表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1714/2237

第1710話 バンド結成?

藍沢姉妹の家では麻美がギターの練習中。

 ☆渚視点☆


 ジャガジャン!


「どうだー!」

「おー、ギターの方はもうかなり弾けとるやん」

「歌もまあ、マシにはなって来たわね。 怪音波が工事現場の音ぐらいにはなったわよ」

「それ、良くなってるのかー?」

「どっちも雑音ではあるわな」

「ぶーっ」

「まあでも、改善が見られるんだし良いじゃない」


 麻美はギターを買うてきてからというもの、毎日のように触っては練習しとる。 アンプに繋いでイヤホン挿してやっとるさかい、練習中は音は聞こえては聞いひん。 今さっき久しぶりに聞いたけど、既にSunriseの飛行機雲はマスターしとるみたいや。


「ギターは今のでとりあえずOKなん?」

「一応はー。 でもこの曲は亜美姉も言ってたけど初心者向けー。 コードも4つしかいらないー」

「何やようわからんけど、さっきのが初心者向けなん? 私にはめちゃくちゃ難しそうに見えたで?」

「私もギターには詳しくないけど、今のが簡単には見えないわよね」

「なはは。 やってみるとそーでもないー。 亜美姉呼んで聴いてもらうー」


 麻美のギターの師匠は清水先輩や。 というか、周りでギター弾けるんが清水先輩ぐらいやし。


「あ、もしもし亜美姉ー。 今大丈夫ー? ギター一通り弾けるようになったから聴いてほしー」

「らじゃだよー。 1分で行くよ」


 1分で来るらしい。 清水先輩が1分で来る言わはったら、きっちり1分で来はるで。


 ……60秒後


 ピンポーン


 ほら。 1秒も狂わへん。 そういう人なんや。


「おじゃましまーす」

「なはは、いらっしゃいー」

「お茶いる?」

「あ、飲むよ。 熱々のほうじ茶が良いよ」

「注文が多いわね」


 清水先輩は藍沢先輩に対しては実にフランクや。 遠慮なく何でも言える関係って事みたいやな。


「んしょ。 じゃあ弾くゾー。 Sunriseの飛行機雲ー」


 麻美のギターが始まり、清水さんは真剣な顔でそれを聞いてはる。 私にはギターの演奏の良し悪しはわからんけど、清水先輩に麻美の演奏はどない聴こえてはんのやろう?


 ジャガジャーンジャン!


「どうー?」

「うんうん。 始めたばかりにしては上出来だよ。 普通はこうやって一曲弾けるようになるまでは数ヶ月かかるものだよ」

「そうなの? 亜美はどうだったわけ?」

「5日」

「やっぱ訊かなきゃ良かったわ」

「清水先輩はやっぱり規格外や」

「何かアドバイスあるー?」

「右手のストローク変えてみるとか? ちょっと右手が忙しくなるけど」

「ストロークを変えるー?」

「うん。 この楽譜は初心者向けだから、比較的簡単に弾けるようにしてあるんだけど、Sunriseの飛行機雲は本当はもうちょっと難しいんだよ」


 と、清水先輩が麻美からギターを借りて、同じ曲を弾き始める。 麻美の弾いてたのよりも、音の厚みが増して心無しか力強いイメージや。


「とまあ、こんな感じ」

「亜美姉凄過ぎー」

「本当、何でも出来るわね」

「いやいや」

「さっきのはどうなってるのー?」

「楽譜はこんな感じだよ」


 清水先輩はスマホで検索した楽譜を麻美に見せている。 ギターの楽譜て見た事あらへんけど、なんやようわからんな。


「のわー。 忙しそうー」

「ゆっくり慣れていけば良いよ。 リズムは基本的に一定だから慣れればコードチェンジより簡単だよ」

「頑張るー」


 と、麻美は難易度が上がったバージョンの練習を始めた。


「ギターて面白いんですかね?」

「やってみたら楽しいよ」

「渚も始めよー?」

「私、麻美と違うて不器用やからなぁ……弾けるようになる気せぇへん」

「でも渚は努力家じゃないかー」

「まあ、そうかもしらんけど」


 私はどないな事でも、人並みに上達するにはかなり時間がかかるさかいなぁ。


「渚もやるゾー!」

「あんたはまた強引に誘うんだから」

「まあ、今に始まった事やないですし」


 藍沢家で一緒に暮らそうと誘って来た時も似たようなもんやったし。


「ギター、興味あるならお店に連れて行ってあげるよ」

「ちょっと考えます」

「うんうん」


 まあ、麻美が弾いてるのを見てると楽しそうではあるんよな。 興味があるかと言われたらちょっと興味はある。 そやけど、私に出来るやろか? ギターは安い買い物やないからなぁ。 買ってやっぱり無理ってのは勿体無さ過ぎやからな。


「まあ、いつでも言ってね」

「はい」

「考えるまでもないー! 即買いだー」

「私は麻美と違うて慎重なんや」

「ぶーっ」


 ほんま、麻美は何でもかんでも突っ込んでいきよるな。 それで後悔とかした事あらへんのやろか?


「なはは! 難しいぞ亜美姉ー」

「頑張れ頑張れー」

「うおー」


 無さそうやなー、後悔した事。 羨ましい性格や。 いや、もしかしたら私が考え過ぎる性格なんが悪いんかもしれんなぁ。 たまには麻美みたいに前のめりになってみてもええかもしれん。


「清水先輩、やっぱり即買いします」

「お?」

「あら、渚にしてはすぐに決めちゃったわね?」

「なはは! じゃあ気が変わる前にすぐにイクゾー!」

「そないに焦らんでも決めたさかい大丈夫や。 そん代わり、麻美が私にちゃんと教えてや?」

「任せろー」

「私もちょっと買ってみようかしらね」

「お姉ちゃんもー!?」

「えぇ。 見てると面白そうだし、亜美と2人で弾き語りも悪くないわ。 まあ、弾けるようになるかはわからないけど」

「大丈夫だよ。 私も教えるから」

「亜美が教えてくれるなら大丈夫ね」

「なはは! 皆でギター買ってバンド結成だー」

「それも悪くないねぇ」

「ほな行きましょ」


 っちゅうわけで、私と藍沢先輩もギターを始める為に、清水先輩に連れられて楽器屋へ向かうのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



「いらっしゃいませ。 あら、亜美ちゃん。 最近よく来るわね?」

「あはは」


 店員さんとは顔見知りらしい清水先輩。 世間話が捗るらしい。


「で、今日はどうしたの? こないだギター買って行った子の方が何か入用?」

「いえ。 実はこっちの2人もギターを始めることに」

「あら」

「よろしくお願いします」

「お願いします」


 そんなわけで、初心者向けのギターを紹介してもらう。 色々あるけど、私も藍沢先輩もエレアコをチョイス。 少し触らせてもらい、自分に合った物を買うことにした。 アンプも麻美のとは違うのを選んだで。 本は麻美が使ってるのがあるから要らんやろ。


「ありがとうございました」

「なはは! 皆ギタリストー」

「バンド名とかも考えないとねぇ」

「気が早くない?」

「なはは」


 まあ、いずれはバンドを組んで、清水先輩が良く行ってはるっていうライブハウスで歌いたいとこやね。 その為にはしっかり練習せなあかんな。



 ◆◇◆◇◆◇



「難しいわね」

「麻美、ようこんなん覚えたな……」

「なはは」


 家に帰って来た私達は、早速コードを覚えるとこからやな。 これは時間かかるやもしれんなぁ。


「指攣りそう」

「こんな指の形した事あらへん」

「なはは、慣れる慣れるー」

「うんうん」


 ほんまやろか? まあ、頑張ってみよか。

麻美に続いて奈々美と渚もギターを始めるのだった。


「奈々美よ。 私も頑張るわ。 かっこよく弾いてやるわよ」

「いつでも教えるよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