第1728話 色々な学校があるもんだ
「皆の家」ではさゆりちゃん達の祝勝会が行われているようだが?
☆亜美視点☆
月ノ木ウイングスとの練習試合を制したアルテミスジュニア達。 試合後はあちらのチームの子達とも仲良くなって、中学に入ったら一緒に頑張ろうと約束していた。
「皆の家」へ帰ってきた私達は、さゆりちゃん達を招待して、軽く祝勝会を開いて上げている。 まあ、私はブルーウィングスの皆に勉強を教える為、別室にいるのだけど。
「ビシバシだよ」
今日も集中して勉強しているブルーウィングスの皆。 皆、同じ過去問を解いている。 皆が志望している学校の過去問だ。 毎年似たような傾向なので、この過去問でしっかり点を取れれば合格も近付くはず。
カリカリ……
素晴らしい集中力だよ素晴らしい。 歌やダンスのレッスンなんかも集中的にやるみたいだし、元からこういう集中力は備わっているのだろうか?
「わからない問題は後で教えるからねぇ。 とりあえず飛ばして先進めてね」
カリカリ……
おー、私の声が聴こえてないのではという程集中してるよ。 ちゃんと聞こえてるよね?
「まあ、いっか」
カリカリ……
◆◇◆◇◆◇
「はい。 時間だよ」
「ふぅ」
「何とか終わりました」
「結構難しかった」
「ね」
「どれくらい出来てるかな」
解答時間一杯なので、過去問集を受け取り採点を進めていくよ。
「採点してる間はゆっくりしてていいよ」
「はい」
さてさて。 皆のテストの出来はどんなものかな。
スラスラ……
「さ、採点するの速い……」
「ペンの動きが見えない……」
「凄すぎて何が何やら……」
「すぐ終わるからねぇ」
「5人分なのに……」
「もう3人分ぐらい終わってる?」
スラスラ……
「終わったよ」
「嘘……」
何だか皆、口をあんぐりさせている。 何だというのだろう? まあ、いっか。 とりあえず過去問集を皆に返して、それぞれが苦手としている問題を解説していくのであった。
◆◇◆◇◆◇
さて、夕食前の勉強タイムは終了。 夕食後は先程のテストの結果を元に、各自の課題となる教科を重点的に教えていくよ。 ビシバシだよ。
「どうなの? 皆の勉強は?」
「うん。 さっき志望校の過去問を解いてもらったけど、基本的には大丈夫そうだったよ。 自分達が言うほど勉強が遅れてるって感じじゃないね」
「なるほどー」
「個々に苦手なところはあるみたいだけど、この後はそれを教えていく感じになるかな。 大丈夫、皆なら十分受かるよ」
「頑張ります!」
「うんうん」
私も出来る限り力になるよ。 今日と明日1日で、しっかり仕上げるよ。
「そういえば前田さん。 今日の試合の動画はもう見た?」
「いえ、まだです。 でも、さゆりちゃん達勝ったっていうのは聞きました」
「そうなんだよなぁ」
「凄かったよぅ」
「昨日私達と練習試合した時とはまた別物でした」
「次試合したら負けそう」
「きゃはは。 私達もうかうかしてらんないわよ」
「そうですわね」
「そ、そんなに凄かったんですか? 今から動画を見るのが楽しみですね」
「私達も見たいです」
「皆は夕食後は勉強だよ」
「は、はい」
「亜美ちゃん先生はスパルタだからなぁ」
「ビシッバシッだよっ!」
「きゃはは。 岬ちゃん達ファイト!」
「あはは……」
◆◇◆◇◆◇
「翠ちゃんは全体的に良く出来てるねぇ。 学校の成績良いでしょ?」
夕食後は再度勉強タイムだ。 私が家庭教師出来るのは今晩と明日1日しかないからね。 出来る限り力になりたいと思うよ。
「翠ちゃんはクラスでも結構上の方なんですよ。 私達と一緒にレッスンとかツアーしてるのに何でー?」
