を見ている。

 どうやら夕ちゃんは、私と希望ちゃんが夕ちゃんと2人だけで乗りたがると思っていたようだ。

 それはそれで魅力的だけど、3人で来てるんだから3人で乗った方が良いに決まっている。


「じゃあ3人でな」

「「うん」」


 私達は列に並び、順番が回ってきた所でゴンドラに乗り込む。

 私が夕ちゃんと乗るのは去年のクリスマス以来。

 希望ちゃんは多分、去年のゴールデンウイーク以来だろう。

 ゴンドラに乗ってすぐ、夕ちゃんが私と希望ちゃんに話を振ってきた。


「なぁ、最近のお前達なんだが、こう……なんていうか、平和的だよな?」

「何の話?」


 意味が良く分からないので、とりあえず訊き返してみる。


「2人は、俺の奪い合いをしてるんだよな?」


 私と希望ちゃんは、一度顔を見合わせる。

 血は繋がってないけど、仲良し姉妹。

 そして今は、1人の男の子を巡る恋のライバルでもある。


「そうだよ?」

「うん」

「その割にはあんまりガツガツ来なくなったなぁと思ってな」

「そかな?」

「どうだろ?」


 私は知らないけど、希望ちゃんは結構行ってる方だと思うけどねぇ。

 お花見の時は、途中抜けしてボートに誘ってたし。


「まぁでも、私は最悪3人でずっと一緒でも良いかなって思ってるよ? ただやっぱり、夕ちゃんの1番にしてほしいって言う気持ちはあるよ?」

「私も同じかな」

「ずっと3人一緒?」

「そ、どっちとも付き合ったりせず、今みたいに3人で幼馴染として仲良く生きていくの。 どこかで小さな家でも借りて、結婚とかもせず一緒に暮らすの。 素敵でしょ?」

「そうだよね。 凄く良い未来だよね」


 きっと、それはそれで凄く幸せな未来だと思う。

 正直、無益な恋の争いをするより有益な気がする。

 けど、さっきも言ったように、夕ちゃんの1番になりたいとも思う。


「そっか……ふむ」

「だからって、それに逃げる選択は無しだよ夕也くん?」

「そうそう、ちゃんと真剣に考えて、それでもやっぱり決められないって言うなら最終手段としてだよ」

「わかってるよ……」


 夕ちゃんは、少し苦笑いをして窓の外を眺めるのだった。

 迷ってるんだね、夕ちゃん。

 夕ちゃんが幸せにしたいと思う方を選べばいいんだよ。

亜美と希望は、自分たちの考えを夕也に述べるも、3人で一緒に生きていくという選択は最終手段だと言う。


「奈央ですわ。 3人でじっと一緒に……素敵ですねわね。 きっとそれは幸せでしょう。 けれど、それでも2人は1番になる事を望む。 わかりますわー! 今井君も早く答えを出せばよろしいのに」

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