第169話 マジカルランドで遊ぼう
フラワーパークも最後のエリア。
どんな植物が見られるのか。
☆希望視点☆
今日は、3人で東京まで出てきている。
そして今、フラワーパークで色んなお花を見ている所なんだけど。
ここから先は、世界各地の草花エリアらしい。
「うわわわわ、本当にジャングルっぽいよ?!」
「はぅはぅ」
「ジメジメして蒸し暑いな」
夕也くんの言う通り、蒸し暑いと言った感じだ。
なんだか鬱蒼とした密林のような部屋に放り込まれた。
良く分からない蔦や植物がそこらじゅうに生えてるよ。
「亜美ちゃん、さすがにこれが何かはわからないよね?」
「この赤いの? エスキナンサスっていうやつかなぁ?」
「なんでそんな名前知ってるんだ……」
「知ってるのもあるだけだよ。 ほとんどわからないから、今度図鑑でも買って調べよっかな」
「そんなもの調べて、一体何の役に立つんだよ」
「役には立たないけど、私は満足だよ」
亜美ちゃんは本当に何でも知りたがる。
春人くんが来た頃も、毎日のようにアメリカの文化や授業なんかの事を、聞きまくっていた。
知識欲が凄いのだろう。
「ちなみにあれはわかるか?」
「あ、あれは有名だよ。 エンジェルストランペットだったかなたしか?」
「へぇ、可愛い名前だね」
「花が天使の持ってるラッパみたいだからそう呼ばれてるんだねぇ。 私もテレビで見た事しかなかったから」
亜美ちゃんは、その後も謎の植物たちをスマホで撮影しては、ネットで調べて「ふむふむ」などと頷き満足していた。
楽しんでるなぁ、亜美ちゃん。
「あ、これ私でも知ってる! ウツボカズラでしょ?」
食虫植物って言うんだっけ?
「うんうん、そうだね」
「賢いなー希望はー」
うーん、夕也くん私の事バカにしてるんじゃないだろうか?
私だって、それなりにはわかるんだよ。
私達はジャングルエリアの奇妙な植物達を、ゆっくりと見て回り、気付けば出口まで来ていた。
「うーん、さすがにラフレシアは見れなかったねぇ……残念」
亜美ちゃんは、心底残念そうな顔をしている。
ラフレシアってあの赤くて気味の悪い大きなやつだよね。
凄く貴重なのかな?
私達は、出口から出て、お土産などが買える館内に入った。
「おおー、図鑑売ってる! 希望ちゃん、夕ちゃん、ちょっと待っててね。 これ買ってくる」
「ん、おう」
「いってらっしゃーい」
亜美ちゃんは「密林の植物達」という分厚い図鑑を手に取って、会計に向かった。
「亜美ちゃん、目がキラキラしてたね」
「楽しかったんだろうな」
あんな子供みたいに目を輝かせている亜美ちゃんは、あんまり見たことが無いよ。
「お待たせ、さ、行こ」
「おう」
「うん」
他には、珍しい花の種や球根などが売っており、ガーデニング好きな奥様方がそれらを手に取り、育て方のレクチャーなんかをスタッフから聞いていた。
「亜美、ああいうのはいらないのか?」
「う-ん。 あんまりね」
自分で1から育てるとなると、少し面倒なのだそうだ。
小学生の頃、アサガオの種を皆貰って育ててたなー。
芽が出て花が咲いた時は、すごく嬉しかったのを覚えている。
「よし、じゃあ私が買うよ」
「おお、希望ちゃん買うの?」
私は「うん」と頷いて、どれが良いかを選び始める。
今から植えて、夏前ぐらいに花を咲かせるのって何が良いんだろう?
