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第1732話 渚の愛犬

京都から帰って来た渚。 愛犬アテナを連れて帰って来たようだ。

 ☆渚視点☆


 千葉へ帰ってきた私は、とりあえずお姉ちゃんに「両親は相変わらず元気そうやった」と連絡をした。


「さよかー。 ウチも今度京都に遠征あるさかい、ちょっと顔出すようにするわ」


 と、お姉ちゃんはお姉ちゃんで、遠征があったりするとたまに帰っとるみたいや。 娘2人とも関東に来てもうて、両親も寂しがっとるか思うたら何の事はあらへんみたいで、夫婦2人で旅行したりして楽しんだはるみたいや。 それと、愛犬のアテナが私がおらんで寂しがるって事で、一緒にいたってほしいっちゅうんで引き取ってきた。 藍沢先輩と麻美も快諾してくれはった。


「よしよし。 新幹線でも大人しいしとったなぁ。 ええ子や。 あまり帰ってやれへんですまへんかったな。 これからはずっと一緒や」


 アテナはというと、伏せの状態で尻尾を左右に振って反応しとる。 若い頃は飛び付いて来よったのに、もうそこまでの元気はあらへんのかいな? 言うてもまだ8歳やし元気はあるはずやけど。


「わふ」


 藍沢家の愛犬、くぅはというと、新たな仲間に興味津々や。 アテナの周りをウロウロしながら様子を窺ってるみたいやな。


「その子、子供っていないわけ?」

「2匹おるにはおるんですが、その子達は1匹は両親が、もう1匹は祖父母が面倒見とるんでですよ」

「そうなのね。 今からでも頑張れば子供作れないわけ?」

「どう……なんですかね?

