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第1719話 月ノ木ウイングスのスタメン

日曜日は月ノ木ウイングスのスタメンの試合を偵察する予定だ。

 ☆奈央視点☆


 日曜日ですわ。 今日は市内の総合体育館で、バレーボールの小学生クラブチームの大会があるみたい。 アルテミスジュニア達の次の練習試合の相手、月ノ木ウイングスのスタメンの試合も見れるとあって、今日は観戦にやって来ましたわ。


「わいわい」

「きゃっきゃっ」

「こらこら、大人しく観戦しないとダメだぞ」

「はい!」


 子供達は、バレーボールの試合が見れるとあってテンションが上がっている様子。 同年代の子達のプレーを見れる良い機会ですわね。


「ちなみに、何処のクラブが強いとかわかるの?」

「昔から浦安ライトニングってチームは名門チームだぜ」

「ふーん。 ちゃんと出場チーム一覧に載ってるわね」

「なはは。 さすがに名門チームの選手のプレーは参考にならないー」

「だな」

「あくまで今日は月ノ木ウイングスのスタメンのプレー見るだけや。 他のチームはいらんよ」

「それはそー」

「さて、その月ノ木ウイングスは何処まで勝ち上がるかしらね」

「さあなぁ」

  

 とりあえず見てみない事にはわからないですわね。 さゆりちゃん達アルテミスジュニアが、果たして良い勝負出来るレベルなのか……。


「ウイングスはDコートで1回戦だな。 相手は……」

「なはは。 浦安ライトニングってさっき言ってた名門チームだー」

「あらま。 これはいきなり大変そうね……」

「まあ、試合見てみなわかりませんって」

「ですわね。 じゃあDコートに行きますわよ」


 というわけで、月ノ木ウイングスの1回戦を見る為に移動を開始する。 Dコートでは既に、選手達がアップを始めていた。 


「どっちも中々良い動きね」

「小学生の括りならどっちもハイレベルだぜ」

「月ノ木ウイングスも名門に負けてないー」

「楽しみですわね」

「わくわく」

「ドキドキ」


 さて、選手達がネット前に整列して挨拶を交わしているわ。 もうすぐ試合開始ですわね。


 ピーッ!


「Dコート始まったわよ」

「サーブはライトニングからですわね」


 パァンッ!


「うへー。 良いサーブ打つなぁ!」

「でも、ウイングスも崩されずにしっかり拾ってますわよ」

「フリーポジションやから、誰がどのポジションとかいうのはないんでしょうかね?」

「多分な。 だけど、個人としてはやっぱり得意なプレーもあるだろうし、監督からエースに指名されてる子もいるかもしれない」


 拾われたボールにいち早く追いついてセットアップに入る子がいる。 恐らくトスが上手い子なのだろう。


「はい!」


 慣れた手つきでトスを上げるのは背番号7の女の子。


「筋が良いですわね」

「だな。 (セッター)として育てられてきた選手っぽい」


 そして、トスされたボールに跳びつくのは背番号1の女の子。 身長も高いし、ジャンプも高い。 スパイクフォームも変に崩れてなくて綺麗だ。


「あの子がウイングスのエースかしら?」

「多分な。 かなりレベルが高い」


 最初のスパイクを見事に決めた背番号1。 かなり素質がある感じね。


「凄い凄い!」

「かっこいいー!」


 と、アルテミスジュニア達も興奮気味。 来週には自分達が対戦する相手だとわかってるのかしら?



 ◆◇◆◇◆◇



 試合の方はお互い1セットずつ取り合ってからの最終セット。 月ノ木ウイングスリードで迎えたマッチポイント。


「はい!」

「えいっ!」


 パァンッ!


 ピッ!


