第1718話 家族4人水入らず
今日は東京の両親の所へ行く予定の亜美と希望。
☆亜美視点☆
今日は土曜日だ。 本当なら明日はさゆりちゃん達と一緒に、月ノ木ウイングスのスタメンの試合を偵察に行く日なんだけど、私と希望ちゃんは別に用事がある。 今日は東京にいる両親の家に行ってとまる予定なのだ。 マロンとメロンと、希望ちゃんのハムちゃんも連れて行くよ。 海水魚さん達は夕ちゃんに任せるよ。 まあ、餌を上げるくらいは出来るみたいだよ。
「じゃあ行ってくるね。 夕ちゃん、お留守番よろしく」
「よろしくだよぅ」
「おう。 まあ、基本は『皆の家』に行ってるつもりだが」
「明日は皆もいないよ」
「最悪俺もその偵察とやらについていくさ」
何だかんだ寂しいみたいである。 まあ、それも明日の夜までだよ。
◆◇◆◇◆◇
「それにしても、今年は急にお父さん達の所に行くね?」
「正月に会いに行ってないからねぇ。 顔は見せておかないと」
「ぅん」
両親とはちょくちょく連絡を取り合ってはいるけど、直接会うのは久しぶりである。 東京にいて近いから、行こうと思えばすぐに行けるんだけどねぇ。
「お母さん元気かな?」
「この間電話した時は元気だったよ。 今はお父さんも家事を少しはやるようになったみたいだからね。 お母さんの負担も軽減されてるみたい」
「そこは夕也くんも見習ってほしいよね」
「そだねぇ。 今、自信を持って出来るのが洗濯だけだしね。 部屋の掃除とかは出来るようになってほしいよ」
「ぅん」
まあ、お父さんでも出来るようになったし、夕ちゃんにだって出来るはずである。 そろそろ掃除を教えていかないとだね。
◆◇◆◇◆◇
ピンポンー
「はいはいー」
「亜美だよ」
「希望だよぅ」
「開いてるから入ってー」
インターホンを鳴らすとそう返ってきたよ。 何というか不用心である。 まあ、言われた通りに入るんだけどね。
「ふぅ。 来たよお母さん」
「はぅ。 暖かいよぅ」
「いらっしゃい。 泊まっていくのよね? 夕飯はお鍋にするから」
「お鍋はありがたいねぇ」
「寒いもんね」
「うんうん。 あ、そだ。 マロン、メロン出ておいで」
「みゃ」
「な」
キャリーバッグから出してやると、てけてけと部屋の中を歩き回る2匹。 いつもと違う場所に来たので、少し冒険中のようだ。 すぐにいつものように暖かい場所を見つけて丸くなるだろう。
「にしても、急に来るなんてどうしたの?」
「お正月に来れなかったからだよ」
「それだけ?」
「そぅだよ」
「何か報告でもあるのかと思ったのに」
と、お母さんは顎に手を置く。
「子供が出来たとか」
「まだだよ」
「はぅ」
まだ結婚もしてないのに作るわけないよねぇ。 あ、いや、決して宮下さんと三山君を悪く言うつもりはないんだけどね。
「まあ、4月に籍を入れて、6月には式も挙げ予定だっていう報告はあるけど」
「あらま。 お鍋じゃなくてお赤飯だったかしら」
「お鍋で良いよ……」
「お赤飯も美味しいよぅ?」
「今更変えなくても」
「まあ、そうよね」
夜にはお父さんにもちゃんと報告しないとね。
「さて。 マロン、メロン」
「みゃ?」
「な?」
「せっかくだしお散歩行くよ」
「猫なのに散歩?」
「何だか散歩に行くのが好きみたいでね。 ほら、喜んでる」
寒いのは嫌なくせに、散歩へは喜んで行く猫達なのである。
「希望ちゃんは?」
「私は家でぬくぬくしてるよぅ」
「まるで猫ね」
「はぅ」
「じゃあ、ちょっと行ってきます」
