第1745話 突発! 清水家、藍沢家合同旅行
急に母から連絡が来た亜美と希望。
☆亜美視点☆
さゆりちゃん達のバレーボール教室が終わった後、夜の話である。
「え? 旅行? 土日で?」
「そう。 久しぶりに藍沢家と合同の旅行。 長野へスキー旅行」
急に母から連絡が来たと思ったら、そんな話をされたよ。 まあ、土日は教習の予約入れてないから大丈夫だけど。
「私は大丈夫だよ。 あと、マロンとメロンを連れて行っても大丈夫かな?」
「あー、ホテルがペットダメなの」
「そっかぁ……」
という事はペット達は夕ちゃんにお任せするしかないか……。
「希望ちゃんも行くでしょ?」
「ぅん」
今や立派な清水家の次女である希望ちゃん。 実は藍沢家との合同旅行には行ったことが無い。 今回が初となるね。
「という事だから、夕ちゃんはお留守番よろしく」
「あいよー」
「じゃあ、私とお父さんは9時に東京駅前で待ってるから」
「9、9時? 早いねぇ」
「これでもだいぶズラしたんだから。 あ、話は晴美にしてあるから、当日は晴美達と一緒に来なさいね」
「う、うん」
晴美というのは奈々ちゃんや麻美ちゃんのお母さんの名前だ。 2人は小さな頃からの親友同士なのだ。
「じゃあ土曜日にね」
「うん。 じゃあね」
通話を切って早速準備だよ。
◆◇◆◇◆◇
という事で翌日、土曜日だよ。 朝9時には東京に着いてないといけないという事で、私達は早めに出ないと行けない。 長野へは東京から北陸新幹線を使うよ。
「おはようございます!」
「亜美ちゃん、おはよう。 何年振りかしらねー、清水家と合同旅行なんて」
「小学生5年生の時が最後だから、もう10年以上ですねぇ」
「久しぶりよね」
「なはは! 希望姉と渚も一緒ー」
「ぅん。 藍沢家との旅行は初めてだよぅ」
「私もです」
「よろしくね、希望ちゃんに渚ちゃん」
現在藍沢姉妹と暮らしている渚ちゃんも一緒なようだ。 昔より賑やかになるねぇ。
「よし、じゃあ行こうか」
「はい!」
いつもとは違うメンバーで旅行に出発。 いつもは奈央ちゃんが一緒にいる為、移動は私有バスであったりプライベートジェット機であったりするけど、今日は電車で東京へ向かうよ。
「奈々美と麻美は上手くやってるの?」
「上手くやってるー」
「特に問題も無いわよ」
「ですね。 たまに喧嘩したはりますけど」
「それは実家にいた頃からだからな」
「あはは……」
「昔から変わらないよねぇ」
「そうね」
それでも2人は仲良しだよ。 奈々ちゃんは麻美ちゃんを大事にしてるし、麻美ちゃんは奈々ちゃんを尊敬している。
「そういえば亜美ちゃん、運転免許を取ろうとしてるんだって?」
「あ、はい」
「私も学生時代に取ったんだけど、未だにペーパーなのよね。 美那もだけど」
「え、お母さん免許持ってるんだ?」
「一緒に取りに行ったもの。 2人とも完全にペーパーよ」
「し、知らなかったよ」
「ふふふ」
まさか、お母さんの事で知らない事があるとはだよ。 まあ、この町にいると車はいらないしねぇ。
◆◇◆◇◆◇
電車を乗り継ぎ8時45分には東京駅に到着。 北陸新幹線の切符を買い、改札前で清水家の両親と合流。
「美那ー!」
「晴美ー!」
久しぶりの再開で抱き合う2人。 本当に昔からの親友なんだねぇ。
「私と奈々ちゃんもあんな感じになるのかな?」
「まあ、なるんでしょうね」
「なはは。 お姉ちゃんと亜美姉も仲良しー」
「そやね」
「はぅはぅ」
「さ、行きましょう」