「宏太兄ぃに聞いてみれば良いー」


 麻美はアテナの頭を撫でながら言う。 まあ、私としても可愛いアテナの後継ぎは欲しいとこやし、出来るんやったらアテナの子供を見てみたいなぁ。


「ポメラニアンって15年近く生きるのね。 知らなかったわ」

「わふ」

「長生きせぇよー」

「きゃん」


 何やまだまだ元気やな。



 ◆◇◆◇◆◇



 夜。 「皆の家」で佐々木先輩に、アテナの出産について相談してみる事に。


「おお、アテナちゃん可愛いねぇ。 前に一度だけ会ったことあるんだよ。 覚えてるかな?」

「はふはふ?」

「あまり覚えてへんみたいですわ」

「あはは。 ちょっとだけだったからね」

「んで。 こいつの出産についてか」

「はい」

「8歳だよな。 一般的には5歳ぐらいまでなら比較的安全に出産出来るとされているんだが」

「厳しそうですかね?」

「いや、まあ10歳での出産例なんかもあったりするから不可能ではない」

「なるほど」

「まあ、健康チェックとかはしないとダメだろうがな」

「どうするー?」

「うちの店に任せてくれれば相手探しから出産まで、全てサポートさせてもらうぜ」

「ほんまですか?!」

「おう。 な、前田さん」

「はい。 任せてください」


 佐々木先輩と前田さんのサポートを受けられるなら安心やな。


「お願いします」

「詳しい話は亜美ちゃんか冴木に聞くといい。 マロンとククのお見合いで経験してるからな」

「はい」

「何でも聞いてよ」


 というわけで、アテナのお見合い作戦が始まった。



 ◆◇◆◇◆◇



「お見合いはお店で希望の相手とかを書類に書いて提出して登録するんだよ。 希望に適う相手が見つかったら、お互いのペットをお店に預けてお見合い開始」

「妊娠が確認出来るか、もしくは一定期間の間妊娠が確認出来なかった時までお見合いを続けます。 上手く行かなかった場合は、また相手探しからです」

「なるほど……佐々木先輩、今はポメラニアンのオスの子が相手待ちかどうかわからはりますか?」

「いや、そこまでは把握してはいないが。 明日になれば調べられはするぞ」

「お願いしてもええですか?」

「おう。 わかった」

「私も明日早速お店に行って、アテナのお見合い登録済ませます」

「なはは。 私もイクゾー」

「何でいちいちついて来るんや……」

「くぅの次のトリミングの予約とかー」

「私もついていきます」

「マリアもかいな……」

「リク用に何か買ってあげようかと」

「あー、さよか」


 マリアはリクガメを飼うてる。 猫のダイヤもおるし、意外とペットの世話が好きらしい。


「しかし、藍沢家はペットだらけになりませんの? すでにタマとレオンとくぅがいて、アテナと子犬まで増えるとなると大変そうですわよ」

「トラ4頭に比べたら大した事ないだろ……」


 でもたしかにペットがかなり増えてまうな。 藍沢先輩と麻美は「まあ、賑やかで良いんじゃない?」と、軽くOKしてくれはった。 寛容な姉妹やなぁ。



 ◆◇◆◇◆◇



 更に翌日2月6日や。 私、麻美、マリアに加えて、清水先輩と藍沢先輩もついて来はる事に。 ペット用の遊びスペースでマロン達を遊ばせてあげるのが目的らしい。


「いらっしゃいませー」

「あ、入り口にいつもいる前田さんだよ」

「たまたまです」


 たまたまも毎回起これば必然な気がするんやけど、まあええか。 ペットのお見合い相談窓口は清水先輩が知ってはるから、清水先輩に案内してもらう。


「ここだよ。 あ、宏ちゃんやほほ」

「おう、来たか。 今調べてもらったが、ポメラニアンのオスは今のところ登録されてないみたいだな。 少し待つ事になりそうだが」

「構いませんよ。 まだ慌ててへんので。 とりあえず、アテナの登録だけ済ませてまいますわ」

「おう。 じゃあ、俺は忙しい身だからまたな」

「ありがとうございました」


 佐々木先輩はペットの事やったら無茶苦茶頼りにならはるな。 助かるわ。


「ほな、ちょっと登録してきます」

「いてらー。 私達はペットの遊びスペースに行ってるからー」

「はいよ」


 私以外の皆は自分達の目的を達しに、それぞれ移動していかはった。 私はお見合い相談窓口で用紙をもらい、必要事項を記入していく。 獣医施設に回され、簡単に血液検査やら健康チェックを受けるアテナ。 問題無しとの事で、お見合い登録は完了。 ただし、やはり8歳となると相手が中々見つからないかもしれないと言われた。 まあ、気長に待つしかあらへんか。


「アテナ、行くで」

「はふはふ」


 アテナを抱いて、皆がいるであろう遊びスペースへ向かって移動する。 遊びスペースはここ最近出来たらしい、ペット用の遊び場。 犬用や猫用と言った風に、主要なペット毎に区分けされたスペースや。


「おったおった」

「あ、登録出来た?」

「はい。 ただ、高齢やから相手が見つかるかはわからん言われました」

「まあ、リスクもあるものね」

「仕方ないかー」

「ですね」

「レオンはどないしてます?」

「マロンメロンとタマとダイヤで遊んでるわよ」


 あの親子はほんま仲良しやな。


「マロンが子供と一緒になって遊んでるのが微笑ましいよ」

「なはは。 マロンもまだまだ子供かー」

「アテナがもし出産したら、残りの子は里親に?」

「どっちが何匹引き取るかは話し合いで決める事になるらしいんで、それはその後になりますね」

「そか」


 もしかしたら、仲間内で誰か引き取りたい言う人が出てくるやもしれんな。 まだ相手も見つかってへんけど。


「アテナ、ええ相手が見つかったらええな」

「ワン!」


 私としても、アテナの子供は見たいしな。 アテナかてまだ生きるとはいえ、いつかはおらへんようになってまうし……。 その忘形見やないけど、そういう子はやっぱり欲しいしなぁ。

アテナのお見合い作戦開始。


「遥だ。 アテナか。 今度会いに行くかー」

「可愛いよ」

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