第1714話 小学生チームの初試合
いよいよ翌日に迫る、小学生達な初めての試合。
☆亜美視点☆
「はい、集合ですわよー」
「はい!」
今日は練習試合前最後のバレーボール教室。 さゆりちゃん達の今のレベルを確認するよ。
「じゃあ、この前みたいにそれぞれの役割をしっかり考えながら練習していきましょう。 明日は初めての練習試合だし、練習は早めに終わりますわよ」
「はい!」
「では練習開始だよ」
前回と同じように、反対のコートから適当にバレーボールを飛ばし、さゆりちゃん達に3タッチ以内で返させる練習だ。 ポジション毎の役割を意識してプレーしてもらうよ。
パァンッ!
パァンッ!
「また上手くなってるわね」
「だね」
「学校とかでも練習してるみたいだよぅ」
さゆりちゃんと仲の良い希望ちゃんは、そういう話も聞いているようだ。
「バレーボールが好きみたいだなぁ」
「良い事だー」
「だね」
この分なら、明日の練習試合は大丈夫そうだ。
◆◇◆◇◆◇
「さあ、皆集合ですわよ。 今日はまだ早いけど、明日は練習試合だから練習はここまで」
「はい!」
「良いかい? 今日はこの後は練習禁止だ。 試合前は身体を休めて万全な状態にするのが大事だ」
と、遥ちゃんが皆に釘を刺す。 この子達はちゃんと言っておかないと、この後に自分達だけで練習しかねないからね。
「はい! わかりました!」
「よし、良い子だ」
「皆、今から明日着てもらうユニフォームを渡しますわ」
「ユニフォームー!」
そう、さゆりちゃん達には、私達からユニフォームのプレゼントがある。 千葉西條アルテミスのユニフォームと同じデザインの物だ。 明日から卒業まで、出来るだけ練習試合の相手を探して経験を積ませてあげたいという事で、教室をやっている間限定ではあるけどユニフォームを用意したのだ。
「かっこいい!」
「ありがとうございます!」
「うんうん。 私達も出来る限り練習試合してくれるチームを探すからね」
「はい!」
さて、明日が楽しみだよ。 私達の見積もりだと、月ノ木ウイングスの4年生チームになら勝てるだろう。 まずは自信をつけさせてあげたいね。
◆◇◆◇◆◇
翌日だよー。
一度体育館に集まった私達。 さゆりちゃん達は体調万全なようだ。
「さ、これから月ノ木西小学校へ行きますわよ」
「はい!」
「皆元気だー」
「緊張せず、練習通りにやれば勝てるからな」
「はい!」
「よし、行こう」
◆◇◆◇◆◇
西小学校へ来た私達は、監督さんに挨拶をして、子供達を紹介する。
「今日はよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
「あの、あちらのコートでアップさせていただいても?」
「どうぞ、お使いください」
「ありがとうございます。 皆、着替えてあっちで少し練習しますわよ」
「はい!」
さゆりちゃん達は、昨日プレゼントした千葉西條アルテミスのユニフォームに着替えてコートに入った。
「皆、かっこええよ」
「アルテミスジュニアって感じだー!」
「良いねぇ、アルテミスジュニア。 かっこいいよ」
褒められてとても嬉しそうなさゆりちゃん達。 軽くウォームアップを済ませてもらい、試合準備を終える。 月ノ木ウイングスの4年生選抜チームも準備が出来たらしい。 いよいよだよ。
「整列!」
試合に出る選手はネットを挟んで整列し、挨拶を交わす。 私達の教え子チームのリーダーはSの樹里ちゃんである。
さゆり 真由美 優里
華 美雪 樹里 百合香
の布陣でスタートするよ。 アルテミスジュニアチームはローテーション制でやらせてもらうこと。 毎ローテ、コート外にいる子と、後衛に移動する子が交替し、サーバーになるという特殊ルールを付けてもらっている。 今の場合だと、ローテーションして後衛になるはずの優里ちゃんがコート外に出て、替わりに百合香ちゃんがサーバーとしてコートに入る。 次のローテーションで、真由美ちゃんがコート外に出て、優里ちゃんがサーバーになるという感じだ。 その他はフリーポジション制のルールとなっており、後衛の選手でもブロックしたり、アタックラインより前でスパイクしてもOKなルールだ。
「皆、頑張って」
「緊張せずにね」
「はい。 皆、行くよー!」
「おー!」
さあ、試合開始だ。 私達が出来る事は見守る事だけ。 まずは樹里ちゃんのサーブからだ。
パァンッ!