「うんとね、今の時期だと撫子とかマリ-ゴールドかな。 世話もそんなに難しくないよ」
「おおー、じゃあ両方!」
私は、亜美ちゃんが教えてくれた花の種を手に取る。
こうなると土とか肥料も選ばないといけないけど、荷物が増えるだけなのでそれらは帰ってからホームセンターで探そうという事になった。
亜美ちゃんが色々アドバイスをくれるようなので、凄く頼もしい。
「ここはこんなものかな? 思ったより良かったよ」
「うんうん、楽しめたよね」
「そうだな。 男の俺でも良いもの見たなーって気になるぜ」
さすがは亜美ちゃんのデートプラン。
「よし、じゃあ、どこか近くでお昼にしよっか」
「賛成ー」
「おう」
私達はフラワーパークを出て、少し歩きながらお昼を食べられそうなお店を探す。
バス停を通り過ぎて少し賑わった通りに出ると、レストランなどが建ち並んでいるのが見えた。
いろんなお店があって、迷ったがここは冒険せずに良く通っているファミレスチェーン店に入ることにした。
店に入ってすぐに、席へ案内される。
「えーと、次はマジカルランドだよね」
「うん、そだよ」
「それも楽しみだよ」
テーマパークは、いつ行っても楽しいものだ。
亜美ちゃん、夕也くんとそういうところで遊んだのって、去年のゴールデンウイークで奈央ちゃん達と旅行行った時だよね。
あの時はまだ、私も亜美ちゃんも夕也くんの譲り合いみたいなことしてたっけ?
懐かしいなぁ。
「希望ちゃんには是非、魔女の館に入ってもらいたいね」
「ねぇ、それホラーハウスじゃないの?」
確かそんな事を聞いたことがある。
亜美ちゃんはにっこり笑って「そうだよー」と言う。
本当に亜美ちゃんは、私がそういうのダメだって知ってて言うんだから。
「3人で入れば大丈夫だよー」
「去年もそんな事言って3人で入ったけどよ、希望ずっと俺にしがみついて泣き叫んでたぞ」
「そ、そうだよー……人数とかじゃなくて、純粋に怖いのがダメなんだもん」
「えぇ……じゃあ、私と夕ちゃんだけで入っちゃうよ?」
むぅっ……亜美ちゃん意地悪だ。
表情も「どうするのー?」みたいな感じでニヤニヤしている。
「わかったぁ! 私も入るから……」
「やったー」
結局、亜美ちゃんには敵わないのであった。
そうやって、マジカルランドで何をするかを話し合いながら、昼食を済ませる。
バス停まで戻ってきて、次はマジカルランド方面を目指す。
途中でバスを乗り換えて、マジカルランドへのシャトルバスに乗る。
15分ほどバスで揺られると。マジカルランドに到着した。
「つーいーたー」
亜美ちゃんが両手を上げて大声を上げている。
そんなに楽しみにしていたのだろうか?
「元気だな亜美」
「そうだね」
「ささ、入ろう」
私達は入場料を支払い、園内へと入る。
「これが、魔法の国マジカルランド!」
実は私は、ここに来たことが無い。
噂には聞いていたけど、凄く広い。
「まずは、軽いアトラクションでも行こうよ」
「う、うん」
「あいよ」
もうここは、亜美ちゃんに全てお任せな感じでいいと思う。
でも、亜美ちゃんの事だから、絶叫系アトラクションやホラー系を率先して選んできそうだ。
「じゃあ、まずはここ」
「ん? ここは去年俺と来ただろ?」
「マジカルアドベンチャー? 2人1組だよ?」
2人1組で入るアトラクションのようだ。
「そうだよ? 私と希望ちゃんで入るの」
「夕也くんは?」
「あー、俺はさっきも言ったけど、去年入ったから良いよ。 2人で行ってこいよ」
「う、うん。 わかったよ」
「じゃあ、行こう」
私は、亜美ちゃんと手を繋いでアトラクションの列に並ぶ。
チラッと夕也くんの方を振り返ると、小さく振って私達を見送っていた。
とりあえず、今日は目一杯楽しもう。
マジカルランドへとやってきた3人。
最初は……。
「亜美だよ。 やってきたよマジカルランド! 希望ちゃんと来たかったんだよねぇ。 ふふふー、希望ちゃん覚悟だよ」
「な、何を……」