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暴秦狂楚  作者: 南かずしげ
*ナイトメア・ランジェリー・サッカー・ストライク・ガールズ編
43/57

*夏の県大会E(VS.鹿亥.3)



   後半22分


  正処1-0鹿亥



 試合は一旦ストップしている。


 ホックが外れてブラジャーが脱げてしまった鹿()()のOMFのフワが、再びピッチ・フィールドに戻ってくるまでの間、両チームの選手たちがつかの間の休息をとってる。 普通は負傷や事故などで選手が一旦ピッチ・フィールドから離れても、そのまま試合は続行されるけど、この大会で下着に不備・不測の事態があった場合、試合は一時中断する決まりになってる。


 正処の選手たちが監督のいる場所のピッチ・フィールドの内側ギリギリまで来ていて、マネージャーからスポーツドリンクやバスタオルなどを受け取ると、つかの間の休息をとっていて、選手間でもコミュニケーションをとってる。



 正処の選手たちが集まって話し合ってる。


「……んん」

「ねぇ、鹿亥の選手のユニフォームって、明らかに旧型の下着だよね?」

「えぇ、あんなユニフォームでプレーしたら、着てる下着が故障するのは目に見えてると思うけど、何かあるのかしらね?」

「さぁ、まぁ、私たちにとっては、さほど困らないわね。 1点リードしてるワケだし、疲れもとれるワケだしね。」

「さすがに集中力は途切れるけど、それは向こうのチームの選手も同じ立場だからね。」

「あともう1点()れて、トドメ刺しちゃうか?」

「向こうの出方次第ね」

「まぁ、そうねぇ」


 今時の女子高生みたいな感じで話してる。





 やがて替えのブラジャーに着替えて、再びフワがピッチ・フィールドの中へ戻ってきた。



   後半25分



 ここで一時中断された試合が再開された。



 ボールは鹿亥の選手たちから正処の選手たちに渡されてプレーが始まった。


 そこに正処の選手たちの(たく)みなパス回しにより、あっという間にボールを中盤まで運ばれた。

 やっぱり正処の選手たちのパス回しは、非常に上手く鹿亥の選手たちでは、まだ追いつけない。


 今度の鹿亥の選手たちは、もう強くマーク・プレスしてこれないみたいで、なかなかボールが奪えないでいる。

 二度にわたるラッキーな休息のとれた正処の選手たちが、まだまだ元気に動き回っており、鹿亥の選手たちにボールを()られないように、中盤を支配している。




 ここからしばらくの間、時間が経過して、正処の選手たちが鹿亥の選手たちの(スキ)を見つけると、すぐに速攻を仕掛けてくる。



 ボールは正処のDMFの鈴木妖香が持ち、ここからゲームを組み立てていく。


「それじゃあ行くよ。 恵美ちゃん」

「ええ、いいですわ。 妖香ちゃん」


 勿論、鹿亥の選手たちもすぐにボールを持ってる妖香にマーク・プレスしていくけど、すぐに妖香が近くにいる正処のOMFの白石恵美にボールをパスする。

 ボールを受け取った恵美に、また鹿亥の選手たちが素早くマーク・プレスしていくけど、すぐに恵美が妖香にパスする。


「どんどん行くよ。 恵美ちゃん」

「ええ、速攻ですわね。 妖香ちゃん」


 この調子で、妖香と恵美の二人がパスしながら、素早く前線までボールを運んでいく。


 それはさながら某国民的サッカー漫画の〇くんと〇くんによるゴールデンコンビみたいに、素早く(たく)みなパス回しによるドリブル突破である。

 これなら妖香も恵美もマーク・プレスされずに済むし、相手チームの選手たちもマーク・プレスによる弊害を受けることもない、まさに一石二鳥のプレーである。


 ボールを持った妖香と恵美の二人で、あっという間に鹿亥のペナルティーエリア付近まで駆け上がっており、相手のペナルティーエリア内を守る鹿亥のDF陣にボールを奪われる前に、ここで妖香と恵美の二人が、相手のペナルティーエリアの右側を駆け上がる正処のFWのシェイナに、素早くボールをスルーパスする。


「お願い、シェイナさん」

「行きますわ、シェイナさん」

「オーライ、恵美ちゃん、妖香ちゃん」


 ボールを受け取ったシェイナが、すぐさま鹿亥のゴール前に、素早くボールをセンタリング。



   後半36分



 相手のゴール前には、恵美と妖香の二人がしっかり()めており、それに対応した相手のDF陣が、この二人をしっかりマーク・プレスして、上から来るボールを渡さない様にしている。

 あとは鹿亥のGKのミワが、ボールを両手でキャッチすれば、とりあえずこの危機から脱出できるワケだけど、恵美と妖香や鹿亥のDF陣の背後から、正処のFWのカスミが突如として現れ、落ちてくるボールにダイレクトボレーシュートでタイミングを合わせる。


「っ!!?」


「残念、こっちが正解」


 ズゴォーン、チッ、ドォーン!


「―――えっ!!?」

「ウ、ウソッ!!?」

「し、しまったっ!!?」


 なんと妖香と恵美の二人は、ただの囮だった。


「もう遅いよ」

「残念でした」


 完全に裏をかかれた相手のDF陣やGKのミワの身体が一瞬だけ停止して、ダイレクトボレーシュートしたボールが勢いよくゴール右側端に突き刺すように入ってゴーール!

(※その際に、ボールが相手のGKのブラジャーの左脇を少し(かす)めた)


 ピィーーーッ!


 ここで審判のゴールの笛が鳴った。





 ここに来て、技術と速度を見せてきた正処の選手たちによる2点目が決まった。

 あえて相手の選手たちにマーク・プレスさせずに、正処のMFの二人によるコンビネーションでボールを中盤から前線へ運んでいき、さらにゴール前では、この二人も囮に使い、上手く三人目をゴールに絡めていくあたり、なかなかのモノである。

 練習試合では上手くいっても、実際に大会の公式試合で実践する機会は、あまりないだろう。

 それを成功させただけでも、たいしたモノである。


 一方の鹿亥の選手たちは、遂に2点も()れられ、心身ともに疲労困憊であるけど、まだ戦意喪失まではいっていない?



   後半39分


  正処2-0鹿亥



 さて、ここから残り時間わずか、この試合の最後の闘いが今始まる?



いよいよ大詰め。

このまま正処女学園が勝利できるか?

それとも鹿亥女学院がなんとかするのか?

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