皆で改札を抜けてホームへ。 新幹線で長野へ向かうよ。
「お母さん。 おばさんから聞いたけど、車の免許持ってるって?」
「晴美ー?」
「ごめんてー」
「何で隠してたの?」
「別に隠してたわけじゃないわ。 車も無いし言う必要無かっただけ」
「そ、そうなんだ」
「はぅ。 亜美ちゃんも今、教習所通ってるだよぅ」
「あら、そうなの?」
「うん。 免許取って車買うよ」
「あそこは車無くても良いでしょ?」
「うん。 だけどあれば便利かなぁって。 あと、ドライブにも行けるし」
「事故には気を付けるのよ?」
「亜美は大丈夫だろう」
「気を付けるよ」
新幹線に乗り長野へ向かう。 それにしても……。
「今回の旅行、急に決まったよね? 誰が言い出したの?」
「晴美が言い出したのよ。 スキー行きたいって」
「お母さんが言い出しっぺなのね」
「ふふふ」
まあ、おかげで久しぶりの家族合同旅行が出来るのでありがたいよ。
◆◇◆◇◆◇
長野県に着いて、スキー場への送迎バスに乗り移動する。
「長野県だよー♪」
「亜美姉の歌出たー」
「旅行だよ〜長野県バージョン〜だよ」
「相変わらず適当ね」
「そうかな?」
「亜美ちゃんはいつもその歌だよぅ」
「たしかにそやな……」
レパートリーが少ないと言われているようだ。 中々厳しい意見だよ。
「ホテルに着いたらお昼にしましょう」
「そうだな」
「ホテルではレストランか何かあるの?」
「ええ、地下に飲食店が入ってるみたい」
「そかそか。 夕ちゃん、お昼どうするのかな?」
「『皆の家』に行くかカップラーメンじゃない?」
「なはは、ありそー」
夕ちゃんは料理なんて全然出来ないからね。 「皆の家」で作ってもらってたら良いけど。
◆◇◆◇◆◇
バスで30分走り、スキー場併設のホテルに到着した。 調べてみたが、残念ながら西條グループの施設ではないらしい。 残念である。
「部屋は3部屋だ」
「親組4人は同じ部屋を使う」
「じゃあ、私は希望ちゃんと2人だね」
「じゃあ残り3人で1部屋」
すんなり決まったよ。 部屋に荷物を置いたら、地下にあるレストランに集合という事になった。
◆◇◆◇◆◇
「いただきます」
「んぐんぐ」
うーん。 「うめー!」「だな!」が無いのは何となく違和感である。 何だかんだあれは必要なのかもしれない。
「スキーとか久しぶりね、美那」
「そうね。 大学生の頃以来ね」
「サークルの旅行で行ったわよね」
「ええ」
きっとお母さんとおばさんも、私や奈々ちゃんみたいに色々な場所に遊びに行ったりしたんだろうなぁ。 2人が昔から仲良しだっていう話はよく聞いてるけど、一体どんな付き合いをしていたのか、その詳しい話は聞いた事が無かったなぁ。 今夜チャンスがあったら何か話を聞かせてもらおう。
「渚ちゃん、スキーは出来るの?」
「ま、まあ何とか」
「なはは! 教えてあげるぞー」
「大丈夫や大丈夫」
「亜美は超難関コースとか行って遭難しないように」
「な、懐かしいねぇ……」
高校生1年の時に皆で行ったスキー旅行でやらかしたんだよねぇ。 あの時は死を覚悟したものだよ。 本当、よく助かったよ。
「亜美は無茶する時あるから」
「むぅ」
「何でも出来過ぎるのも考えものだな」
「むむぅ」
さすがに今回は普通のコースで我慢するよ。 あんな目にはもう遭いたくないからね。
「なはは! 滑りまくるぞー」
「うんうん」
家族合同旅行、楽しむよ!
清水家と藍沢家の合同旅行開始。
「紗希よ。 本当に家族ぐるみなのね」
「そうなんだよ」




