表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/2193

第113話 奈々美の妹

奈々美の妹、麻美に会うために藍沢家へ向かう一行。

 ☆奈々美視点☆


 初詣の帰りに、皆を家に連れていくことになった為、私は今、4人を連れて歩いている。

 亜美達とは家族ぐるみの付き合いもあるし、いきなり連れて行っても大丈夫でしょう。


「俺、麻美ちゃんに会うの中学の卒業式以来だぜ」

「麻美、怒ってたわよ? 『夕也兄ぃ全然来てくれないぃ』って」

「ははは……」


 まぁ、何にせよ喜ぶわね。

 あの子、小学校に上がって同い年の友人作ってからは、私達と絡みが少なくなってたしねぇ。

 中学では部活一緒だったからよく絡んだけど。


「着いたわよ」

「おう」


 家の中に皆を入れて、リビングへ向かう。


「ただいまー」

「あ、おかえり、お姉ちゃん」

「おっす、麻美ちゃん」

「夕也兄ぃ!? ちょっとお姉ちゃん、夕也兄ぃ連れてくるなら先に連絡しといてよ! あー、こんなダサいパジャマでぇ……あ、全国優勝おめでとう!」

「お、おう、ありがとうな」


 麻美は「着替えてくる!」と、言ってダッシュで部屋へ戻って、私服に着替えて速攻下りてきた。


「はぁはぁ……あ、亜美姉も春高頑張ってね!」

「あ、うん。 頑張るよ。」

「あ、宏兄ぃいたの?」

「うおい!」


 宏太の扱いが雑なのは、私達の影響なのかしらね?

 とても先輩に対する態度ではないわよね。


「で、そちらの儚げイケメンさんは北上先輩?」

「あれ、どこかでお会いしました?」

「あ、いえ。 ウィンターカップの試合をテレビで観てたので」

「そうでしたか」

「テレビで見るより、雰囲気が柔らかい?」

「彼、試合中は人が変わったようになるから」

「そんなにですかね……」

「はっきり言って別人だぞ」

「うんうん」


 春人は「はぁ……そうですか」と、微妙な顔をしてしまった。

 実際、試合中の春人の方が良いって女子は多いのよねぇ。 奈央もその1人だし。


「そうだ、父さんと母さんは?」

「んー、ダイニングじゃない?」

「そう。 んじゃいきましょ」

「おう」


 私は夕也と、春人、亜美を連れてダイニングへ向かった。 宏太は、今朝挨拶を済ませているためリビングに残したのだけど、結局麻美が私達についてきたので、宏太も一緒にやってきた。

 ゾロゾロと6人で狭い通路を歩くのはどうなのかしらねぇ。


「父さん母さん、ただいま」

「おかえり奈々美。 あら、亜美ちゃんと夕也君? あけましておめでとう」

「おめでとうございます」


 私の両親と新年の挨拶を交わしてぺこりと頭を下げる2人。


「夕也君は久し振りだなぁ。 おお、そうだ、全国優勝おめでとう」

「ありがとうございます」


 お父さん達も試合をテレビで観戦してたのかしら?

 宏太も出てたし普通か。


 夕也達の挨拶が終わった後、リビングへ戻り少し話をすることに。

 麻美が夕也と話がしたかっただけなんだけど。


「夕也兄ぃって、希望姉と付き合ってるんでしょ?」

「ん、ああ。 8月ぐらいから」

「亜美姉とくっつくと思ったんだけどなぁ」

「複雑な事情があってな」

「複雑ぅ?」

「フラれたんだよこいつに」


 夕也が亜美の頭をぽんぽんっと叩いてそう言う。 本当にその辺複雑よね。


「ええええっ! 亜美姉、夕也兄ぃフッちゃったの?!」

「う、うん……」


 麻美は「信じられないっ。 夕也兄ぃ好き好きの亜美姉なのに」と、驚きの声を上げた。

 まあそうなるわよね。


「それなのに、今は夕也を2人で取り合ってるのよ? 面白いでしょ?」

「ええっ! 略奪愛!? 亜美姉ってそういう女だったの!?」

「ち、違うよぉ!」

「違うのぉ?!」


 腕を組んで「むーん」とか言いながら考え込む麻美。


「そう言えば、麻美ちゃんも夕ちゃんが好きだとかなんとか?」

「私のは、憧れと言うか何と言いますか。 恋とは違うような?」

「でも、もし夕也に告白されたら──みたいな妄想して、子供3人目が産まれるとこまで進んでたわよね?」

「ふぇぇぇぇ!!!」


 顔を真っ赤に染めて「お姉ちゃん!」と、クッションを投げつけてくる。

 それを避けると後ろから「ふが」と情けない声が聞こえてきた。

 どうやら宏太の顔に直撃したらしい。


「わ、私でもそこまで妄想したりしたことないなぁ」

「はわわわ! 夕也兄ぃ忘れてー!」

「忘れてと言われてもなぁ」

「ううーっ」


 涙目になる麻美。 普段私と宏太の事でイジってくるからその仕返しってとこね。


「じゃあ、麻美ちゃんは夕ちゃんとお付き合いしたいとか思ってないの?」

「希望姉や亜美姉に敵うわけないじゃんっ。 妄想だけで幸せだしっ! あー違うぅ!」

「あはははははっ」

「お姉ちゃん!」


 面白いように墓穴掘っていくわねこの子は。

 でも、やっぱ希望や亜美には勝てないと思ってんのね。

 実際どうなのかしら? 夕也は昔から麻美の事をすっごく可愛がってたけど。


「麻美ちゃんも十分可愛いよね、夕ちゃん」

「おう、そう思うよ。 中学でもモテてるんだろ?」

「か、可愛いかなぁ? それなりにはモテてると思うけど……亜美姉の記録は抜けないよ? お姉ちゃんのも無理」

「あー、この2人は異常だからな」


 私は3年間で150人くらいだった気がするけど……亜美は200人を軽く超えてたわよね確か。

 私も異常だけど、亜美はなんかもうわかんない。


「ちなみ亜美さんってどれくらいモテてたんですか?」

「んー? 覚えてないけど、一杯フッたよ。 他校の人とかもいたね。 でもねぇ、名前も顔も知らない男子に『好きです』って言われても付き合おうってなるわけないよ」

「あ、わかる!」


 麻美が共感しているらしい。 私もそれは同感である。


「俺もフラれたけどな」

「俺も」

「僕もフラれました」

「亜美姉って魔性の女だね?」

「あぅ……宏ちゃんだって私をフッたじゃない……」


 夏休みのアレね? っていうか、こうやって話してると、とんでもなく複雑ね私達。


 私は宏太と付き合い始めて、今も順調だ。

 亜美は希望から解放されて、夕也の事を奪おうと必死になっている。

 春人とは決着もつけて、複雑に絡み合った糸も幾分ほつれてきただろう。


 再び三角関係に戻ったわけだけど、一体どうなるのかしら?


「夕也兄ぃは、希望姉とどこまでいったの?」

「ど、どこまでって……」

「希望姉は奥手だから全然かな?」


 中学生の癖にマセてるわねぇこの子は。


「2人はもうえっちまでしてるよ?」

「ええっ! あの希望姉がぁ!? あれ、っていうかそう言えば今日は希望姉来てないの?」


 今更気が付いたの……。

 まぁ普段から希望は静かだし、ちょっと影薄いけどさぁ。


「希望ちゃんは、お祖父さん達の家に遊びに行っちゃったから、今日はいないの」

「あ、東北の方だっけ? そっか。 じゃあ、亜美姉は今がチャンスってわけだ」

「あはは、そうだねぇ」

「夕也兄ぃも大変だねぇ? 美女2人に言い寄られてさ」

「わかってくれるか、麻美ちゃん」

「頑張って!」

「お、おう……」


 わかっているのかどうか怪しいわねぇ。


 その後も昼前まで皆で駄弁って、亜美達は、自分達の家に帰っていった。

 麻美は、最後に夕也に頭を撫でてもらって上機嫌になっていたけど、本当に憧れているだけなのかしらね?

 

麻美はとにかく騒がしい女の子である。


「奈々美よ。 麻美、久し振りに夕也に会ってテンション振り切ってたわね。 いつもはもうちょいマシなんだけど。 高校に上がってきたら騒がしくなりそうだわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