「ナイスサーブだよ!」
今日までサボらずに練習を続けてきた事が一目でわかる程に素晴らしいサーブだ。 バレーボールを始めて数ヶ月だなんて、言われなきゃわからないだろう。
「はいっ!」
パァンッ
「お相手もやるぞ。 あれを拾ってきた」
「4年生選抜やるわね」
お相手もしっかりとボールを繋いでくる。 しかし、アルテミスジュニアチームも慌てずにしっかり動いている。 フリーポジション制を利用し、後衛から美雪ちゃんが出てきて、真由美ちゃんと2人で2枚ブロックを形成する。 何度も練習してきたシチュエーションだ。
パァンッ!
ブロックはワンタッチを取り、スパイクの勢いを弱める。 これなら拾えそうだよ。
「私が拾う!」
ここは後衛にいた華ちゃんが声を出してレシーブに入る。 教えた通り、ちゃんと声を出している。
「偉いぞー!」
華ちゃんがレシーブを上げると、すかさず樹里ちゃんがトスの準備に入る。 奈央ちゃん仕込みのトステクニックを披露だよ。
「はい!」
パァンッ!
ブロックの位置をしっかり把握しながら、一番手薄なセンターのクイックを選択。 美雪ちゃんがしっかりとトスに応えてスパイクを決めた。
「ナイスやで!」
「良い感じですね」
「うんうん」
練習通りに出来ているよ。 本当に優秀な子達だよ。
◆◇◆◇◆◇
試合は少し進み、8-4とアルテミスジュニアチームがリード。 テクニカルタイムアウト中である。
「皆良いよ」
「はい!」
「展開も向いてるし、地力でも上回ってるぞ」
「はい!」
やはり私達の見積もりは間違ってなかったようだ。 4年生選抜チームも中々強いけど、アルテミスジュニアは既にその上を行っている。 この分なら勝てるだろう。
「さて。 あちらさんはどうするかしら?」
「どうするとは?」
「スタメンチームを出してくるかどうかですわよ」
「いや、さすがに無いだろ。 それにスタメン相手じゃちょっと分が悪い」
「だね。 今日は4年生選抜との試合って約束だし、スタメンが出る事は無いと思うよ」
「まあ、ですわよね。 ちょっと残念ですわ」
「皆、このまま頑張ろぅ」
「はい!」
私達から出す指示は特に無い。 今のまま、練習通りにプレーすれば自ずと結果はついてくるだろう。
「さあ、行ってこーい」
「はい!」
テクニカルタイムアウトを終えてコートに戻るアルテミスジュニア達。
「いやいや。 あの子達凄いですなぁ」
試合が再会するとすぐにあちらさんの監督がやって来た。 アルテミスジュニア達のプレーをここまで見て、その実力に驚いているようだ。
「あれでまだ始めて数ヶ月なんですのよ。 恐ろしいですわよ」
「ははは。 あれじゃあのチームでは失礼だったかもしれませんな」
「いやいや。 練習試合が決まった時点では良い勝負だったはずなんすよ。 あれから一週間程で急成長しちまいまして」
「なるほどな。 では、今度はこちらから練習試合を申し込みましょう」
と、試合を見ながら監督さんが次の練習試合の話を出してきた。 これはありがたい話である。
「来週は大会がありますから、再来週にお願いしても?」
「一応あの子達の都合も聞いてみないとわかりませんが」
「そうですね。 都合が良ければでお願いします」
「はい」
再来週はきっとスタメンチームが相手になりそうだよ。 その前に今日の試合だよ。 まずは今日しっかり勝って、自信に繋げていこう。
皆、クラブチームの子達と互角以上に渡り合うのであった。
「希望です。 凄い凄い! スタメン相手じゃないとはいえだよぅ」
「びっくりだよね」