「気を付けて行ってらっしゃい」
マロンとメロンを引き連れて、東京の街を少し散歩するよ。
◆◇◆◇◆◇
両親が住んでいる場所は、東京の住宅地である。 まあ、私達が住む千葉の町に比べれば十分都会だ。 何と言っても周りに畑や水田が見当たらない。
「あ、公園発見だよ。 子供達が遊んでるよ」
「みゃー」
「なー」
公園を見つけて入っていくよ。 子供達はサッカーをしているようだ。 私はサッカーについては詳しくないけど。
「あ、こらこらマロン。 ボールが気になるのはわかるけどダメだよ」
「みゃー」
マロンはとにかくボールが好きである。 いつもはテニスボールを転がしたり、前脚で挟んで運んだりして遊んでいる。 丸くて転がる物には目が無いのだ。
「あー、猫だー」
「猫ー!」
「うわわ」
マロン達に気付いた子供達わらわらと走り寄って来たよ。 マロンとメロンは自分達目当てで来たのがわかるのか、大人しくし撫でられていた。
「みゃーん」
「なーん」
撫で回されてとても満足そうである。 しばらく子供達に好き放題に撫でられるマロンとメロンであった。
◆◇◆◇◆◇
「ただいまだよー」
「みゃー」
「なー」
「おかえりだよぅ」
「おかえり。 もうすぐお父さんも帰ってくるわ」
「うんうん。 久しぶりに家族水入らずの団欒だねぇ」
「ふふふ、そうね。 お父さんも先週から楽しみにしてるわ。 今日は何が何でも定時で上がるって」
「土曜日出勤なんて大変だねぇ……」
「今、ちょうど大きな企画をやってるみたい」
「おお、お父さんもやるねぇ」
「ぅん」
「それを言ったら、亜美も凄いじゃない。 本、かなり売れて流でしょ?」
「あはは、まあねぇ」
「実際どうなの? こっちの方は」
と、指で丸を作りいやらしい顔を見せる母。 やっぱり気になるよね。
「ま、まあ……億」
「お、億?!」
「はぅ。 亜美ちゃん、無駄遣いとかしないしね」
「いやいや。 でも、夕ちゃんと相談して家のリフォームはしようと思うよ」
「億だものね。 だけど、今井家の家だしご両親にも相談しないとね」
「式の時にでも話をしようとは思ってるけど」
「そう」
「もっと稼げたら、お父さんとお母さんにも何かしてあげたいと思うよ」
「あら、ありがたいわね」
親孝行はしないとね。
◆◇◆◇◆◇
夜はお父さんも帰ってきて、4人で鍋を突く。
「そうか。 4月には亜美も結婚かぁ」
「うん。 今井家に嫁ぐよ」
「うむ。 夕也君になら任せられるな。 希望はどうなんだ? 新しい出逢いとかは?」
「ないよぅ。 別にいらないし」
「そうか? 希望がそう言うなら良いんだが」
「ふんすふんす」
希望ちゃんは今でも夕ちゃん一筋なようだ。 私も希望ちゃんがそれで良いなら良い派ではある。 ただ、本当のご両親は天国で心配してるんじゃないかなぁ。
「6月には式を挙げる予定だよ。 招待状送るから是非来てね」
「娘の晴れ姿だ。 必ず行くさ」
「そうね」
「ありがとう。 まだ式の打ち合わせ始まったところだけど、いい式にするからね」
「ああ」
これで今日ここに来た目的も達成だよ。 両親は2人とも喜んでくれたよ。 後は私が幸せになるだけだよ。 問題は希望ちゃん……だけど、希望ちゃんは今のままでも良いと思ってるみたいだし。 私からとやかく言うのはやめておくよ。 希望ちゃんは希望ちゃんで自分の幸せを見つけるだろう。 多分だけど。
家族水入らずで過ごすのであった。
「奈央ですわ。 良いでわよねー一家団欒」
「落ち着くよ」