「そ、そう言われてもー」
「多分、要領が良いんだと思うよ」
「要領ですか?」
「うん。 同じ事してても自分より出来る人とかいるけど、そういう人は皆大体要領が良いんだよ。 勉強の仕方が上手いとかね」
「なるほど。 たしかに翠はノートも綺麗に取っててわかりやすいもんね」
「そういうところにも差は出るんだ」
「うんうん。 翠ちゃんは今の調子で頑張っていこう。 光希ちゃんは物理が苦手っぽいね」
「はい。 化学式とか元素周期表とか頭痛いです」
「なるほどなるほど。 たしかにその辺は点数取れてないね。 まずは物理を教えていくよ。 基本は暗記だから頑張ろう」
「はい!」
「重要かつよく出るとこを教えるから、しっかり覚えてね」
「はい!」
と、こんな風に各人の苦手な部分を重点的にケアしていくよ。 他の部分は程度の差はあるけど、致命的ではないと思われるので、残りの日数を各自でしっかり勉強していけば、大丈夫だろう。
調べてみたところ、5人が狙っている私立高校は中々にレベルが高いが、勉学より、ブルーウィングス達のような、すでに他分野で成功している子達を支援するような制度の学校となっているらしく、アイドルの卵やスポーツ選手の卵、果てはプロの棋士なんかも来るような学校のようだ。 そのため、勉学は一定のレベルさえあれば入学、卒業までは可能なようだ。 今はこんな学校まであるんだね。
「なるほどねぇ。 ブルーウィングスにとっては凄く良い学校だよ」
「はい」
「ここしかないって思います」
一応芸能科という科もあるんだねぇ。 芸能人やその卵が更なる上のステージを目指す為の場所か。 凄いねぇ。
「ツアーやレッスンなんかは全て公休になるんで、出席日数の心配もいらないみたいなんです」
「その代わり、課題が出るみたいですが」
「あはは……学校である以上は仕方ないね」
「はい」
とはいえ、ブルーウィングスのようにすでに芸能界で活躍している子や、そこを目指す子達にとっては最高の環境に違いない。 学業もそこそこにこなしながら、夢を追える学校。 素晴らしいよ素晴らしい。
「皆、頑張ってね。 明日1日、私も出来る限りのことはするよ」
「お願いします!」
◆◇◆◇◆◇
ブルーウィングスの皆は先にお風呂に入ってもらい、私はリビングへ。
「そんな学校があるんですね」
「私も調べてみてびっくりだよ」
「ふぅむ。 子供達を応援する学校ね。 中学からあるみたいですわね」
「みたいだね。 高校からの外部入学もアリみたい」
本当に色々な学校があって面白いね。
「西條グループも何かそういうの始めようかしらね」
「また新しい事業を始めようとする……」
「おほほ」
奈央ちゃんは少し目を離すとすぐこれだからね。 私もしっかりしないとだよ。
◆◇◆◇◆◇
さて、話はさゆりちゃん達の事に移る。
「前田さん、どう?」
「いやいや。 どうしてこうすぐに私の予想を超えてくるんでしょうね」
「ですわよね」
「この連携なんて、ちょっと見たぐらいで真似できる物じゃないですからね」
「うん。 これは育てていけば凄い事になるよ」
「まずは中学生大会でどんな成績を残すかですわね」
「あの子や月ノ木ウイングスの鷹見アリサちゃんなんかは1年レギュラーも狙えるわよん」
「だな。 楽しみすぎるな」
私達の教えを吸収して成長するアルテミスジュニア達。 将来が楽しみである。
ブルーウィングスが目指す学校は少し変わった学校なようだ。
「亜美だよ。 頑張る子供支援する学校か。 素晴らしいよ素晴らしい」
「早速西條グループも参入しますわよ!」