「なはは。 ウイングス勝ってるー」

「まさか浦安に勝つなんてな……」

「本当に名門なんですの?」

「私達の時代は名門だったぜ。 多分今でもかなり強いはずだけどなぁ」


 でも、月ノ木ウイングスが勝っちゃいましたわよ。 もしかして、アルテミスジュニア達はとんでもないチームと練習試合する事になるのでは?



 ◆◇◆◇◆◇



 その後も順調に勝ち進んでいく月ノ木ウイングス。 そのままあれよあれよという間に優勝までしてしまった。


「なはは! 強すぎるー!」

「こりゃ、ちょいと自信無くしちまったか?」

「わくわく!」

「早く試合したいです!」

「楽しみー!」


 しかしアルテミスジュニア達は、怖気づくどころか練習試合を楽しみにしている様子。 この子達にはあのチームの凄さがわからなかったのかしら?



 ◆◇◆◇◆◇



 帰って来た私達は、前田さんに録画した映像を提供し、戦力分析をしてもらう事に。


「凄いですねー。 この子達、もう中学の県レベルで戦えますよ?」

「そんな凄いんですの?」

「はい。 特にこの背番号1の子はかなりの逸材ですね」

「多分ウイングスのエースだ」

「でしょうねー。 さゆりちゃん達も結構凄いですけど、さすがにこの子達相手には勝てないかと」

「まあ、勝ち負けはこの際気にしないですわよ。 格上と対戦出来る良い機会だし、胸を借りるつもりで行きますわよ」

「なはは。 でもまだ一週間あるー。 さゆりちゃん達なら一週間あればもっと強くなるー」

「それはそやけど、今日の大会見た感じやとさすがに差があり過ぎやろ」

「たしかに。 かなり差はありますが、勝つ可能性は0ではないですよ。 これまでのさゆりちゃん達の成長曲線から予測するに、10%ぐらいは可能性があります」

「あのチームに10%の確率で勝てるのかい?! さゆりちゃん達も半端ないなぁ」

「あくまでデータから見た机上の話しですが」


 それは下手したらもっと勝つ確率が上がるかもしれないって事でもあるのでは? やはり末恐ろしいですわね。


「ま、土曜日に練習を見てあげられるし、その時にわかんだろ」

「ですわね」


 

 ◆◇◆◇◆◇



 夜になると、東京のご両親の家に泊まりに行っていた亜美ちゃんと希望ちゃんが帰ってきて合流。 前田さんにも見せた録画映像を見てもらう。


「うわわ。 この浦安のチームも相当レベル高いけど、勝っちゃったんだねぇ」

「はぅ。 さゆりちゃん達、大丈夫かなぁ?」

「本人達は早く試合したいってワクワクしてましたわよ」

「す、凄く前向きだねぇ」

「これ見てどう思う?」

「うーん。 今のところ勝てる見込みはないね」

「はぅはぅ」


 と、亜美ちゃんも現状では勝負にならないだろうと言う。


「でもさ、あと一週間あるしね」

「やっぱりそう思いますわよね?」

「あの子達、凄い早さで上達してるからねぇ」


 亜美ちゃんもそういう意見らしいですわね。 大体、ウイングスの4年生チームと試合する前だって、互角ぐらいかと思ってたのに、試合までの間に一気に伸びて楽に勝っちゃってましたものね。 もしかしたらなんて事もあるかもしれませんわ。


「にしても凄いねぇ、この背番号1」

「そうよね。 これで小学生だって言うんだから……」

「前田さん、データは?」

「さすがに小学生選手のデータは無いです……」

「そっか。 まあ、それはそうだよねぇ」

「来週聞けば良いのよ。 すぐに会えるし」

「そだね。 月ノ木中に進むならポジション争いは熾烈になるだろうねぇ」


 中々の逸材だと亜美ちゃんも目を付けたようですわ。 来週の練習試合でもっとよく見させてもらいましょ。

ウイングスのスタメンはあまりに強く。


「奈央ですわよ。 まさかあれ程とはね」

「どうなるかなぁ?」

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