*夏の県大会E(VS.鹿亥.4)
後半39分
正処2-0鹿亥
後半、鹿亥女学院のキックオフで試合再開しようとしたけど、またしても試合が一時中断した。
なんと今度は、鹿亥のGKのミワのブラジャーの背中にあるホックがブッ壊れてしまい、ホックが外れている。
おそらく、先程のダイレクトボレーシュートした時のボールの威力のまま、ブラジャーの左脇を掠めた際に、ホックが破損したと思われる。
このままプレーを続行すると、確実にブラジャーが脱げてしまう。
そこでGKのミワが、鹿亥女学院のスタッフたちに連れられ、ゴールマウスを離れて、ピッチ・フィールドから出るハメになった。
その鹿亥側の控え室へ消えていったGKのミワに対して、今度は鹿亥の監督やコーチたちも、一緒に控え室へ行ってしまった。
正処の選手たちにとっては、もう休む必要もなく、残り時間もあとわずかな為に、早めにボールを奪ってゴールを決めて、もう1点入れて3点差にして、一気にとどめを刺そうと速攻作戦に変更した。
だけど今度は、正処女学園の監督と鹿亥女学院の監督の両チームの監督が審判に呼ばれていて、ピッチ・フィールドの外にある某所で、なにやら話し合っている。
ざわざわ、ざわざわ
両チームの監督が審判に呼び出されたことにより、なにやら正処の選手たちも鹿亥の選手たちも動揺し始めて、ざわざわしてきた。
しばらくの間、時間が経過していき、正処の監督が再びピッチ・フィールドの外の監督スペースに戻ってきて立っていた。
(気の毒に、あちらの監督さんも・・・まぁ、でも仕方がないかな・・・)
そこに正処の選手たちが、ピッチ・フィールド内から外に出ないギリギリの所まで来て、監督スペースにいる監督に話しかけた。
「監督、一体どうしたんですか?」
「監督、急に審判に呼び出されたから、私たちもビックリしましたよ。」
「あの、何か良くないことでもありましたか?」
「どうやらこの勝負、ウチの勝ちのようだな。」
「「「―――えっ!!? それは一体どういう―――」」」
「まもなく審判が事情を説明する。 それを聞きなさい。」
「「「………」」」
この正処の監督の発言に、正処の選手たちも驚愕していたけど、まもなく審判の説明があると聞いて絶句した。
そこで審判がマイクを持って、ピッチ・フィールドの中央に現れた。 それはまるで野球のアンパイアがマイクを持って説明する、あのやり方のようだ。
『えー、ただいま諸事情がありまして、鹿亥女学院はこれ以上、試合を続行することが不可能であり、棄権することになりました。 従って2-0のまま、当試合を終了して、正処女学園の勝利となります。』
この審判の発言に、正処の選手たちが凄まじい驚愕をしている。
「―――えぇっ!!?」
「―――ウソッ!!?」
「―――そ、そんなぁ!!?」
「だって、あと残り数分だよっ!!?」
「やっぱり、試合に出場する為の準備は怠ってはいけない、ということだな。」
一方の鹿亥の選手たちは、無言のまま、唇を噛み悔しさを滲ませてる。
「「「………」」」
結局はGKのミワも控え室からピッチ・フィールドに戻ってこなかった。
なんと正処女学園と鹿亥女学院の試合がここで終了した。
その正処女学園が勝利した為、県大会のベスト4に進出した。
あの後で、よく調べてみると、鹿亥の選手たちのブラジャーの背中にあるホックが錆びついており、いつ壊れてもおかしくなく、また新調した下着のユニフォームも手違いがあって、手元に届くのがこの県大会の試合の翌日となってた。 この大事な県大会に出場するチームにとっては、明らかな準備不足による、あり得ない公式試合の軽視であり、これ以上の試合続行することは、鹿亥のチームの恥を晒すことになる為、監督は断腸の思いで試合放棄という決断をした。
その結果、試合時間は85分で試合終了、2-0で正処女学園が勝利した。
後半40分
正処2-0鹿亥
━公式試合終了━ (P.m.9:50)
とても鹿亥の選手たちが健闘を讃える為の握手など出来るワケもなく、そのまま無言のまま、ピッチ・フィールドを後にして、自分たちの控え室に戻っていった。 その様子・後ろ姿を正処の選手たちが、ただ黙って見送ってた。
最後に正処の監督とコーチが感想を述べてる。
「鹿亥の選手たちには気の毒だったな。 本来なら、ユニフォームの下着の保管・管理の義務は、学校側がするものだが……」
「ああ、そうだな。それにしても―――」
「なんとも後味の悪い試合だったけど、勝ちは勝ちだな。」
「まさかユニフォームの保管・管理を怠ると、今後の試合にまで影響するとはな。」
「下着のブラジャーの背中にあるホックは金属だったのか?」
「ああ、らしいな。 最近の下着のブラジャーのホックはプラスチックを使用していて、金属などの旧型のブラジャーなどは、現在の時代には、あまり使用してないだろう。」
「またユニフォームの下着のブラジャーのホックやパンティーのゴムなどの状態には、特に気をつけて行動しないといけないようだな。」
「なるほど、いい勉強になったな。 これで我々もユニフォームの下着の保管・管理も必要になってきたようだな」
「ああ、そうだな」
そう言いながら、監督とコーチが腕組みしながら、この後も、それぞれの感想を述べてた。
◎公式試合D
(夏の県大会・ベスト8戦)
場所:福岡県某所
●韓闘乱女子高校-2
※女子サッカー部
○狂楚女学園-3
※ナイトサッカーストライク部
学校●-○
前半0-2
後半2-1
合計2-3
※終盤で追いつかれそうになるけど、なんとか逃げ切った。
◎公式試合E
(夏の県大会・ベスト8戦)
場所:千葉県船橋地区某所
○正処女学園-2
※ナイトサッカーストライク部
●鹿亥女学院-0
※ナイトサッカーストライク部
学校○-●
前半1-0
後半1-0
合計2-0
※後半40分で諸事情により審判判断で試合終了。
なんとも意外な結末で終わってしまった今回の試合。
まず普通のサッカーの試合では、勿論あり得ない終わり方である。
別に伏線というワケではないけど、もしかしたら……?




